サクラ姫の日課とかっての魔王とその愛馬
バトルシーンを入れたかったのですが話が長くなりそうなので
次話に持ち越す事にいたしました。
イザナミ神殿Side
サクラSide
「やっ、はぁ、それっ、でりゃーーーっ!」
早朝、私は神殿の修練所で訓練用の木剣を振り汗を流す、此処は心地が良い所だ
しかし、巫女候補が決定し、今日、10年の巫女としての修行を無事に終えた
私には、次の目的が視えてきていた。
それは、いずれ私が、このフヨウ王国の治世を父から譲り受けた時、飾り物の姫ではない事を国や周辺諸国の内外に示しておかねばならない。
しかし、今朝視た、あの夢は恐らく確実に起きる悲劇の一端だ、そうなれば、その時、武芸を身につけておかねば、私の命が幾つ有っても足りない。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふむ、動きは何とか様に成って来てはいるが……
やはり、武の達人の方に師事を仰いだほうが、よいな、これは」
そう、独りぼやきながら、修練所の近くにある、泉で独り水浴びをする事にした
勿論、誰か来るといけないので、きちんとタオルは着ているので、何かあっても大丈夫かもな?
水はひんやりしていて、気持ちが良い、これで、吟醸酒とツマミがあれば良いのだが
流石に、色々年齢的に、まだ早いので、それは成人の儀の楽しみに取っておく事にした。
早く城の皆に会いたいな~♪ と、思っていたら、神殿の下級司祭殿が、フヨウ王国の一団が神殿に
到着をした事と、盗賊の襲撃は受けたが、冒険者やフヨウ王国の騎兵団のお陰で、不幸中の幸い
被害は、馬車の積荷の酒樽が3・4個壊れただけだったそうだ、それを聴いて、私はホッとしながら
泉から上がると服を巫女服を軍服風にあしらったフヨウ王国の下級女性仕官の制服に着替えて皆の到着を待ちわびていた。
※※※
フヨウ王国国境周辺~Side
ミミSide
グレイル君と無事合流した私達は、グレイル君が成り行きと言いますか、彼の何時もの気まぐれで助けた、人間の女の子を街道の近くにあった、田舎町の冒険者ギルドに女の子の捜索依頼が来ていないか? または、役所の協力要請が出ていないかを確認するために立ち寄ったが、余り芳しくなかった。
受け付けのお姉さんの話では「最近、子供の失踪が多い」との事で、捜索の依頼がかなり舞い込んでいるそうだけれど、誰の仕業かは、まだ把握は出来ていない様子だった。
あの子は、幸い冒険者ギルドの依頼リストに載っていたので、彼等が責任を持って彼女の故郷まで送り届けるから、とりあえず、この件は彼らに任せておこうと思う。
直接、私が動くと冥王様に叱られるし、何より、元古の最強の魔王だったから
もし、今、私が動いたら、グレイル君が言っていた【邪教徒】の皆さんが本格的に動きかねない
そうなったら、最悪、この世界の軍隊を独りで相手にしなくてはいけなくなるし、私としても、終った時代の魔王だから、現在、平和に暮らしている、勇者の末裔や魔族を刺激したくないし。
と、考えていたら、人間の少年に変身した、グレイル君が私の隣を歩きながら、街道にある安酒場を指差し、其処で休息を二人揃って取る事にした、何故、彼まで変装をするのかと言うと、グレイル君は、こう見えて有名な魔神だから、本来の馬の姿では返って目立つから、少年の姿の魔術師の姿なら
誤魔化しがきくのでそうしてもらった。
「いらっしゃいませ」
「二人お願いします」
時間もお昼を回っていたので、お店は冒険者や行商達で賑わっている、エルフのウェイトレスさんが丁寧に私達をテーブルまで案内してくれ、注文のメモを取るのを確認してから、私達はそれぞれ注文を頼む事にした。
「えーと、私は、羊肉の煮込みと黒エールジョッキで、彼は、ニンジンの茹でたのをてんこ盛りでお願い」
「あるじ~~っ、オレがニンジン嫌いなの知ってて、業と言ってるでしょ?
