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グランドスター  作者: 東メイト
第三章 モルグス帝国編
8/28

第8話:レクサー将軍……再び!

カナン達がボルゲの港に着く頃、カトレア国ではカナン皇子によるカトレア女王暗殺の話が広まっていた。そして、その為にカナン皇子の首に大変な額の賞金がかけられていた。


カトレア女王亡きカトレア国はラングス国が援助という形で役人達を送られていた。しかし、その役人達のせいでカトレア国では、国民が重い重税に悩まされて国を逃げる者、反乱を起こし殺される者、食べ物に困り餓死する者達が後を絶たなかった。そして、カトレア国は滅亡した……


そんな事になっているとは全く知らないカナン達はボルゲの港に着いていた。

(カナン)

「やっと……ボルゲの港に着いたんだね……レクトル。フィリルさんの様子はどうだった?」

(レクトル)

「少し元気の無いご様子でしたが、もう大丈夫みたいです」

(ベレー)

「ほう……ここがあの軍事的に有名なモルグスか。さて、これから何が起こるか楽しみだぜ」

(エルメス)

「うへぇ……はぁはぁはぁ……やっと陸に着いたんだね……もう二度と……船なんか……乗るもんか……」

(ファースト)

「エルメス、これを飲むと少しは気分が良くなりますよ」

(エルメス)

「……あ……ありがとう……」

エルメスはファーストから酔い止めをもらい、それを飲んだ。

(アースティア)

「フィリル、気分は大丈夫?」

(フィリル)

「うん……アースティアちゃん……もう大丈夫よ。お母様だって何時までもくよくよしてたら悲しみますもの」

(アースティア)

「うん、きっとそうだよっ!よし、どんどん先に進もうよ」

(フィリル)

「うふふ、本当にアースティアちゃんは元気だね……」

(アースティア)

「うんっ!それが私の取り柄だから」

アースティアとフィリルが話をしていると突然キリトが話し掛けてきた。

(キリト)

「アースティア様、あれを見て下さい」

アースティアはぺテルギアの砦の方を見た。

(アースティア)

「あれは……レクサー。どうして、この様な所に?」

(キリト)

「多分、前回の責任を取らされてこちらの国に流されてきたのでしょう」

アースティア達が話しているとカナンが話しかけてきた。

(カナン)

「アースティア……あの砦にいる人はレクサー将軍ではないかと思ったんだけど?」

(アースティア)

「えぇ、間違いないわ。私も今、確認したところだわ」

(カナン)

「またアースティアの説得で何とかならないかな?」

(アースティア)

「私もそうできればいいなと思う。だって、私もレクサーとは戦いたくないから」

(キリト)

「でもどうでしょうか?あの人は誇り高き武人。今度こそ戦わなくてはならないかもしれません」

(アースティア)

「でも……できるだけの事はやってみたいの」

アースティアはレクサー将軍宛てに手紙を出す事にしたが、一つだけ問題があった。その問題とは誰がこの手紙を届けるかという事であった。


その事でカナン達が悩んでいると一人の少年が話し掛けてきた。

(少年)

「いよ、旦那。何かお困りのようでやんすね?」

(カナン)

「実はこの手紙をあの砦にいる人に届ける方法がなくて困っているんだ」

(少年)

「でしたら、あっしをお使いになりませんか?あんな砦ならちょちょいのちょいで忍び込みやすぜ」

(カナン)

「君は一体?」

(少年)

「あっしの名はクルーって言うけちな泥棒でやんすよ」

(カナン)

「だったら、この手紙お願いできるかな?」

(クルー)

「ええ、構いやせんよ。ただし、旦那……成功のあかつきにはたいそうな銭を頂きやすぜ」

(カナン)

「一体どれ位必要なんだい?」

(クルー)

「……1000金位でどうでやんしょう」

(レクトル)

「なんだってっ!ふざけるなっ!1000金といえば家が建つ値段だぞっ!」

(クルー)

「別に駄目なら駄目でもあっしは構いやせんよ。ただし、その手紙は届きませんけどね」

クルーは薄ら笑いを浮かべるとせせら笑った。そして、カナン達がどうするか考えていると借金取りがやって来た。

(借金取り)

「おい、見つけたぞっ!捕まえろっ!」

(クルー)

「おっ、やべぇ……見つかったでやんすっ!逃げるでやんすっ!」

クルーは逃げようとしたが既に借金取り達に取り囲まれており、クルーはあっさりと捕まってしまった。

(借金取り)

「さぁ、今日という今日は借金を払ってもらうぜ」

(クルー)

「もう少しだけ……もう少しだけ待ってくれねでやすか?」

(借金取り)

「駄目だっ!今日払えなければ海に沈めるまでだっ!」

(クルー)

「だから、もう少し待ってくれれば金が払えるでやんす……」

(借金取り)

「どうだか?うまい事言って、そろそろこの街から逃げる気だろ」

(クルー)

「そんな事はありやせん。ちゃんと払いますから。勘弁して下せい」

(借金取り)

「こんな所じゃ埒があかね。連れていくぞっ!」

(カナン)

「ちょっと待って下さいっ!」

(借金取り)

「何だ、てめー等は?」

(カナン)

「その人に仕事を依頼しようとしてる者です。その人の借金はいくらですか?」

(借金取り)

「全部で580金だっ!」

(カナン)

「……分かりました。お支払いします」

カナンはカトレア女王から貰った金の一部を借金取りに渡した。

(レクトル)

