第1話:動乱の幕開け
初めまして、東メイトと申します。
この小説は自分が学生時代にはまっていたSRPGを元に書いたオリジナル小説です。
正直、あまり面白くはないかもしれませんが……興味があれば読んでみてください。
邪龍が封印されてから数百年の歳月が流れた。
やがて十三の国はそれぞれ大きな発展と共に互いの国で戦争を起こすようになっていた。そして、メルトア国にもモルグス国のラングス軍が攻め込んできた。
(メルトア王)
「なんだとっ!そんな……モルグス兵が攻めてきているだと」
(メルトア兵士)
「間違いありません。すぐ近くの村まで迫ってきています」
(メルトア王)
「そうか……ならば、レクトルをここへ呼べ」
王は王室へと向かう眠っていた少年を連れて戻ってきた。
(レクトル)
「陛下、何事でお呼びでございましょうか?」
(メルトア王)
「うむ、そんなたに頼みたい事があってここへ呼んだ」
(レクトル)
「何なりとお申し付けください」
レクトルは膝を床につけると頭を下げた。
(メルトア王)
「この子……カナンをそなたに守ってもらいたいのだ」
メルトア王はカナンと言う少年をレクトルの方へと向かわせた。
(レクトル)
「私がカナン様を?」
(メルトア王)
「そうだ。そなたはこの国の中でもトップクラスの実力を持っている。だから、そなたにカナンの事を任せたいのだ」
(レクトル)
「はっ!わかりました。この私、レクトルの命に代えましてもカナン様をお守りし、立派な王としてお育て申し上げます」
(メルトア王)
「おお、そうか。それでは速くボルゴの港へ向かうがよい」
(カナン)
「……父上」
(メルトア王)
「カナン……達者でな。善き王として育つのだぞ」
メルトア王はカナンの頭を優しく撫でると別れを告げた。
(レクトル)
「……行きましょう」
レクトルはカナンを馬の後ろに乗せると馬を走らせた。
ボルゴの港にはモルグスの兵達が待ち構えていた。そして、一足先に逃げていた王妃達はそこで捕まっていた。
(レクトル)
「ここからでは無理だな……」
モルグス兵に気付いたレクトルは馬を止めると再び来た道へと引き返した。そして、途中の山村の中に逃げ込んだ。
その頃、メルトア城ではラングスがメルトア王と話をしていた。
(メルトア王)
「どうして、この様な真似を?」
(ラングス)
「……理由など無い。我がここに住みたいと思ったからだ」
(メルトア王)
「なんだとっ!その様な事でこの国を滅ぼそうとしているのか」
(ラングス)
「うるさい。黙れっ!お主の国が弱かったからこの様な事になったのだろう?」
ラングスはメルトア王の言葉を一蹴すると不敵な笑みを浮かべた。
(ラングス)
「所詮、この世は弱肉強食だ。弱い物の言葉など聞く耳持たぬ」
(メルトア王)
「そうか。ならば、せめて家族の者達と国民の命は助けてくれ」
メルトア王はラングスの説得を諦めると家族の命乞いをした。
(ラングス)
「ふん、断る。王族の者は皆殺しだ。国民の命は助けてやろう。ただし、我に逆らう者は容赦せぬぞ」
ラングスは容赦なくメルトア王の首を撥ね飛ばした。そして、それを影から見て笑う者がいた。
こうしてメルトア国は滅びラングス国が造られた。
そして、数年の時が流れた。
ラングス王はメルトア国に自分の家族を呼び寄せると国のあちらこちらに砦を建ててモルグス国の兵士を配置した。
その頃、カナンは山中の村でレクトルに立派に育てられていた。
カナンには不思議な魅力があった。その為、カナンは村の人々からとても愛されていた。
そんなある日、この村に一人の少女が遊びに来た。
少女の名はアースティア。
彼女はラングス王の第四皇女であった。
(アースティア)
「ここは一体何?この様な所に来るのは初めてだわ」
(村の子供)
「わー、変なよそ者が来たぞ」
(アースティア)
「なんですて、無礼なっ!私の名はアースティア、全然変ではありません」
(村の子供)
「そんな事無いもん。だって、そんな格好始めてみるもん。それに喋り方も変だ」
村の子供は初めて見る王族の装いに驚いていた。
(アースティア)
「ああ、もう頭にきたわっ!」
アースティアは騒ぐ子供の頭を思いっきり殴った。
殴られた子供はアースティアに殴り返した。そして、大きな喧嘩となった。それを見つけたカナンは急いで二人の仲裁に入った。
(カナン)
「まあまあ、二人とも落ち着いて、どうして喧嘩してるんだい?」
(村の子供)
「あいつがいきなり僕の頭を殴ってきたんだ」
(アースティア)
「私の事を侮辱したからよ」
(カナン)
「そうなのか。まあ、とりあえず二人とも謝りなよ」
(アースティア)
「何よ偉そうにして……私は何も悪くないわ」
アースティアはカナンにくってかかって来た。
(カナン)
「まあ、そう言わず。ここは互いに悪い所があったと思うよ。だから、二人が謝ればお互いに許せると思うんだけど……それとも君は暴力を振る事は当然だと思っているのかい?」
(アースティア)
「ええ、そうよ。だって私のお父様はいつもそういているもの。弱者は強者には逆らってはいけないって。だから、強くなれて。じゃないといつまでもたっても大人になれないって……」
(カナン)
「それは違うよ。そんな考え方だと他人の気持ちを理解する事はできないよ。それじゃ、いつまでたっても一人のままだよ。それでもいいのかい?」
カナンはアースティアを諭すように優しく話しかけた。
アースティアはしばらく考えた後、馬に乗って城へと帰っていた。
それからアースティアは度々この村に足を運ぶようになった。