あ、お姉さん、オレ、ウサギ肉の串焼きと野菜スープ、ニンジン抜きで」
「畏まりました、羊肉の煮込み1つと黒エールジョッキ1つ、ウサギ肉の串焼1つと野菜スープ、ニンジン抜きですね? では、お料理が出来次第テーブルにお持ちいたします」
全く、グレイル君は私が現役の魔王時代から、ニンジンが嫌いだった、私も料理はできるので、お抱えの料理長に頼んで、私、自ら、ニンジンジュースにキャロットケーキにニンジン細切れハンバーグを用意したのだけれど、一口かじって駄目だった。
馬の魔神のクセニ、何時かニンジン嫌い克服してやろうぞ。
そんな、ことを考えていたら、別のコボルドのウエイターが二人のお客を連れてきて
申し訳なさそうに、合い席をお願いしてきたので、私は、地元の話題から情報を聞く機会だと
判断をして、同席を同意した。
「お客様、大変申し分けございませんが、此方のお客様方と、ご合い席をお願いいたします
ただいま、満席でございまして、他のお客様にも、ご合い席をお願いしております」
「判りました、こちらは、大丈夫です、私達も長旅になりそうなので、他の方の、お話も聴きたいと思っていました」
「そう、言っていただけると、我々も助かります、すみません、申し遅れました、私は、フヨウ王国で神官医をしております、ジュウタロウ・フユクサと申します、そして、隣に居るのが」
「息子のシロウ・フユクサです」
「よろしく、オレはグレイルだ、こう見えても、魔族の成人なんだ、フユクサさんにシロウ君か、オレのとなり正面に居るのが、オレの主、黒騎士のミミ様で、オレ達は、フヨウの魔族自治領に行く途中なんだ」
身なりからして、神官医の中年の男性とまだ、あどけなさの残る少年だった、彼の顔を視ると、この世界に転生した、嗣朗さんだと直ぐに判って、彼も、私の事に気が付いたのか? 穏やかな笑みを浮かべていた、すると、グレイル君は念話でちゃちゃを入れてきた。
《オイ、主、何時の間に、あんな、好小年と知り合ったんだ? ああ、でも、辞めておけ
主の趣向に口は出さないが・・・・・・ 案外、主も、ショ・・・・・・い”だ”い”っ、あ、主、鎧のヒールのカカトでぐりぐりは、ぐぉっーーーっ!》
「お待たせいたしました、羊肉の煮込み1つと黒エールジョッキ1つ、ウサギ肉の串焼1つと野菜スープ、ニンジン抜きになります、では、他に御用があれば、呼び鈴でお願いいたします」
運ばれてきた、料理を受け取り、同席の親子に断って、先に料理を頂くことにした、彼らは山魚の塩焼きと猪の煮込みを注文し終えるのを待ってから、お互いに、他愛の無い世間話をしながら、情報を
集める事にした、神官医や行商達は、結構、色々な人物に会うことが多いので、貴重な情報現になる
し、また付近の村人は、盗賊団の動向や周辺の出来事に詳しいが、それ以外の事は、外の噂が大半で
重要な情報は余り聞く事が少ない、それに、村人に情報を聞きだそうとしても、最悪、敵国の間者と疑われる可能性が高い、フユクサ親子には、私たちが、最近、旅の武者修行を兼ねながら、どの国に仕官をすれば良いのか? と怪しまれないように聞くことにした。
「ところで、話は変わりますが、他国で仕官する人材の募集とかをしていないでしょうか?
私達、気ままな旅をしていましたが、そろそろ腰を据えたいと考えていまして」
「なるほど、使えるべき主を見付けないと、確かに苦労しますね、私も、恥ずかしながら覚えはあります、では、幾つか仕官先の候補をお教えいたします、ただし、仕官先の評判を気にしなければ
の上での事になりますが・・・・・・」
「ああ、オレ達は食い扶ちが有れば、今の所、問題は無いしな」
「……」
幾つかの仕官先の候補となる、仕官する傭兵や武芸者の公募をしている国を教えてくれた。
現在、仕官先が有る国は【イストリア王国】【ルーフ連邦】【アジェス帝国】の三国がフヨウ王国から近い位置に有る為、向かうのは容易だとの事だった、しかし、その反面、最近の、この三国の状況を彼は教えてくれた。
まず【イストリア王国】は前王が病で急死し、その後を継いで即位した、女王は典型的な我が儘姫で兎に角、国費を散財し、他国に浪費した分の埋め合わせの為に侵略を繰り返していた、諌めるものも
次々と粛清されるか他国に亡命していて、政治は荒れ放題かと思いきや、安定をしているそうだ
これは、何者かが、女王を操っているか、もしくは、その逆に女王が利用しているかのどちらかだろう、ただ、仕官してきた者には、破格の待遇がされていて、戦地での蛮行の略奪も知らぬふりだそうだ。
まぁ、、破格の待遇、しかし、私達は、そんな連中には興味が無い、しかし、そんな暴君が支配する
国がフヨウ王国の近くに有るのは好ましくない、要警戒な国だわ。
そして【ルーフ連邦】の方は、フヨウ王国の同盟国で、最強の飛行戦艦部隊を有している、最近では
航空機の開発もしているようだが、試行錯誤を繰り返しながら、偵察用のグライダーの開発は成功したが、肝心のレシプロ戦闘機は失敗に終ったらしい、これは、グレイル君が封印中の暇つぶしに
物知りな渡り鳥から聞いた話で、航空機はともかく、戦車の開発に今は力を入れているそうだ。
現在は、フヨウ王国と共同で新型の飛行戦艦を開発しているようだが、この世界、こんなに分明差が
