魔王の力と力を無くした魔王～かよわい人間美少女となった魔王を倒した俺が守る側に～

　最強と噂されるほどの魔法使いビスは、仲間と共に魔王討伐軍に参加した。
　だが、魔王（女）は、討伐軍を圧倒する力を持っていた。敗北を確信したビスは、最後の手段、自らと共に異空間へ吸い込む自己犠牲の魔法を使った。
　異空間で塵と化すビスと魔王。しかし、消滅するはずの魔王は、その額に埋め込まれた不思議な能力を持つ魔神石によって再生されはじめる。ところが、再生には近くに居たビスも巻き込まれ、ビスと魔王を足して割った姿、ビスは魔族に、魔王はただの人間の少女になって異空間を抜けた。
　魔王と会話を交わし悪では無いと理解したビスは彼女を守ることを決意する。
　ビスは、仲間の安否を確認すべく、魔王を伴って討伐への出発前日に仲間と泊まった宿に赴いた。そこで、ビスは無傷の自分自身を見かけ、元の世界とは違う時間軸の世界であることに気付く。しかも最終戦に出発する前日だった。
　さらに、この世界では、魔族は竜人族によって滅ぼされていた。竜人族は、前の世界では魔族によって滅ぼされていたはずなのだ。
　ゆえに、組織されたのは竜人族討伐軍であり、この世界のビスもそこに加わっていた。
竜人族はエルフ女性への執着から世界の秩序を大きく乱す存在だと言う。

　そんな世界で、魔王の強大な力を手に入れたとはいえ魔王討伐という目的を失ったビスは、元魔王のか弱い人間の少女を守るため、世界に秩序を取り戻すべく竜人族との最終戦に参加する。
　竜人族の背後に何者かの陰謀が見え隠れする中、前の世界には居なかった強大な敵達が立ちはだかる。