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元ヤンの少年

「ねえ、今日転校生来るんだよね!」

「楽しみだよねー!」


 やめろ…


「あー、女子だといいなー。」


 すいません、男子です…


「頼むから男子きてー!」

「このクラス男子に花がないしね。」

「コラ女子!」

「ワハハ ごめんごめん。」


 お願いだからやめてくれ…


「さっき先生から名前聞いたんだけど『かんざき よう君』っていうらしいよ!」

「やったー男子だ!」


 目立ちたくない…


「イケメンそうな名前だよねー。」

「もうほんと楽しみ!」


 え、理不尽…


                 キーンコーンカーンコーン

                 ガラガラ


「はいみんな座れー。今日は転校生を紹介するぞ。」


 あー出たくない…


「入っていいぞー。」


トットットット


「神崎 ヨウです。今日からよろしくおねがいします。」


                   ………


 わー、みんな期待外れって顔してるなー。


 まーそれも仕方がない。

 片目が隠れたぼさぼさの髪に大きな丸眼鏡。身長体重ともに普通。

 そう、世間一般でいう『ダサい』。

 それが俺なのだから。


「じゃあ神崎の席は…、高梨のとなりな。」


 あ、さっき話してた女子だ。

 うわー、あからさまに嫌な顔しないでくれよ。



 ○   ○   ○



キーンコーンカーンコーン


 結局誰とも話さずに終わったな。

 

「マヤー転校生どうだった?」

「どうだったもなにもずっと黙ってるし、暗いしなんか怖い。」

「だよねー、見るからに暗そーだもんね。」

「ワハハ」


 おーい聞こえてますよー。

 お前らだって話しかけんなオーラ出してたじゃん。

 まーいいさ、もともと目立ちたくなかったし。

 そもそも俺は自分がダサいということは理解している。もちろん変わろうと思えばすぐにでも変わることができる。

 だが俺はしない。

 もう同じ過ちを犯さないためにも、俺はあの日脇役の人生を歩いていくと決めた。

 まー実際は脇役にもなりきれない。転校初日でもはや空気扱いだ。

 ていうか普通転校生って目立つものじゃないの。あ、なんかだんだん悲しくなってきた。


「ねえ、きみ。」


 精神力の強い俺でも空気扱いはちょっとつらいなー。


「ねえったら。」


 いくら目立ちたくなくてもこの格好はミスったな。ダサくすれば目立たなくらるとは思ってたけど。

 まさか空気扱いされるとは…


「神崎君!」

「え…」

「やっと気付いた」


 誰だこの美少女。まてまて、俺のこれからの脇役人生のシナリオに美少女とのかかわりあいはないぞ。

 それにこんな美少女が俺に話しかけてくるなんて。いったいどうして。あ、もしかして実は幼馴染と かそういうパターンか?まさかの運命の再開とかそういう。いやそれはないな。もしあったとしてもそ れはそれで困る。あ、やばい。みんなの視線がこっちに。とりあえず、とっとと用件を聞こう。


「お、俺になんかようかな?えっと…」

「高峰 ユアよ」

「高峰さんね…で、どうしたの?」

「君が教室に入ってきた時からずっと見てたんだよ」


 おいおいこれはまさか…


「君をずっと見てるとさ…」


 おいやめろ。これ以上は言うな。


「不愉快‼」

 

 は……?


「さっきから何なの!ずっと陰気な顔してさ!」


 え……?


「もう一度言うわ。不愉快‼」


 いや、二度言わなくてもよくない?


「うわーでたよドS姫。」

「転校生も言葉なくしてるよ。」

「無理もないよね。あんなきつい性格じゃ。」


 なるほど。なんとなくわかった。おそらく彼女は友達がいないんだろう…

 まー俺には関係ないことだ。

 それにしてもあの女ども。お前らも十分きつい性格してるよ‼



 ○   ○   ○



 今日はいろいろあったけど、とりあえず目立たなかったから良しとするか。それにしてもこの町はずい ぶんにぎわっているんだな…

 俺はこの空気が嫌いだ。以前の自分を思い出してしまう。以前の大嫌いな自分を…


「ねーねーかのじょー」

「俺たちとお茶でもしない?」


 あ、ナンパだ。見るからに弱そうだな。彼らは金髪に染めてピアスを開ければ強そうに見えるとでも  思っているのだろうか。あ、今日の俺も同じようなものか。


「いやよ‼」

「いーじゃん。俺たちと楽しいことしようぜ。」


 それにしても、あのセリフ。ナンパのテンプレートですか。

 まーどのみち俺には関係な…


「やめろ!はなせ!」

「あばれんなよ‼」


 この声は…やっぱりドS姫!

 まずいなんでよりによって。あ、やばい。目が合った。


                     ………ニヤッ

「あーヨウくーん」


 げ!まじかよ。こっちくんな。ほら、ヤンキーたちもこっち見た。


「なんだおめー!」

「俺たちの邪魔すんのか!」

「いや、けっしてそういうわけでは。」

「うるせー‼」

 

  …ドスッ‼


「ウッッ」


  ドサ!


「ちょ、ちょっと。神崎君!」

「ワハハ、こいつ一撃で倒れたぜ!」

「弱すぎだろ!」

                    

                      …………


「え、こいつ息してなくね。」

「おいやめろよそんな冗談。」

「いやまじだって!俺は知らないぞ殴ったのはお前だからな!」


                   タタタッ


「おいお前!逃げんなー!」


                   タタタッ


                   …ムクッ


「あ、あなた。大丈夫なの?」

「あー大丈夫だよ。ちょっと痛かったけど。」

「でも、息…」

「あーそれは大丈夫。死んだふりしてれば逃げてくれるかなーって思って。」

「…ごめんなさい。まさか手出すなんて。」

「いや別に平気だよ。結果的にどっちも無事だったんだし。」

「そう…本当にごめんなさい。でもあなた結構機転が利くのね。少し見直したわ。さっきはひどいこといってごめんなさい。」


 きっと無理してるのね。そうとう重そうなパンチだったもの…


「あはは…特に気にしてないよ。」


 まさかドS姫に謝られるなんて。だが実際本当に痛くなかった。バカそうなヤンキーには、死んだふりさえすればビビッて相手が勝手に帰ってくれるって知っていただけだ。そう、俺はああいう輩の扱いには慣れている。なぜなら俺は……元ヤンだから!



 


 


 


 










読んでくれてありがとうございます。初投稿です。正直自信ありませんが精一杯頑張ります。

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