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グランドスター  作者: 東メイト
第三章 モルグス帝国編
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第11話:悲しき運命

ファミーラのアマゾネス部隊はカナンの部隊と接触した。

(ファミーラ)

「聞けーーーっ!カナンの部隊よ。すぐにこの場に逆賊カナンの首を差し出せっ!さもなくば私達アマゾネス部隊は即刻攻撃を開始するっ!」

(カナン)

「あの女性は……何処かで見覚えがある様な……」

カナンがファミーラの顔を見ながら首を傾げているとレクトルは驚きの表情を見せた。

(レクトル)

「まさか……嘘だ……そんなことが……あるはずが……だが……あの女性は……」

(カナン)

「どうしたんだ、レクトル?彼女のことを知っているのかい?」

(レクトル)

「……」

レクトルは混乱する頭を整理しながら沈黙を保った。

(カナン)

「ねえ?レクトル……どうしたというだ?」

(レクトル)

「カナン様……驚かずに聞いて下さい。あの方は……ラミア様です。カナン様の妹君でございます」

(カナン)

「そんな……レクトル。僕の家族は皆、ラングス王に処刑されたはずでは?」

(レクトル)

「確かにその様に噂されていたはずなのですが……けれども……あれは間違いなくラミア様に間違いございません。大分成長なされてますが、幼き頃の女王様の面影が残っております。それにあの胸に隠されている聖痕はカナン様と同じ物だと思います」

(カナン)

「そんな……どうして……どうして、妹のラミアが僕の首を狙っているんだ。どうして、敵の方について戦っているんだ。レクトル、教えてくれ……僕はどうすればいいんだ……」

カナンは突然訪れた驚愕の事実に戸惑いを隠せなかった。

(レクトル)

「カナン様……落ち着いて下さい……カナン様とラミア様はご兄弟です。話し合う事ができれば、きっと……きっと説得する事ができるはずです」

(カナン)

「……そうだね、レクトル。話し合えれば、きっとラミアも分かってくれるはずだね」

カナン達はラミアの下まで白旗を揚げて近づいた。

(ファミーラ)

「素直に逆賊カナンの首を差し出す気になったか?」

(カナン)

「ラミア、話を聞いてくれ……」

(ファミーラ)

「ラミア?何を言っている。私の名はファミーラだ。どうやら、逆賊カナンの首をだす気は無いらしいな。ならば……」

ファミーラは剣を振り上げ、攻撃を開始した。そして、ファミーラはカナンに斬りかかってきた。

カナンは急いで剣を抜いてファミーラの剣を受け止めた。カナンはファミーラの攻撃を受けながら会話を続けた。

(カナン)

「ファミーラ……僕の話を聞いてくれ。君の本当の名はラミアだっ!そして、僕の妹なんだ。だから、僕は君と戦いたくない」

(ファミーラ)

「何を……何を馬鹿な事を言っているっ!私はファミーラだっ!私には兄などいない。私の兄弟は姉上だけだっ!」

(カナン)

「お願いだっ!これを見て……僕の事を思い出してくれっ!」

カナンは自分の胸にあてていた布を剥ぎ取るとファミーラに胸に刻まれている聖痕を見せた。

(ファミーラ)

「そんな……その紋章は……」

(カナン)

「そう……君の胸にも同じものがあるはずだ。この紋章こそが僕と君が兄弟だという何よりの証拠なんだっ!」

そのカナンの聖痕を見た瞬間、ファミーラは頭の中で幼い頃にあった微かな記憶を呼び起こしていた。

(ラミア)

「……あなたは……本当に……私の兄上……なの?」

ラミアは剣を下の方に向けると静かに俯いた。ラミアは突然の出来事に混乱していた。

そんなラミアを見て心配したカナンはラミアに近づき、そっと手をまわして強く抱きしめた。ラミアは持っていた剣を地面に落とすと涙を溢した。

(ラミア)

「本当に……本当に兄上なのね?これは夢じゃないのね?」

(カナン)

「ああ、ラミア……これは夢なんかじゃないよ」

ラミアもカナンの腰に手をまわそうとした瞬間、ラミアの頭の中でスフィアの死の瞬間が過った。

(ラミア)

「……スフィアお姉様っ!」

我に返ったラミアはカナンを突き飛ばすと腰に隠し持っていた短剣を抜き、左肩に突き刺した。

(カナン)

「ぐっ!」

(アースティア)

「カナンっ!」

(レクトル)

「カナン様っ!」

(ラミア)

「……ごめんなさい、兄上。私にとってスフィアお姉様は大切な人なの。だから……私はスフィアお姉様を助けたいっ!そのためにはどうしても……どうしても兄上の首が必要なのです」

