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グランドスター  作者: 東メイト
第二章 カトレア王国編
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第7話:陥落、カトレア王国

メトラの砦の後ろにある山の陰には1隻の船が止まっていた。その船にはフィリップ将軍という敵将が乗っていた。

フィリップ将軍は表の2隻の船がカトレア軍を引き付けている間に裏からメトラの砦を攻めようと考えていた。そして、作戦を開始した。

アレンが指揮している前線部隊ではもうすでに戦闘は始まっていた。

(アレン)

「後方からの攻撃はまだ来ていない様だな。どうやら、ファーストの考えはとりこし苦労の様だったな。よし、敵軍が引き返していく。ここで一気に型をつけるぞ。全員、逃げた敵兵の討伐に迎え」

アレンはメトラの港の敵船へと進軍していった。それを見ていたフィリップ将軍は後ろから攻撃を開始した。

(ファースト)

「一体何をしているんだ、アレン殿?あれ程深追いはするなと忠告しておきましたのに……」

(カトレア兵)

「ファースト様、敵襲ですっ!」

(ファースト)

「そうですか……やはり来ましたか。最悪ですね。急いでアレン殿の部隊に合図を送りなさい」

(カトレア兵)

「はっ!直ちにっ!」

カトレア兵はアレンに合図を送ったがアレンもまた新たに現れた前方の敵に手がいっぱいであった。

そこでファーストは仕方が無くフィリップ将軍とファーストの部隊だけで戦う事を覚悟した。

(ファースト)

「できるだけ距離を取って戦いなさい。くれぐれも前線に出ないようにいいですか。私達の目的はあくまでも砦を死守する事で敵軍を撃破する事ではありません」

ファーストは必死で励ましたが、ファーストの健闘は虚しく次々と部下は倒れていった。

(ファースト)

「もうこれ以上は……」

ファーストは砦が攻め落とされる寸前であったが、そこへカナン達の軍が助けに入ってきた。

(ファースト)

「あなた方は一体?」

(カナン)

「僕達はカトレアの女王の命により援護に来た者です。安心して下さい」

(ファースト)

「そうですか……それでは早速お願いします。あそこにいる敵将を討ち取ってもらえますか?私達は前線の部隊の手助けに向かいたいので……」

(カナン)

「分かりました。ここは僕達に任せて下さい」

カナン達はモルグスの兵を次々に倒して行き、フィリップ将軍の元へと辿り着いた。

(フィリップ将軍)

「ほう?私の作戦を見ぬき、ここまで突破するとはなかなかやりおるな。だが……それもここまでだっ!死ぬがよいっ!」

フィリップ将軍は銀の槍を振りかざし、カナンに槍を突いてきた。

カナンはその槍を横にかわした。そして、フィリップ将軍の間合いに入り、足を踏み込み前に跳んだ。

けれど、フィリップ将軍はかわされた槍ですぐになぎ払った。槍は見事にカナンに命中してバランスを崩した。

そこへフィリップ将軍が再び槍を突いてきたがギリギリのところでレクトルがカナンをかばい、背中に傷を負った。

(レクトル)

「ぐわっ!」

(カナン)

「レクトルっ!」

(レクトル)

「……大丈夫です、カナン様。それより次の態勢を……」

(フィリップ将軍)

「これで終わりだっ!」

(デライト)

「させるかっ!」

デライトは自分の斧を投げた。その斧はフィリップ将軍の持っていた槍の先を破壊した。

フィリップ将軍はすぐに剣を抜き、カナンに斬りかかろうとしたがそこへキリトが助けに入っていた。

(キリト)

「させませんっ!」

(フィリップ将軍)

「つけあがるな、若僧どもがっ!」

(レクトル)

「そこだっ!」

レクトルはフィリップ将軍の右肩を槍で狙い貫いた。更にキリトもフィリップ将軍の首筋を狙い斬った。

(フィリップ将軍)

「この私が……この私が負けるなど……そんな馬鹿なーーー!!!」

フィリップ将軍は絶叫をあげるとその場に倒れた。

(カナン)

「レクトル、背中の傷は大丈夫なのか?」

(レクトル)

「ええ、なんとか……」

(フィリル)

「はい、退いて、退いて。こういう時こそ私の出番ね」

フィリルは一本の杖を取りだし、レクトルに向かって祈った。

するとレクトルの傷口がみるみる内に塞がっていった。

(レクトル)

「ありがとうございました」

(フィリル)

