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グランドスター  作者: 東メイト
第四章 ペンタス王国編
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第17話:暫しの休息

カナン達はクレナイの安否を確認するために一時的にジョルフィアの街に滞在することにした。カナン達は宿を決めるとそれぞればらばらに買い物を始めた。

(カナン)

「アースティア……もう先の事は大丈夫かい?」

(アースティア)

「ええ、カナン……私はもう大丈夫よ」

(カナン)

「良かった……そうだっ!アースティア、君に渡したい物があるんだけど……ちょっとだけ目を閉じててくれるかな?」

アースティアは不思議そうに首を傾げながらもカナンの言う通りに目を閉じた。カナンはアースティアの首に首飾りを取り付けた。

(カナン)

「……もう目を開けてもいいよ」

(アースティア)

「……わぁっ!とても綺麗な石ね。カナン、これ?どうしたの?」

(カナン)

「いや……アースティアにこれは似合うんじゃないかって思わず店で買ったんだ」

(アースティア)

「ありがとう、カナン……私……今とても幸せだわ。これ……大事にするからっ!」

アースティアはカナンに飛びつくと力一杯抱き締めた。


その頃、フィリルはレオンとディザード、ベレーと行動を共にしていた。

(フィリル)

「ねぇ?あなた達は何時になったら私一人で行動させてくれるのかしら?」

(レオン)

「なりません、姫様っ!この様な所を部下も付けずに出歩くなど……危険でございます」

(ディザード)

「そうですよ、姫。姫にもしもの事があっては女王陛下に合わせる顔がありません」

(ベレー)

「それに姫の様に美しい方がこんな場所を一人出歩いたらすぐに悪い虫が飛んでくるぜ」

レオン達はフィリルが何と言おうと離れる気はないようであった。そこでフィリルは街角まで全速力で走って裏路地へと隠れた。

当然レオン達もフィリルの後を追って街角まで走ったがそこには姫の姿はなかった。レオン達は3人に分かれてそれぞれフィリルを捜した。

フィリルはレオン達から隠れながらレイニードのことを捜していた。そして、レイニード達を武器屋で発見した。

(フィリル)

「はぁはぁはぁ……やっと見つけたわ……レイニード君」

(レイニード)

「どうしたんだ……フィリル?何をそんなに慌てているんだ?」

(フィリル)

「はぁはぁ……ちょっとね。レオン達があまりにしつこく付いてくるから煙にまいたのよ」

(レイニード)

「はっはっはっ……なんかフィリルらしいな。でも、きっとレオン達は困っていると思うぜ?」

(フィリル)

「いいのよ。だって私は鳥かごの鳥じゃないものっ!いつも傍に居られたらこっちが参ってしまう。それよりも……あなたにこの前のお礼が言いたかったのよ……」

フィリルは仕切りにデライトの方を気にしていた。

(レイニード)

「わりぃ、デライト。俺……ちょっと外に出てくるぜ」

(デライト)

「ああ、分かったよ」

レイニードはデライトに断りをいれるとフィリルと共に店の外へと出ていった。そして、レイニード達は人気のない場所へと移動した。

(レイニード)

「この辺なら邪魔者は誰もいないみたいだぜ?」

フィリルは恥ずかしそうに身体を震わせながら口を開いた。

(フィリル)

「この前は……この前は助けてくれて本当にありがとう。あなたがいてくれたから助かる事ができたわ」

(レイニード)

「ああ、その事なら気にしなくていいさ。あの場合、誰だってああするだろ?」

(フィリル)

「うん、そうかもしれない。だけど……あれからレイニード君の事が忘れられなくて……」

(レイニード)

「という事は……あんた、まさかこの俺に惚れたのか?」

フィリルは顔を真赤にして頷いた。

(レイニード)

「そうか……その気持ちは嬉しいが、俺は止めとけ」

(フィリル)

「どうしてっ!どうして、私がレイニード君を好きになってはいけないのっ!」

(レイニード)

