フヨウ王国の決断
ドラゴンとかで無茶ぶりをしてみました。
フヨウもうちょっと軍事力設定上げておけばよかったかもと思ってます。
王宮の自室side
サクラside
ミミさんがイストリア王国に【喧嘩】を売りつけてから、数ヶ月が過ぎました、魔王自治領内では、魔王の影騎士団や非常徴用された兵士達が訓練を行い、来るべき戦いに向けて連日連夜訓練をして、また、反魔族陣営から逃れてきた避難民の受け入れが始まっています。
フヨウ王国でも魔王自治領のエルデェミア草原に警備部隊を展開して、イストリア王国の襲来に備えています、最近は、新たに、対戦闘機戦闘の訓練を受けた飛竜騎士団もようやく実戦配備され、何時ものように飛行訓練をしています、魔族の竜騎士団にも元戦闘機のパイロットの教官がいて、飛竜を戦闘ヘリコプターの要領の運用を思いつき戦闘ヘリ部隊のように活用しています。これは、機動性ではレシプロ戦闘機に勝ち目が無い竜騎士団ではありますが、レシプロ戦闘機には出来ないホバリングや90度垂直急行以下など、ハリヤー戦闘機と同じ動きを行えるドラゴンの特性を生かした機動に着目した結果でした。
また、お父様達が、いずれイストリア王国が此方にも攻め込んでくる、攻め込んでこないと会議をしていた時、一つの事件が起こりました。それは会議中、北の湿地地帯【シルドア】の遊牧民が突如飛来した、イストリア王国空軍の巨大爆撃機を目撃して、偶々、映画撮影隊のジャンさんたちがその機体をカメラに収めてしまって、フヨウ王国と【話し合い】で【提供】してくれた物でした。全身金属の巨大な怪鳥を目にしたお父様は、内密に転生者の技術者に、その写真を見せて、どのような対抗策を考えればよいのか? と、意見を求めた所、彼らの返答は【残念ながら、我がフヨウとイストリアとでは技術力に50年の開きがございます、急ぎ軍の近代化を計らねば成すすべも無く、イストリアに膝を屈する事と成りましょう】と苦々しい答えを出した。それからのお父様の対応は早かった、無作為に近代化を推し進めるのではなく、足りないものは、付き合いが古い商人で調達し議会を説得して、装甲艦と航空機を購入し国産機の開発を許可した、また、私費で飛行船を購入し空中偵察艦の開発にも乗り出す方面で、転生者の意見も交えながら戦車や機関銃や新型ライフルの開発も優先的に行っていった。
そして、2年の月日が流れた頃、ついに、イストリア王国が動き出した。
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ハリヤの村:フユクサ診療所side
シロウside
僕の父ジュウタロウ・フユクサが難民支援のため、避難民収容地域に赴く事になった、前世の日本では
ボランティアでさえ入る事ができない危険地帯に当たる為、王国軍の護衛が尽くそうではあるが、かなり心配なところだ、僕は父がそんなところに行くのを反対はしたが、父は僕に優しく
「大丈夫だ、シロウ、今回は戦闘の従軍じゃない、避難している人々が沢山苦しんでいて、助けを待っているんだ、彼らを放っておいて何が魔法神官医だ、兎に角、十分気を付けるし、いざとなれば、安全な所に直ぐに避難するさ、私が居ない間、お母さんを頼んだぞ」と言われ、ウンと頷いて父さんを見送った。そして、その日を境に僕達の住んでいる村にも旅人や行商の人から「どこそこでイストリアの軍隊を見た」とか「魔王軍が先に戦争を仕掛けるんじゃないか?」と言った情報が流れ始め、ネット世代の僕から見れば正に、いろんな情報が独り歩きしていて、どれが本当の情報なのか解らなくなる、それくらい、皆、僕も含めて不安な日々を送っていた。
しばらくして、フヨウ王国からの重大発表の新聞で、やはりイストリア王国との和平交渉が難航し事態の打開は話し合いでは困難な状況なのと、万が一に備えて国境付近の一般人は速やかに、内地に移動疎開をしておく事、その際、3年前に一部開通した蒸気機関車による移動を行と発表が有った。
此処までは列車はまだ開通していないので、三週間くらいは駅のある田舎町までは掛かるから、急いだほうが良いかも知れない。そう考えて、僕は母と今後の事を相談しておくことにした。
「ねぇ、母さん、薬の在庫、まだあるかな? もしかしたら、避難先で必要になるだろうし」
「そうね、できるだけ、多くもって行きましょう、お父さんの神官医の証明書と許可書が必要になるわね? あと、知り合いの人のところにも連絡をしたほうが良いわね、確か【電信】とか言ったかしら、あれで連絡をとってもらいましょう」
そうして、数週間後僕はお母さんのおじさんの家を借りて、そこで仮の診療所を」始めていく事になる。
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フヨウ王国兵器開発工廠side
エンドレア技術士官side
俺は、ルーフ連邦の技術士官のエンドレア・マクベス技術中尉だ、セミショートの白髪に赤い瞳が剃刀みたいな目つきのせいで、女性受けは悪いほうだが、そんな、こまめけぇ事は気にしたら負けなので、スールーしている。まぁ、前世では地球で戦車の知識をかじっていたので、タダで仕事を選ぶのに楽な軍に籍を置いて、頭脳バカで通そうと考えていたら、気が付けば技術仕官になっちまった。