「いいえ、どういたしまして。これが私のできる事だから」

嬉しそうにフィリルが言った。そして、カナン達はカトレア城へと戻っていた。


カナン達がカトレアの城に戻り、カトレア女王に今回の戦況の報告をしていると突然、一人のカトレア兵が血相を変えて走りこんできた。

(カトレア兵)

「はぁ、はぁ、はぁ……」

(カトレア女王)

「一体どうしたのですか?その様に慌てて……」

(カトレア兵)

「女王陛下、ご報告いたしますっ!たった今……メルクの港にラングス軍が上陸してきましたっ!」

(カトレア女王)

「そうですか……それでは兵士達を集め、守備を固めて向かい撃ちなさい」

カトレア兵)

「それが……大変申し上げにくいのですが……」

(カトレア女王)

「何か問題でも?」

(カトレア兵)

「はいっ!敵の軍の数が数十万人以上おりまして……とても今の我々の対処できる数ではございません」

カトレア兵は苦悶の表情を浮かべると無念そうに下を向いた。

(カトレア女王)

「そうですか……分かりました。兵士達全員に伝えなさい。逃げたい者、降伏をしたい者は直ちにこの城から離れなさいと……」

(カトレア兵)

「女王陛下、そのような事を申されますと兵士達の士気が下がります。何とぞ……何とぞ今一度戦い抜く事をご決断下さいっ!」

(カトレア女王)

「……なりません。もうこれ以上は無駄な血を流す訳にはいかないのです。兵士達に何としても生きぬく様に伝えなさい」

カトレア女王は毅然とした態度で兵士達に逃げ延びることを命じた。

(カトレア兵)

「ですが、女王陛下……」

(カトレア女王)

「さぁ、お行きなさい。これは女王の最後の命令です。それと最後にエルメス、レオン、ベレー、ディザード、アレン、ファースト以上の者達をこの場に遣わして下さい」

(カトレア兵)

「……はいっ!仰せのままに……」

カトレア兵士は女王の命令をエルメス、レオン、ベレー、ディザード、アレン、ファーストに伝えた。

そして、女王の言葉を他の兵士達に伝えたが、ほとんどの兵士がカトレア城から逃げなかった。

それどころかカトレア城に集まってきていた。それを見たカトレア女王はカナンに話し掛けた。

(カトレア女王)

「カナン皇子……どうやらこの国の運命は変える事はできなかった様です。ですが、希望を捨てないで下さい。運命とは絶対に決まっているものではありません。強い意志さえあれば変わる事もあります」

(カナン)

「お気遣いありがとうございます、カトレア女王」

(カトレア女王)

「これから何かと大変でしょうが……挫けずにがんばって下さい」

カナンとカトレア女王が話をしていると先程招集された者達が女王の前へとやってきた。

(レオン)

「女王陛下、何用でございましょうか?」

(アレン)

「女王陛下、先程の命令は一体どういう事ですか?」

(ディザード)

「女王陛下、私は絶対にこの城から動きませんよっ!」

(ファースト)

「まあまあ、皆さんここは落ち着いて……その様に一度に言われては女王陛下が答える事ができませんよ」

(エルメス)

「そうですよ、皆さん。ファースト様の言う通りですよ」

(カトレア女王)

「ありがとう、ファースト……この場に集まった者達に私からの最後の命令を下します。いいですか?」

(ファースト一向)

「「はっ!」」

(カトレア女王)

「貴方達はカナン皇子達と一緒に皇女フィリルを連れて旅に出なさい。そして、いつかまたこの地に戻り、カトレア国を再建して下さい。いいですね?」

(フィリル)

「そんなお母様……私も……私もこの城に残ります。お母様を置いては行けません」

(カトレア女王)

「フィリル、わがままを言うんじゃありません。……あの時、すでに約束したはずですよ」

(フィリル)

「分かっておりますが……お母様はどうなさるのですか?」

(カトレア女王)

「私は女王として最後までこの城に残ります」

(フィリル)

「だったら……だったら、私もこの城に残ります」

(レオン)

「女王陛下、我々もこの地に残り最後までお供いたします」

(カトレア女王)

「なりませんっ!もし、ここでこの国が滅んだら……一体誰がこの国を導くのですか?貴方達には期待をしているのです。この国を何時か導いていく者達になるであろうと……」

(フィリル)

「だったら何故?何故お母様はこの城に残ると言うの。一緒に逃げればいいではありませんか?」

カトレア女王はフィリルの頬を思いっきり叩いた。

(フィリル)