「俺とあんたじゃ身分が違いすぎる。俺は所詮ただの平民……そして、フィリルは国がなくなったとはいえ王家の血を引いたお姫様だ。釣り合いが取れるわけがねえ」

フィリルは悲しそうに瞳を潤ませるとレイニードに言った。

(フィリル)

「私が姫だから悪いの?私が姫でなかったら、あなたは私の事を好きになってくれていたの?」

(レイニード)

「いや、違うと思う……」

(フィリル)

「だったら……どうすれば……どうすれば、あなたは私に振り向いてくれるというの?」

(レイニード)

「……分からない。俺は人を愛した事がない。だから、不安なんだ。俺が愛されるに値する男かどうか。その答えが俺には見つけられない……」

(フィリル)

「レイニード君……」

フィリルはいきなりレイニードの唇に自らの唇を重ねた。

(フィリル)

「大丈夫……あなたは十分に人を愛する事ができるわ。だって……私をこんなに愛させたんだからっ!それに人は誰でも最初は愛を知らないわ。私と一緒にその答えを見つければいいじゃないの?」

(レイニード)

「フィリル、そんなに俺の事を……」

レイニードはしばらく沈黙した後、フィリルの唇を再び奪って言った。

(レイニード)

「分かったぜ……お前は俺が責任持って必ず守るっ!だから、お前は俺の傍にいってくれ。俺と一緒に答えを見つけようぜ」

フィリルはレイニードの胸に自らの顔を付けて静かに涙をこぼした。


その頃、ファーストは露店商でペンダントを欲しそうなエルメスを発見した。

(ファースト)

「エルメス殿、この首飾りが欲しいのですか?」

(エルメス)

「えっ!えっ!ええっ!どうして、ファースト様がこの様な所に……」

(ファースト)

「いえ、偶然あなたを見かけたもので……それよりこの首飾りが欲しいんですか?」

(エルメス)

「はい……なんか綺麗だなって……」

(ファースト)

「そうですか……分かりました。店主、このペンダントをください」

ファーストは懐から金を取り出すとエルメスが眺めていたペンダントを買い取った。そして、そのペンダントをエルメスの首にかけた。

(エルメス)

「えっ……どうして、これを?」

(ファースト)

「プレゼントしますよ。お誕生日おめでとうございます」

(エルメス)

「そうだった!そう言えば今日は僕の誕生日だ……でも、どうしてファースト様が僕の誕生日を?」

(ファースト)

「さぁ、どうしてでしょうね?」

ファーストは笑って誤魔化した。

(エルメス)

「ねぇ、ファースト様……1つだけ聞いてもいい?」

(ファースト)

「何でしょうか?」

(エルメス)

「ファースト様はどうして何時も私にそんなに優しくしてくれるの?」

ファーストはしばらく考えた後にエルメスの質問に答えた。

(ファースト)「それはですね……エルメスが私にとって妹の様な存在だからです。それに私はあなたのお兄様にあなたの事を頼むと言われましたから……」

(エルメス)

「そんなっ……そんなのってっ!あんまりだっ!」

エルメスは怒りのあまりファーストの頬を思い切り引っ叩いてしまった。突然の出来事にファーストはただただエルメスの後ろ姿を見つめているだけであった。


その頃、ティラミスは一人で街の外の方をぶらぶらと散歩していた。

(???)

「やっと……やっと見つけたぞ、ティラミスっ!」

(ティラミス)

「その声は……兄上っ!どうして、この様な所に?」

ティラミスが振り返えるとそこにはデザート国の第一皇子ジェラートが立っていた。

(ジェラート)

「お前を連れ戻す為だよ。父上はお前の事をたいそう心配しているぞ。

そろそろデザート国に戻るつもりはないのか?」

(ティラミス)

「兄上、私にはまだしなければならない事がたくさんある。それに私はもうデザートの地に足を踏み入れまいと思っている。私は国を捨てて剣と共に生きる事を誓った。だから……私は国には戻りらないっ!」