さっさと、自動車屋でも始めておけばよかったか? まぁ、仕方が無い、今はフヨウ王国の技術屋に俺等の国の戦車の事をレクチャーしている。はっきり言って、フヨウは平和すぎた、飛行機は第一次大戦のレベルのもので戦艦は俺も良く知らんが、それくらいの時代の装甲戦艦で形状は【三笠】くらいの物が大半で、現国王始め三代くらいの王様達が緩やかな近代化を進めてきたらしくて、まともな近代兵器は殆ど無いのが現実だ。まぁ、平和な時代ならそれもいい政策の一つだと個人的には思うが、近くに、イストリアと言う半分【ヒャッハー!】な、ぶっそう国がサクサク第二次大戦時の戦闘機や戦車を作っていると情報が飛び込んできた時は流石に不味いと思った。まぁ、魔王軍が今は防壁になってくれているので、連中も準備が整うまで後、3年は大人しくしているだろう。
それにしても、フヨウの戦車が飛び切りヤヴァい、どれだけヤヴァいかと言うと【トラクターが大砲を取り付けている】レベルだ、下手したら棺おけレベルの代物だ、おそらく第二次大戦時の【チハ】か【チヌ】レベルだそこで、俺達も本腰を入れて戦車を開発中だ、とりあえず、手始めにシャーマンやファイアフライを参考に湿地でも素早く動き回れるように、火力より機動性でしばらくは、その場をしのげれば良いと考え、この二つに絞ってみた。あちらも湿地を戦場にするに当たって、流石に【タイガー】だの【マウス】だのは送り込んでこないと思う、まぁ、そんな相手がいたら、笑ってやればいい。まぁ、あくまでもそんな場合だ、一番怖いのは【電撃戦】をされた時だな? あれをされたら、勝ち目が無くなる、出来れば、あと、2・3年は大人しくしていて欲しいが・・・・・・。兎に角、憂鬱な気分を振り払いつつ、俺はコーヒーを飲んだ。
「やはり、ルーフ産のコーヒー豆は最高だな」
「おや、マクベス技術中尉、貴官も兵器開発工廠に居られたのでか? 姿が何処にも無かったので、あちこち探しました」
そう、言って、俺に話しかけてきたのは、この国の技術士官の【ユウキ・ハヤクサ】技術少尉だ、外見は黒髪の繊細な二枚目とだけ言っておくが、俺の対人判断は当てにならないからな。
兎に角、ハヤクサ技術少尉は色んな意味で期待を裏切ってくれる。
「マクベス技術中尉、やはり、四号を今からでも作りませんか? ファイアフライはともかく、シャーマンは火力不足に問題はありますので、生存率を優先して、四号とシャーマンのハイブリッドを・・・・・・」
「魔改造の気持ちは俺には良くわかるが、そこそこ重装備の車体に機動性を求めんな、かえって性能が悪化する、上手く言えんが、経験者の忠告だ、素直に聞いておけ」
俺も前世で戦車を魔改造するゲーム散々した口だから、悪乗りが悪のノリで何度身を滅ぼし、何度、そのゲームをやり直したか・・・・・・ まぁ、気持ちがわかるだけに、コイツには自重を促したい。
その後も、二人そろって、戦車の魔改造談義に華を咲かせてた。
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フヨウ王国ヤマシロ港side
スガル諸島方面偵察分艦隊旗艦戦艦:カスガ
フジシロside
魔族側とイストリアの会談が事実上交渉決裂をして数ヶ月、思ったより早く事態は悪い方向に向かっている。ワシはコートのポケットに入れてある懐中時計を取り出し、時間を確認すると、航海長に出港をするように指示を出した。最新の軍艦には劣るがまだまだ現役の戦艦3隻と重巡洋艦4隻に駆逐艦6隻、そして、飛竜を10匹搭載した竜搭載母艦を従え港を何事も無く出港した。竜搭載母艦は空母の建造がまだ終えていないのと、艦載機の開発の遅れの間に合わせで繋ぎとして建造された大型華客船を改装した母艦で飛竜の飛立つ最にマストや船の設備が邪魔になるので、見事に甲板はまっ平にされ、艦橋は艦首に移動されていた。
設計に携った技師の話によると「第二次大戦中の軽空母を参考に多い急ぎで建造しました、操艦は難しくなりますが、飛竜の発艦は問題なく出来るはずなです」と言われたが、生憎、第二次大戦と聞かされてもワシには解らなかったが、空からの護衛が付くと言うのはありがたいことだった。
「伝令、フジシロ戦隊司令、全艦無事、ヤマシロ港を出港しました、これより本艦隊は予定通り、スガル諸島沖に向けての哨戒任務に就きます」
「ご苦労、では、本艦隊の近代改修を受けた全艦の新装備の【レーダー】の実働試験を開始、もし何かしらの異常があれば、人的ミスと機械系のトラブルの双方を検証せよと、各所に伝達せよ」
「了解」
最新機器の【レーダー】と言うシステムには、あまり我がフヨウ王国海軍は慣れていない、いや、道の技術と言っても良いくらい馴染みの無いものだったため、同盟国のルーフ連邦海軍から専門の技術士官が本艦隊に、オブザーバーとして本艦に乗り込んでくれているのもありがたい事だった。
「司令、空母ハクリュウより、哨戒任務に当たる飛竜の発艦の許可を求めています」
「宜しい、旗艦発令、飛竜の全騎発艦を許可する、各員、無事偵察任務を全うし、全騎帰還せよ、飛竜全騎発艦!」
「ハッ!」
次々と飛竜が母艦から飛立ち、割り当てられた空域にむかって飛立ってった、そして、その30分後、フヨウ王国軍に、「ある者は遂に来たか・・・・・・」と覚悟を決め、ある者は思いため息を吐き、ある者はこれからの自身の事を考える事になる。
この日、フヨウ王国にイストリア王国を始め反魔族勢力国家より正式に宣戦布告がなされた。
いよいよ戦乱に突入です。
次回不定期ですが更新をがんばります。