そして、村の子供と喧嘩してカナンに止められては城に帰るという事を繰り返した。
そんなある時、カナン達が猟の為に山の中へ入っていった時の事。
それを見ていたアースティアはカナン達の後を追って山の中へと入った。しかし、途中でカナン達を見失い、迷子になってしまった。そして、そんな最中アースティアは熊と出くわしてしまっていた。
(アースティア)
「きゃー、誰か助けてっ!」
その叫び声を聞いたカナン達は急いでその場へと向かった。
(レイニード)
「おい、カナン、見ろよ。あのままだとやばいぜ……よし、ここは俺に任せろっ!」
レイニードは弓矢を張って熊の肩を射た。すると熊はカナン達の方へと向きを変えて襲いかかってきた。
そこでデライトが熊の前へ飛び出し足を折った。そして、バランスを崩して倒れてくる熊の首をカナンがはねた。
(カナン)
「もう大丈夫だよ。怖かったかい?」
(アースティア)
「……ぐすっ。とても怖かった。助けてくれてありがとう」
(レイニード)
「へえ、あんたでもちゃんと礼が言えるんだな」
(アースティア)
「うっ、うるさいわよっ!この馬鹿っ!」
アースティアはレイニードの頬を思いっきり叩たいてそっぽをむいた。
(レイニード)
「……痛てて、効いたぜ」
(デライト)
「お前が悪いぜ、レイニード」
この事件を境にアースティアはカナン達と友達になっていた。
それから再び数年の時が流れた。
ラングス家の第一皇女のフローネ姫がモルグス国の皇子と結婚する事になり、その為モルグス国へと馬車で移動していたのだが、その途中でモルゴスの山賊ゴラス三兄弟に襲われた。
そして、フローネ皇女は山賊の頭であるゴラスによって殺されてしまった。
この事件を知ったラングス王は腹を立てて何度もモルゴスの砦へ兵士を送り込んだ。しかし、ゴラスは巧みな罠と戦術で全て返り討ちしていた。
(ラングス王)
「くそっ!またもや全て返り討ちにされたのか。まったく最近の兵士共は情けない。誰かっ!奴らを倒せる者はおらぬものかっ!」
(アースティア)
「お父様、私に心当たりがあるのですが……」
(ラングス王)
「アースティア、お前が知っていると言うのか?もし、それが本当であるのならば、その者達に褒美を取らさなければならぬな」
ラングス王はアースティアの話を聞きながら半信半疑な様子でせせら笑った。
(アースティア)
「……それではこの件は私に任せてもらえますね」
アースティアは自信満々な様子でラングス王に言葉を返した。
(ラングス王)
「ああ……ただし、お前が危険になるような事はするなよ」
ラングス王はそう言うとアースティアにモルゴスの山賊退治を一任した。
アースティアはカナン達の所へ相談する為に山中へと向かった。その後をアースティアの世話役である騎士キリトがついて来た。
そして、アースティアはカナンにモルゴスの山賊の事を相談した。
(アースティア)
「……という理由であなた達の力を貸して欲しいの」
(レイニード)
「しかし、あんたが姫様だったとはびっくりだぜ」
(デライト)
「まったくだ。ただの小娘だと思っていたのにな」
(カナン)
「……」
(レイニード)
「どうしたんだ、カナン?」
そう聞かれてもカナンはしばらくの間ずっと黙っていた。そして、しばらくして重い口を開いた。
(カナン)
「……分かったよ。僕の力でよければ協力するよ」
カナンは優しく微笑むとアースティアに笑い返した。けれど、この事を聞いていたレクトルは大反対した。
(レクトル)
「なりません、カナン様!あなたはそうするべきではありませんっ!」
(カナン)
「すまないけど、デライト、レイニード、アースティア、外へ行っててくれないか?」
アースティア達はカナンに言われるまま外へと出て行った。
(カナン)
「レクトル……」
(レクトル)
「駄目です。何と言われようとも私の意見は変わりませんよ」
レクトルは断固としてカナンの言うことを否定した。
(カナン)
「けれど、レクトル……アースティアは僕の仲間だ。例え、僕の国を滅ぼした王家の者でも僕の大切な仲間なんだ」
カナンは必死でレクトルに訴えかけた。
(レクトル)
「ですが……もし、ここでカナン様が山賊を倒したとしてもラングス王の目にふれてしまえば、きっと捕まり処刑されるでしょう」
(カナン)
「それでも……僕はアースティアの願いを叶えてあげたい」
カナンは何と説得されても自分の意思を曲げる気はないようであった。
(レクトル)
「危険なのです。分かって下さい……」
レクトルは表情を曇らせたままカナンに訴えかけた。
しばらくの間、二人は沈黙していたが、レクトルは溜め息混じりに口を割った。
(レクトル)
「……はぁ、カナン様の決意はよく伝わりました。私の命に代えてもカナン様をお守りいたします」
レクトルは遂に自らの意見を曲げた。
(カナン)
「ありがとう、レクトル。それではすぐに出発しよう」
(レクトル)
「お待ち下さい。二つだけ注意しておきます。一つは絶対に胸の聖印を他人に見せないで下さい」
レクトルはカナンの胸に刻まれている聖痕について注意した。
(レクトル)
「もう一つはここへは二度と戻って来れない事を覚悟しておいて下さい」
カナンは首を縦に振るとアースティアと共にモルゴスの砦へと向かった。
どうでしたか? 面白かったですか?
こんな感じでどこにでもありそうな普通の小説を載せてみました。
なお、この小説は途中で書くのを辞めてしまっているので続きを書くかどうかは不明です。
要望が多ければ書く予定です。
とりあえず、次の話は続きます。
これから一週間おきに挙げていくので興味があれば続きもよろしくお願いします。