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グランドスター  作者: 東メイト
第二章 カトレア王国編
4/28

弟4話:カトレアの皇女

カナン達の乗った船はカトレア国のレトアの港に到着した。

(カナン)

「ふぅ……やっとカトレア国に着いたんだね。これから、どうするんだい、レクトル?」

(レクトル)

「そうですね……まずはカトレアの女王陛下にご挨拶をいたしに行きましょう」

カナン達が会話していると突然カトレア城の兵士達がカナン達に近づいて来た。

(カトレア兵)

「カナン皇子ご一行様でございますね?」

(カナン)

「えぇ、そうですが……僕達に何かご用でしょうか?」

(カトレア兵)

「女王陛下がお城にてカナン様達をお待ちになっております。どうぞ、ご同行をお願いいたします」

(カナン)

「カトレア女王が?」

(カトレア兵)

「はい……カナン様が来られるのを首を長くしてお待ちです」

カナン達はカトレア兵達に連れられてカトレア城へと案内された。


カトレア城に着いた時、一人の少女がいきなりカナンに飛び付いてきた。

(???)

「わぁ、カナン君っ!ずいぶん大きくなったわね」

(カナン)

「えっ……あなたは一体誰ですか?」

(???)

「えっ?もしかして……私の事を忘れてしまったの?酷いっ!前はあんなに懐いていたのに……」

(カナン)

「……すいません。僕は本当に覚えていないんですが……」

カナンは突然現れた少女に翻弄されていた。

(???)

「ふふ……冗談よ。まったくそういうところ昔のままなのね。でも、そこがまた可愛いわ」

(レクトル)

「あなたはもしや……フィリル皇女様ではございませんか?」

(フィリル)

「えぇ、そうよ。さすがね、レクトル君はちゃんと覚えててくれたのね」

(カナン)

「えっ?そうなの、レクトル」

(レクトル)

「間違いありません。フィリル皇女はカナン様が赤ん坊でいらっしゃった頃から時々メルトア城へと遊びに来られております」

(フィリル)

「そうね、赤ん坊だったカナンをあやした事もあるし、城の中で隠れん坊や追いかけっこもした事があったわね……うふふ」

(カナン)

「言われてみれば……確かそんな事をしていた事もあったような……」

(フィリル)

「そうでしょ。それに将来は私をお嫁にするて言った事も覚えている?」

(カナン)

「えっ?えっ?えーーーー!本当ですか!!」

(フィリル)

「酷い……もしかしてまったく覚えてないの?」

(カナン)

「……ごめんなさい。本当にごめんなさい」

(フィリル)

「ふふふ……あははは。やっぱり変わってないわね、そういうところ。今の言葉はまったくの大嘘よ。何か困るとすぐに謝るのね。でも……そんなところが本当に可愛いのよね」

フィリルはカナンに笑いかけた。


カナン達はフィリルに案内され、カトレア女王の待つ女王の間へと辿り着いた。

(カトレア女王)

「よくぞ、この国まで来られましたね。大体の事情はお察ししています。とりあえず、しばらくの間はこの城でしっかりとお疲れをお取り下さい」

(カナン)

「カトレア女王……本当に何から何までありがとうございます」

(カトレア女王)

「いいえ、気にしなくてもよいのです。貴方の父上殿とは同盟国の間柄でしたから。それに本来であれば、貴方の国が襲われた時にすぐに助けに行かなければならなかったのに……すみません」

カトレア女王は深々と頭を下げるとカナンに謝罪した。

(カナン)

「カトレア女王様……お顔をお上げ下さい。こうして、私達をかくまって頂けでも十分に嬉しく思います。亡き父に代わり深く感謝いたします」

カナンは頭を下げるカトレア女王に恐縮しながら頭をあげるように両手を大きく振った。そして、深々と頭を下げた。

(カトレア女王)

「それでは……客室に案内させますね」

カトレア女王は片手をあげると兵士を呼び寄せ、カナン達を客室へと案内させた。

カナン達は久々にゆっくりとした時間の中を過ごす事ができた。


レイニード達が案内された客室には大きなベットが四つほど並べられていた。

(レイニード)

「いや、こんな大きなベット始めてだぜ。さすがは王族だな」

(デライト)