ラミアは落ちた剣を拾うと再びカナンの方に傾けた。

(カナン)

「ラミア……僕達は本当に戦わなければならない運命なのか?もう一緒に道を歩む事はできないのか?答えてくれ……ラミアっ!」

(ラミア)

「兄上……もう一度言います。私はスフィアお姉様を助けたいのです。だから……お願いします。私と戦って下さいっ!」

ラミアは剣を構えるとカナンに突進してきた。カナンは右手でこの攻撃を受けた。

カナンの左肩の傷口からは容赦無く血が流れていた。カナンは痛みに堪えながらラミアの説得を続けた。

(カナン)

「本当に……本当にもうこの選択肢しか残ってないのか、ラミアっ!」

(ラミア)

「そうですっ!兄上……私は覚悟を決めましたっ!」

(カナン)

「僕達と一緒にフィザーク将軍を倒し、スフィアさんを助ける事は出来ないのか?」

(ラミア)

「駄目なのです、兄上っ!私達が反旗を振り替えした瞬間、スフィアお姉様の処刑は執行されてしまいます。だから……」

再び、ラミアとカナンは剣を交えた。お互いに交差する剣。いくつもの剣の音がこの谷で響いた。やがて、お互いに息が切れ始めた。

(カナン)

「はぁ……はぁ……はぁ……ラミア……本当に違う道を……」

(ラミア)

「……くどいですよ、兄上っ!覚悟を決めて下さい。行きますっ!」

ラミアは渾身の力でカナンに突っ込んできた。カナンも剣を構えたが、ラミアを殺す訳にはいかないと思って静かに目を閉じた。そして、自らの敗北を望んだ。

その間はとても短い間であったがカナンにはとても長い間な気がしていた。そして、ザクッと何かが突き刺さる音がした。しかし、カナンには痛みを感じなかった。

カナンが再び目を開けると剣が突き刺さっていたのはラミアの方であった。

(カナン)

「……ラミア……なぜだっ!」

(ラミア)

「兄上……これでいいのです……兄上が私を殺せないと……示した様に……私も兄上を……殺せなかった……」

(カナン)

「ラミア、君は最初から……」

(ラミア)

「兄上……時間がありません……私の最後の……願いを聞いて下さい……どうかスフィアお姉様を……スフィアお姉様を……助けて下さい……」

(カナン)

「ああ……分かっている……スフィアさんは必ず助けるっ!だから……だから、ラミアっ!君も生き続けろっ!」

(ラミア)

「……スフィアお姉様……助けられなくて……ごめん……なさい……」

ラミアは静かに目を閉じた。カナンは血塗れのラミアを強く抱きしめると叫び声をあげた。

(カナン)

「ラミアっ!目を開けてくれっ!ラミアっ!死んでは駄目だっ!ラミアーーーっ!!!」

カナンはラミアを抱き締めたまま動かなかった。他の仲間達もそんな悲しみにくれるカナンに声をかける事ができなかった。ただ一人を除いては……。

(アースティア)

「カナンっ!カナンっ!答えてっ!今ここでカナンが止まってしまったら……ラミアさんの流した血が無駄になるわっ!さぁ、早く立ち上がってっ!」

(カナン)

「……アースティア?」

カナンはアースティアの声に反応するように立ち上がった。しかし、カナンの瞳は曇ったままだった。

(カナン)

「……そうだ。早くザケルの砦に向かわなければ……」

カナン達は急いでザケルの砦へと向かった。アマゾネス部隊はまだ辛うじて息があったラミアを連れて何処かへと消え去った。


ザケルの砦に向かう途中、レクトルはクルーに命令を出した。

(レクトル)

「クルー……お前に頼みたい事があるんだが……」

(クルー)

「何でやんす、レクトルさん?あっしに何かご用ですかい?」

(レクトル)

「ああ……先にザケルの砦に行ってスフィア様を助けてくれないか?そして、私達が砦の近くに来たら門を開けてくれないか?」

(クルー)

「……まかしとけっでやんす。大船に乗った気でいいでやんす」

クルーは一足先にザケルの砦に向かった。そして、地下牢からスフィアを助け出すとカナン達が砦に近づく頃合いを見計らって砦の門を開いた。

そのおかげでカナン達はあっという間にフィザーク将軍のいる将軍の間まで一気に雪崩れ込んだ。

(フィザーク将軍)

「くっ!兵士共め……何をしていたのだっ!」

(カナン)

「フィザーク……よくも人の心を弄んだなっ!その償いを受けろっ!」

カナンはフィザーク将軍の首に剣を突きつけた。

(フィザーク将軍)

