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18 魔導の姫ルイン

 18 魔導の姫ルイン



 死闘の末、ルインは魔導アース史上最強の存在を下した。

 世界最強の座がルインに明け渡された。その喜びをルインは噛み締めていた。

 気分が高揚する。最早、習得した呪文と魔導神眼を併用すればバロンにだって勝てるだろう。

 つまり……ルインが魔導アース史上最強の存在となったのである。

 そして戦神亡き後、魔導眼を持つ者はルインのみとなった。

 晴れて、特別な存在は自分だけとなったのだ。その喜びも束の間、

 いつものウトウトが始まった。ルインはその場で寝転んで深き眠りについた。

 気付いたら次の日の朝、保護管理所のルインの部屋のベッドの上であった。

 恐らくフォースが運んだのだと言う事は明白であった。

 例の如く腕輪が妖しく光り、フォースが子供の姿で現れる。フォースは上機嫌だった。


「姫様、御目覚めにございますか?」


「ああ、フォース。礼を言う。お蔭でぐっすりと眠れたよ」


 ルインはフォースに労いの言葉を掛けた。フォースも気が気ではなかったのだろう。

 フォースには予め、戦神との戦いでは自分に干渉するなと命じている。

 自分の力だけで父の仇を討ちたかったのだ。

 フォースも加わっていればもう少し楽に勝てただろう。我ながら無茶をしたものだ。

 ルインは目覚めて早々、苦笑する。そんなルインにフォースは新聞を渡した。

 そこには大々的にルインが戦神を破った様が紙面に載っていた。


『戦神を打ち破ったルイン。新たな世界一位は魔導族王家の末裔』


 若干十六歳であるルインが戦神を破った情報は世界中に拡散された。

 新聞にはルインが世界一位の座を掴んだと言う事が顔写真付きで載っている。

 ルインの二つ名についても書かれていた。『魔導の姫ルイン』と言う名だった。


「魔導の姫ルインか……案外悪くないな」


 ルインは自らの二つ名に悪くは無いと思った。フォースも目を輝かせている。

 主が世界最強と言うのは家臣としても愉快で堪らないのだろう。


 ちなみにバロンは世界三位。世界二位は『剣神ロード』と言う名の若い男だった。

 儚く世を去った想い人、ドランと見紛う程良く似ていた。いつか出会えるであろうか。

 いや、これ以上人間と仲良くする気はルインには無かった。

 仲良くする度に失っていく。バロンは人間離れしているため例外である。

 魔導神獣を手に入れ、失った大切な者達を蘇らせる野望はあるが、果たしてどうなるか。


「世界一位、おめでとうございます。あのブレイク様ですら二位だったのですから。

 家臣としてこれ以上の喜びはありません。より一層の忠誠をお誓いします」


 フォースはお辞儀をして喜びで震えている。父、ブレイクを超えた事に高揚を覚える。

 ルインは戦闘に関してはあまり強くなろうと言う意思は無かった。

 むしろ、戦闘よりも魔物使いになる為の勉強ばかりしていた。

 それなのに自分は思いもよらず世界一の座に就いた。何処まで高みに上るのか。

 戦闘は魔導族の宿命なのかもしれない。だが、これで因縁はもう終わった。

 後は魔導神獣を封印から解き放ち、飼い慣らしつつ、魔物使いの国家試験を取得する。

 悪くない流れだ。まずは魔導神獣について、テイマーから聞き出さなければならない。

 魔導神眼でテイマーを洗脳して操ることも出来るが、仮にも師匠である。

 手荒な真似はしたくはない。穏便に、それとなく聞くか。思考を読み取っても良いが、

 やはり師匠への礼は欠かすものではない。テイマーから手ほどきを受けていなければ、

 戦神を倒すことは叶わなかっただろう。恩義がある。それは最後の手段だ。

 ルインは起き上がり、フォースを腕輪に戻して、いつもの朝の仕事から日常に戻った。

読んでくださり誠にありがとうございます。

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