「ああ、まったくだ。しかも、こんなにふかふかしているしな。なぁ、レイニード、これから俺達はどうなってしまうのだろうか?」

(レイニード)

「さぁな?俺は馬鹿だからそんな先の事なんて考えた事が無いぜ。けれど……これだけは言える。どんな事があってもカナンの傍についてるだろうさ」

(デライト)

「そうだな……これからなんてどうでもいい事だ。カナンさえ信じていれば、きっとうまくいくはずだ」

デライトはベットでうつ伏せになり、レイニードは窓から月を眺めていた。


その頃、レクトルとキリトはテラスでこれからの事について話し合っていた。

(レクトル)

「ふぅ……ここまで来るのはとても大変な道のりであったな」

(キリト)

「えぇ、本当ですね。けれどこれからはもっと大変になるでしょうね」

(レクトル)

「そうだな。もっと強い武器がたくさん必要になるし、金だってたくさんいるな」

(キリト)

「そうですね。それに強い仲間も必要になりますね」

(レクトル)

「まさにこれからが苦難の道の始まりなのかもしれない」

レクトルと話をしていると不意にキリトは一瞬不安そうな表情を浮かべた。そして、自分の中で抱いた不安をレクトルに打ち明けた。

(キリト)

「レクトル……私は今ふと考えてしまった。もし、私がアースティア様をお守りする事ができなかったら……私はどのような後悔をするのだろうか?」

(レクトル)

「突然どうしたんだ、キリト?お前らしくないぞ。お前がその様な弱気な事を言うなんて……」

(キリト)

「レクトル、私は怖いのです。もし、アースティア様の笑顔を失う事になれば……」

(レクトル)

「キリト、その気持ちは私も同じだ。だけど……私はカナン様だけを死なせる様な真似は決してしない。その時の事など考えられない。いや、考えては駄目だ」

(キリト)

「……そうですね。私達が弱気になんてなっていたら守らなければならない者も守れませんね。もうこんな弱音は二度と言いません」

キリトはレクトルの方へと手を伸ばすと力強く握り締めて硬い絆を結んだ。


その頃、女性陣は入浴場で話をしていた。

(アースティア)

「ああ、なんて気持ちがいいのかしら……久しぶりに手足をうんと伸ばす事ができるわ」

(ティラミス)

「うむ……なかなか気持ちが良いものだな」

(アースティア)

「なんかティラミスさんって男ぽいわね。顔や髪はこんなに綺麗なのに……」

(ティラミス)

「うーん、そうか?私は私のつもりなのだが……」

(アースティア)

「うーん、そうね……きっと、その喋り方がいけないのよ」

(ティラミス)

「そうか?私は対して気にならんのだが」

(アースティア)

「絶対になおした方がいいよ。せっかく綺麗な顔をしてるんだから……」

(ティラミス)

「まぁ、いいじゃないか。私はこういう性分なのだ」

ティラミスは苦笑いを浮かべるとアースティアの会話を遮った。

(フィリル)

「随分と会話が弾んでいるようね?」

アースティア達が話をしているとそこへ胸にタオルを当ててフィリルが入ってきた。

(フィリル)

「どう?私の城の浴室は気に入ってもらえたかしら」

(アースティア)

「ええ、とても気持ちいいわ」

(フィリル)

「それは良かった。いきなりでなんだけど、あなたの事をアースティアちゃんって呼んでいいかしら?別に子供扱いでそう言ってる訳じゃないんだけど……ちょっと癖になっててね」

(アースティア)

「別にいいわ。私は全然構わないわ」

(フィリル)

「ありがとう。ところでアースティアちゃんはずばり……カナン君の事が好きでしょ?」

フィリルの突然の質問にアースティアは驚いた表情を浮かべた。

(アースティア)

「えっ、えっ、えーーーー!どうして分かるのっ!」

(フィリル)

「だって……カナン君達がここへ来た時、私がカナン君にいきなり抱きついてあなたはすごい目で私をにらんでいたでしょ?それに私がふざけて『お嫁さんにしてくれるんでしょ?』って言った時もすごい悲しそうな目をしてたわよ」

(アースティア)

「えっ、嘘……そんなに私、顔にでてた?」

(フィリル)

