プロローグ『目覚めの刻』
*11月11日、プロローグ改題、及び修正実施
外には、絶望の怨嗟が起こっている。
自分にできることは何か。そのことを、少年はずっと考えているが、ただ、これだけしかない。
「俺は、みんなを守りたい。そのためならば、俺は、どんな力でも背負う」
それが、自分なりの答えだ。
外では自らの五倍クラスの大きさのモンスターが複数、村に接近している。それに対して防衛する戦力はない。
ならば、自分にしか出来ない力があるなら、それが欲しいと、少年は心底思った。
たとえそれが、どんなものであったとしても。
そう答えると、先程まで石棺で眠っていた少女が、不敵に笑う。
まるで、そう来るのを見越していたかのように。
「度胸は合格。ならば、我の力を見せよう。そして、おぬしに我の力を授けよう。契約は成った。授かるがいい、神より遣わされし、力を!」
その言葉の後、少女の身体が光に包まれた。
少女の身体が浮いていき、そして、その光は少女を包み込み、球体と化す。
その球体が、徐々に変形していく。
呆然としていた。
その光が収まった瞬間、そこには、今まで見たこともないような空色の巨人が跪いていた。
自分の身長の一〇倍はあろうかという、巨大な人型兵器。
手には、鞘に包まれた鈍器のような剣が握られている。
本当に人工物なのかと疑いたくなるような有機的なラインは、何処か生物的だった。
顔にある空色のデュアルアイが、よりそれを印象づけている。
『これが神々の力じゃ。我はイクス。魔神機ドゥンイクスじゃ!』
少女-イクスの声が、その巨人から聞こえる。
魔神機。伝説の、神々が作りし物。それが、目の前にある。
これが、自分に与えられる力か。
少年は、それを見て、運命が動くのを感じた。
はじめましての方ははじめまして。筆者のヘルハウンドと申します。異世界にロボットを組み合わせるのは前に書いた「機刃」でもやっておりましたが、西洋風ファンタジーは今回が初の試みです。評価くださると励みになります。