「カナン様、なんて事を……」

(カナン)

「いいんだよ、レクトル。あのままだとこの人はどうなっていたか。分からなかったから」

(クルー)

「旦那っ!ありがとうごぜました。お礼に何処までもお供しやすぜ」

クルーはアースティアの手紙を持ってぺテルギアの砦へと向かった。そして、しばらくするとクルーがレクサー将軍の手紙を持って戻ってきた。

手紙には先ほどの要求には答えられないと書いてあった。そこでカナン達は再度手紙を出したが結果は同じであった。仕方なくカナン達はぺテルギアの砦に直接交渉に行く事にした。

カナン達がぺテルギアの砦の付近に着くとそこにはレクサー将軍の部下のサーベルの部隊が待ち構えていた。

(サーベル)

「よし、敵が来たぞっ!かかれっ!」

サーベルは銀の槍でカナン達を狙ってきた。カナン達は一時守備を固めて後方から魔法部隊に攻撃させ、反撃に出た。

レイニードやアレンが敵の馬の脚を弓で狙い撃った。敵は次々にバランスを崩して倒れていった。そして、倒れた所を狙ってカナン達は攻撃を仕掛けた。

(サーベル)

「くっ……思った以上にやりやがる。ここは一時撤退だっ!」

モルグス兵達はぺテルギアの砦に後退していった。

(ファースト)

「敵の武将もなかなか賢いですね」

(カナン)

「でも、そのおかげで無駄な血を流さずに済んだね」

カナンは無益な血を流さずにすんだことを喜んだ。


カナン達がぺテルギアの砦に着くとそこにはレクサー将軍が砦の前に立っていた。

(アースティア)

「レクサー、お願いします。私の願いを聞いてください」

(レクサー将軍)

「……なりません。私も武人と言われた者。もう次はありません」

(アースティア)

「私はレクサーと戦えません。どうか……どうか、ここを通して下さい」

(レクサー将軍)

「できる事なら私もアースティア様とは戦いたくありませんでした……けれど、ここは私の誇りに賭けて通す訳にはまいりませんっ!」

(アースティア)

「どうして?どうして、そこまでしてレクサーは誇りを賭けるの?」

(レクサー将軍)

「一度誓いをたてた主君がいれば、どのような事があってもその主君に忠誠を誓い続けなければなりません。私はそのような不器用な生き方しかできないからです。ですから……私の甘さを消す為にここへ宣戦を布告しに参りました」

レクサー将軍はカナン達にそれだけ伝えるとぺテルギアの砦に入り、攻撃を開始した。

カナン達は複雑な気持ちを抱きながらモルグス兵達を倒していった。そして、カナン達は何とか門を打ち破って中に入るとレクサー将軍の前まで辿り着いた。

(アースティア)

「もう、止めてっ!お願い、レクサーっ!これ以上、無駄な血を流すのは……」

(レクサー将軍)

「アースティア様、お心遣いありがとうございます。けれど……私がもう後に退く事はできません。死んでいった者達の為にもっ!」

レクサー将軍は苦痛な笑みを浮かべながら銀の大剣を振りかざしてきた。

その苦痛な思いを読み取ったカナンは剣を構え、レクサー将軍に向かっていた。

(アースティア)

「カナン、止めてっ!レクサーを攻撃しないでっ!」

(カナン)

「アースティア、ごめん……それは聞けないよ。このまま戦わなければレクサー将軍の決めた覚悟を無駄にしてしまう。彼にも退けない想いがあるんだよ。そんな彼のためにもここは退けないんだ」

(レクサー将軍)

「カナン皇子……参りますっ!」

レクサー将軍はカナンに向けて斬りかかってきた。カナンはその銀の大剣を何とかかわしながらレクサー将軍の鎧を突いた。

しかし、レクサー将軍の鎧は思う以上に硬くカナンの剣をいとも容易く弾き返した。

カナンは何度もこの状況を繰り返し、同じ所を突いた。そして、数十回繰り返した後、遂にレクサー将軍の鎧に亀裂が入った。

カナンはその亀裂目掛けて思いきり剣を突き上げた。レクサー将軍はカナンの剣で貫かれて倒れた。

(レクサー将軍)

「ぐはっ!ここまでか……お見事……でし……た……」

レクサー将軍は銀の大剣を手放し、自らの血で染まった床の上に倒れた。それを見ていたレクサー将軍の息子レイツが走ってきた。

(レイツ)

「父上っ!お見事でした。父上の意志はしかと見届けました……」

レイツはレクサー将軍の手を結び、涙をぐっと堪えてカナンに言った。

(レイツ)

「カナン様、見事な一撃でした……」

(カナン)

「君は?」

(レイツ)

「失礼しました。私の名はレイツ、ここに倒れているレクサーの息子です」

(カナン)

「……そうか。なら僕の事が憎いだろ?」

(レイツ)

「いいえ……父上はこうなる事を望んでおられました。ですから……父上は私とサーベルに死んだ後はカナン皇子に仕えてくれと頼まれました。ですから私達も旅のお供にお加えください」

レイツは深々と頭を下げるとカナンに仲間に加えるように懇願した。

(カナン)

「そう……分かったよ。それじゃ、新しい仲間としてよろしく」

(レイツ)

「こちらこそよろしくお願いしますっ!」

レイツはカナンと堅い握手をかわした。その後、別室で待機していたサーベルが姿を現すとレイツと同様にカナンと固い握手を交わした。

こうしてカナン達の部隊に新たな仲間が加わった。

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