「えぇ、すごい視線で私が思わず謝りそうになったくらいだったわ」

それを聞いてアースティアは顔が真っ赤になった。フィリルはそんなアースティアを見て思わず抱きついた。

(アースティア)

「きゃっ!」

(フィリル)

「本当に素直なのね、アースティアちゃんって……顔が真赤になってるわ」

(アースティア)

「嘘っ!そんな事無いもん……」

アースティアはフィリルからそっぽを向けるとお湯の中に顔をつけた。

(フィリル)

「そっか……まぁ、仕方がない事かもしれないわね。カナン君はカッコ良くなってたし、それに人をひきつける何か不思議な魅力を持っているしね」

アースティアはさらに顔が赤くなり、黙りこくってしまった。

(フィリル)

「でも良かったわね、アースティアちゃん。カナン君もアースティアちゃんの事を好きみたいよ」

(アースティア)

「えっ?どうしてそんな事が分かるの?」

(フィリル)

「実は先までカナン君にこれまでの経緯を話してもらっていたの。それでね……色々な事を聞いたわ。国の事、生き延びて山村で暮らした事、レクトル君の事、レイニード君やデライト君の様な友達の事、そして……あなたの事も聞いたわ」

(アースティア)

「ねえ?私の事なんて言っていたの?教えて……」

アースティアはフィリルの話に飛び付くと興味津々な様子で訊ねた。

(フィリル)

「そうねぇ……『明るくてとても元気で傍にいるだけで疲れが吹き飛ぶ様な人だって』……そう言っていたわ。それにね……カナン君はあなたの事を話している時が一番嬉しそうに話していたわよ」

(アースティア)

「それって本当なの?」

(フィリル)

「えぇ、嘘なんて一言もついてないわ」

フィリルは満々な笑みでアースティアに答えた。そう言われて何故かアースティアは暗い表情を浮かべた。

アースティアの表情に気づいたフィリルは急いで話題を変えた。そして、ティラミスに話を振った。

(フィリル)

「ところでティラミスさん?」

(ティラミス)

「んっ?どうかしたのか?」

(フィリル)

「その胸に浮かんでいる紋章なんだけど……もしかして、あなたって……」

ティラミスの胸にはカナンやフィリルの胸に刻まれている聖痕のようなものが浮かび上がっていた。

(ティラミス)

「この傷のことか?これは……昔の古傷さ」

(フィリル)

「古傷?」

(ティラミス)

「ああ、昔、剣の修行をしていた時に未熟だった私がうっかりと胸に丸太が当たってしまってな……」

ティラミスは滝の上から丸太を流してそれを切る特訓を行っていた。

(ティラミス)

「それ以来、胸にこのような痣ができてしまったのさ……実に恥ずかしいことだ」

(フィリル)

「ふ~ん……そうなんだ……」

フィリルは怪訝そうな表情を浮かべていたが、ティラミスの言う事を信じることにした。

(フィリル)

「それじゃ……ティラミスさんはこれまでに誰かを好きになったことはないの?」

(ティラミス)

「私が好きになった奴のことか?」

(フィリル)

「ええ、そうよ」

(ティラミス)

「今のところは誰もいないな」

(フィリル)

「あらそうなの?もったいない。ティラミスさんのような綺麗な人なら声をかけてくる男性も多いいんじゃないの?」

(ティラミス)

「確かによく旅の途中で声をかけられる事は多かったな……けれど、私は自分より弱い者には興味が湧かないからな。全て叩き払ってお引き取りしてもらったさ。大抵の者が私の剣についてこれなくてそのまま尻尾を巻いて帰っていたよ」

(フィリル)

「へぇ……もったいないわね。せっかくそんなに綺麗な顔や美しい体をしているのに強い男にしか興味がないなんて……」

(ティラミス)

「弱い者と一緒にいても強くはなれないからな」

(フィリル)

「でも、それじゃ一生好きな人には巡り合えないのかもしれないわよ?」

(ティラミス)

「そうなったらそうなったで剣と共にいきれば良いのさ。まぁ、人には人の好きな生き方がある。好きになる奴ができたら、その時に生き方を変えればいい」

ティラミスはそう言い残すと浴室を出ていった。

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