「お母様……どうして……」

(カトレア女王)

「フィリル、すみません。私にはこの国の国民の為に最後まで見守らなければならない義務があります。それだけは何があっても変えるわけにはいきません。それに旅をするには少し遅すぎます。だから……貴方はカナン皇子達と共にお行きなさい」

(フィリル)

「お母様……」

フィリルはまだ言葉を続けようとしたが、途中で息を飲み込み涙を堪えてその言葉を呑み込んだ。

(カトレア女王)

「カナン皇子……という理由でこの者達の同行をよろしくお願いします」

(カナン)

「はい……分かりました……」

(カトレア女王)

「それではメトラの港にお向かいなさい。メトラの港に船の出航の準備をさせてあります」

(カナン)

「何から何まで色々と面倒を見ていただき、本当にありがとうございました」

カナンは深々とお辞儀するとカトレア城を急いで出発した。そして、メトラの港に辿り着くとカナン皇子一向はモルグス国のボルゲの港を目指して出航した。


その頃、カトレア城ではラングス王がカトレア女王と話をしていた。

(カトレア女王)

「ラングスよ……一体なぜこの様な愚かな真似を?」

(ラングス王)

「それはお主がカナン皇子をかばい、わが国に対して敵対の意志を見せたからだ」

(カトレア女王)

「それは違います、ラングス。貴方のしている事は間違っています」

(ラングス王)

「ふんっ!間違ってなどいるものかっ!カナン皇子を生かしておいては後々面倒な事になる。あやつはこのわしがこの世から葬り去るのだっ!」

(カトレア女王)

「ラングス……私には貴方が何を考えているのか分かりません。何を考えているのですか?」

カトレア女王が訪ねると突然ラングス王の背後から声がした。

(バルズ)

「……この世の整地ですよ」

(カトレア女王)

「貴方は一体?」

(バルズ)

「これは、これは……大変な失礼を……私の名はバルズと申します。私は邪龍族の生き残りでございます、女王陛下」

(カトレア女王)

「そんな……邪龍族は全て天空人によって抹殺されたはずなのに……」

(バルズ)

「えぇ、そうですね。私達の一族は全てあなた方の先祖によって殺されたはずでした……ただし、それは地上の者だけ。私の先祖達は地下の洞窟で生き残っていたんですよ。何時か地上に邪龍神を復活させる為にね」

(カトレア女王)

「貴方達の目的は一体何ですか?邪龍神を復活させてどうするつもりですか?」

(バルズ)

「ですからこの地を整地するつもりなのです。この世界は腐っています。いつまでも終わらぬ戦いこそこの世界にとって必要なのですよ」

(カトレア女王)

「この世界の人間はそんな事など望んではいません」

(バルズ)

「どうでしょうか?ならば、なぜ人間は争うのでしょうか?なぜ武器を取って戦うのでしょうか?……それは人間が戦う事を望んでいるからです。その為には邪龍神を復活させる必要があるのですよ」

(カトレア女王)

「確かに……人間は争う事をやめる事はない。ですが……全ての人間がそうではありません。中には他の者を守る為に戦う者もいるし、本当に平和を望んでいる者だっています」

(バルズ)

「だからどうしたというのですか?形は違いますが、戦いをする事には変わりませんよ。それに本当に平和を望んでいる者なんてこの世界にはいません。そう思っている者は夢を見ている者達ばかりだ。だから私が……その夢を覚ましてあげるんですよ」

(カトレア女王)

「あなたの野望は必ず未来の光によって防がれるでしょう。それが……この世界の望んでいる答えです」

(バルズ)

「未来の光ですか……ふふっ……その様な惑かしなどいずれ消えるでしょう。そう今のあなたの様にね」

バルズは禁断の呪文を詠唱した。すると一瞬にしてカトレア女王は真黒い炎の中に身を包まれた。

(カトレア女王)

「どうやら……ここまでのようですね……フィリル。もう一度だけ……もう一度だけ貴方を……抱きしめ……たかっ……た……わ……」

カトレア女王はそのまま黒い闇の中へと焼失していった。


その頃、カナン達を乗せた船の上でフィリルが夜空にお祈りをしていた。

(フィリル)

「どうか……どうかお母様がご無事であります様に……」

フィリルが願っていると星が一つ流れて暗い闇の中へと消えていった。

(フィリル)

「お母様っ!」

フィリルが呟き、夜空を見上げた。そして、フィリルは一粒の涙を頬へと流した。

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