(ジェラート)

「そうか……お前はまだシャインの事にこだわっているのか。お前ならきっとそう言うだろうと思っていたが……だがっ!私にもお前を連れて帰るという使命がある。もし、どうしても帰りたくないと言うのであれば……私と戦って勝利してみせよ。そうすればシャインとの実力の違いも分かるであろう」

ジェラートは剣に手をかけると静かにティラミスへと近づいた。

ティラミスは剣を鞘から抜いてジェラートに向けて剣を構えた。そして、ティラミスは一瞬の内にジェラートの間合いに入ると流星剣を放った。しかし、ジェラートはこの流星剣を軽く見きり、一つ、二つ、三つ、四つ、五つと全て紙一重でかわした。

(ジェラート)

「どうした、ティラミス?お前の剣の腕はこの程度のものなのか?」

(ティラミス)

「まだまだっ!」

ティラミスは再びジェラートに向かって突進していた。そして、ティラミスはジェラートの懐で軽く二、三度と剣を振り、ジェラートがそれを紙一重に避けた瞬間、そこからさらに流星剣を放った。しかし、ジェラートはまたもや全ての流星剣を見きると全て紙一重で受け流した。

(ジェラート)

「どうした?こっちだ、こっち。お前の剣はまだ一度も私に振れてはいないぞ。それではまだまだシャインの実力には程遠いぞっ!」

(ティラミス)

「はぁはぁはぁ……私はまだ負けを認めてはいない。必ず、兄上に一撃いれてみせるっ!」

ティラミスは珍しく息をきらしながらジェラートに挑んだが、ジェラートには全然届かなかった。それどころかジェラートは息すら切らせていなかった。

(ジェラート)

「お前にはまだ流星剣の本当の力を見出せてはいないな。お前の放っている流星剣はただの連撃にすぎない……流星剣とは一度の動きで5回の剣の流れを掴むこと。即ちっ!ただ闇雲に相手を斬るのではなく剣を一連の動作で動かすという事だ。それを理解せずに放ったところでそれは単なる猿真似にすぎぬ」

(ティラミス)

「そんな事など分かっているっ!剣を素早く振り、確実に相手へダメージを与える事であろう……いくぞっ!」

ティラミスはまたもや流星剣をジェラートに放ったが、ティラミスが何度やろうともジェラートの身体に剣が振れる事はなかった。

(ジェラート)

「口で言っても分からない様だな。ならば……ティラミスっ!自らの身体をもって感じるがいい、そして、己の未熟さを知って私と共に国へ戻るのだ。これが……真の流星剣だっ!」

ジェラートは瞼を閉じると静かに呼吸を整えた。そして、音もなくティラミスに近づくと次の瞬間、まず剣を下から上に繰り上げてティラミスを空中へと打ち上げた。

さらにその状態から一撃、二撃と連続で斬り、そして、ティラミスの身体を地面に叩き付けると同時にジェラートは空中に飛び上がってティラミス目掛けて剣を振り下ろした。

(レクトル)

「させませんっ!」

(ジェラート)

「……なっ!」

(レクトル)

「ぐはっ!」

レクトルはジェラートの一撃を受けて地面に両膝を着けた。

ジェラートはティラミスの手前で剣を止めるつもりであったが、急に飛び出してきたレクトルに反応しきれずに本気の一撃を喰らわせてしまった。

(ティラミス)

「そんな……レクトルっ!なぜだっ!なぜなんだっ!」

ティラミスは倒れ掛かってきたレクトルを支えるとすぐにレクトルの傷口の手当てを始めた。

幸いにジェラートがぎりぎりの所で剣の力を抜いていた為、レクトルの傷は致命傷にはならなかった。

(ジェラート)

「……とんだ邪魔者が入ってしまったな。興が削がれた……私はこの先の丘で待っている。ティラミス……国に帰る決心が付いたならば来るがいい……」

ジェラートはそう言い残すとレクトルのことをティラミスに任せてその場を立ち去っていった。

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