「まっ、待ってくれっ!こんな事になるとは思っていなかったのだ。許してくれっ!お前達を攻撃したのも上から命令されたせいなのだ。私の命を助ける様にお前からも言ってくれ、スフィアっ!」

フィザーク将軍はスフィアの方に視線を向けると命を助けるように懇願した。

(スフィア)

「……そういう訳です。もうこの男は戦う意志を持っておりません。どうか……どうか命だけはお助け下さい……」

スフィアはフィザーク将軍の目の前に立ちはだかるとカナンにフィザーク将軍の命乞いをした。

スフィアがカナン達を説得しているとフィザーク将軍はスフィアを捕らえてスフィアの首に槍を突きつけた。

(アースティア)

「スフィアお姉様っ!」

(スフィア)

「ぐっ!フィザーク将軍……何を……なさるのですか……」

(フィザーク将軍)

「うるさいっ!黙れっ!この役立たずがっ!おいっ!お前達……直ちに武器を床に置き投降しろ。さもなくばこの女の命はないぞっ!」

フィザーク将軍はスフィアを人質に取るとカナン達に命令した。

(フィザーク将軍)

「少しでも変な動きを見せたら即刻この女の首をはねるぞっ!」

(カナン)

「くっ!」

(レクトル)

「貴様……どこまでも汚い男だな。部下に命乞いをさせた上にその部下を人質に捕るなど……騎士としての誇りは無いのかっ!」

(フィザーク将軍)

「ふんっ!何とでも言うがいいさ。戦いは最後に勝った者こそ正しいのだっ!さぁ、早く膝まづいて命乞いをしろっ!まぁ、命は助けないがな。はっはっはっ……」

フィザーク将軍は高らかに笑い声をあげると勝ち誇っていた。しかし、この事を予測していたレイニードはフィザーク将軍が頭を下げてる隙に後ろに回り込んでいた。

そして、フィザーク将軍に気付かれない様に弓を引き、フィザーク将軍の頭を射抜いた。

(フィザーク将軍)

「ぐはっ!馬鹿な……この私が死ぬのか……」

フィザークは頭から血を流して倒れた。フィザークが倒れるのを確認するとカナンもまた目を閉じてその場に倒れこんだ。

(アースティア)

「カナンっ!カナンっ!」

(レクトル)

「大変だっ!カナン様が倒れられたっ!早く医者に見てもらわなければ……」

レクトルは大慌てでカナンを背負うと先程の村の宿屋に聖者を探して連れてきた。

(レクトル)

「聖者様っ!カナン様の容態は……」

(聖者)

「外傷的にはどこも以上は見られませんよ。しかし……精神的には酷くお疲れのご様子ですね。その精神の疲れから意識が一時的にとんだものと思われます」

(レクトル)

「そうですか……」

(聖者)

「ですから、しばらくの間は一人でそっとしておいた方が良いかもしれません」

(レクトル)

「……分かりました。色々とお手数をおかけしてありがとうございました」

レクトルは聖者にお礼を言うと聖者を教会へと送っていた。


その頃、宿の別室ではアースティアとスフィアが話をしていた。

(スフィア)

「ごめんなさい、アースティア様……私のせいで……私のせいでこんな事になってしまって……」

(アースティア)

「謝らないで……スフィアお姉様。あの事は決して……お姉様が悪いんじゃないわ」

(スフィア)

「ですが……もし私があの時、ファミーラに真実を教える事ができていれば……この様な事にはならなかったのに……いや、私が騎士の誇りにこだわりさえしなければ二人の兄弟の絆をここまで傷つけなくてすんだのに……」

スフィアは悔しさを滲ませると自分の拳を握り絞めて唇を噛んだ。

(アースティア)

「スフィアお姉様、そんなにご自分のことを責めないで……お姉様がそんなに落ち込んだら、私……私まで……」

アースティアは目に涙を溜めて泣き出した。それを見たスフィアは自分だけでなくアースティアも責任を感じている事を感じ取った。

(スフィア)

「……アースティア様……すみません。アースティア様にまで要らぬ気を遣わせてしまって……本当にごめんなさい」

スフィアは自分の胸にアースティアを抱き寄せるとアースティアのことを慰めた。

(スフィア)

「私はもう自分を責めません。だから、アースティア様も責任を感じて泣かないで下さい。もう大丈夫ですから……」

スフィアは明るく微笑むとアースティアに優しく笑いかけた。

(アースティア)

「ぐすっ……ぐすっ……うん、分かったわ」

アースティアもスフィアの顔を見つめると笑い返した。

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