有ったかしら? たしか、冥王様が、異世界に転生させろと抗議デモをしていた、大勢の転生希望者を【ああっ、もう、そんなに転生したいなら、纏めて異世界の世界で活躍する気が有る奴だけ、転生させてやるっ】と、追放同然で、私が去った後の、この世界に送り飛ばしたんだっけ・・・・・・。
そして、最後の【アジェス帝国】は双子の兄弟の兄が治める帝国なのだけれど、実は、私とも少なからず因縁が有った、国を建てたのが、私と何度か互角の勝負をした、勇者の一人が建国した帝国で
昔は、それなりの勢力を誇る大国だったのだけれど、僅か14代で傾きつつある、現在の皇帝が暗君らしくて、散財を繰り返していいるらしい、また内乱が散発的に起きているそうで、現在、反乱制圧の為の兵士を募集しているそうね、でも、弟の第二王子はグレイル君が渡り鳥達から聞いた話では、
第二王子の印象は、まるで、牙を隠し続けている狼のような印象だったそうだけれど、第二王子に関しては、今の所、フヨウ王国とアジェス帝国が戦争にならない限りは放って置いても大丈夫だろう。
何故なら、相手は亡国の帝国で近いうち勝手に自滅すると、私は判断をした。
此処まで情報が解れば、今は良しとしましょう。
「ありがとう、フユクサ殿、最後に、もう一つだけ、教えてく下さい、魔王様の子孫の方々は、どちらで、お過ごしでしょうか? 実は、私の知り合いから、近くによる事があれば、会いに来て欲しいと、手紙にありましたが、長い事、会っていないので、何処の地方に住んでいるのかが解らなくて、もし、ご存知でしたら、途中まで、私達も、フユクサ殿達と途中まで、ご一緒させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「魔王様のご子孫の方は、此処より、イザナミ神殿付近に、自治領を女神イザナミ様より任せられたいます、たしか、勇者様のご子孫の方々も、そこで住まわれていましたね? 私も仕事で何度か行った事があります。
そうですね、最近は、この辺りもかなり物騒なので、此方こそ、道中のご同行、よろしくお願いいたします」
「お待たせをいたしました、こちらが、魚の塩焼きと猪の煮込みになります」
お互いに、挨拶を済ませた時に、フユクサさん達の注文をしていた料理が運ばれてきた
そして、グレイル君は苦手なニンジンの山を睨みつけながら、ひたすら黙々と口に運んでいく
私は、てっきり、泣いて食べるのを楽しみにしていたのだけど、グレイル君、大分我慢強くなっているような・・・・・・? 私の疑問に彼は、ふて腐れながら、念話で説明をしてくれた。
《ふん、今でも、ニンジンは嫌いだが、オレが封石に封じられていた時、オレを守り神に崇めていた、村の連中が、勝手に供物にニンジンと生贄の人間の娘を送りつけてきたんだ、勿論、オレは人間の生贄に興味は無かったんだが、その娘とは、良い中になってね、それ以来、出されたニンジンは
文句は言わず、極力食べている、まぁ、その娘は、遥か昔に天寿を全うした、今頃は、オレ以上の良い男と暮らしているかもな?》
《ふーん、で、その娘の名前は? 一応、聞いておくけれど? あ、でも、これは、グレイル君が
人間嫌いだったのに、女の子を好きになった事が気になるだけで、誰かに言いふらすとかでもなく
ただ、どんな、感じの人だったか興味がわいただけだから》
すると、彼は「ま、隠しておく必要が無い事だしな」と、ぶっきらぼうに私に教えてくれたので
これまでの転生者の記憶をたどってみる事にした、グレイル君からの情報では、その娘の名前は
エリー・クライトン、彼が最後に会った時の年齢は、78歳、種族人間族、との事だ。
この世界で、グレイル君に縁が有った女性で、記憶持ちの転生を望んだ女性に、私は心当たりがあった。
《なんだ、主、彼女を知っているのか?》
《ふーん、なるほど、彼女ね、勿論、知っているわよ、今の彼女は、この世界の最大の軍事大国【グランディア帝国】の方に転生して、名前は、エアリス・フォン・レムリアス公爵家のご令嬢で、種族は、ケンタウロスの騎士ね、何でも、好きになった、人が人間ではなかったから、人間以外の種族で彼に再開した言って、行っていたわね♪》
私としては、今まで、この娘さんの事は忘れていたと言うより、ただ単に、冥王様の後始末に奔走していて、ついさっきまで、忘れていたのだから、その辺りは、グレイル君も呆れながら、流してくれた、そして、私達、四人は注文した料理を美味しく頂き、一路、現魔王の治める、魔族自治領に向かう事にした。
※※※※※
イザナミ神殿Side
サクラSide
城の皆が無事、神殿に到着して、私は、ホットしていた、商隊の者や護衛の者達は供物の品を下ろしているのを眺めながら、コノハの父のルドルフ将軍やその母君と私は挨拶し、私は、コノハの巫女になった事と私が今回、巫女に選ばれなかった事を告げ、二人が一番会いたい愛娘に早く会いに行くように促し、同行していた、ミオやクレイブ副将から、巧妙に組織化されつつ有る盗賊団の件を聞き、私が正式に軍に入ったら、対峙するであろう予感を私は感じていた。
ならば、急ぎ城に戻り、盗賊団との戦いに備えなければな? それと・・・・・・。
「所で、レイラ殿、貴女は使える主君を探しておられるとか? もし、貴女が宜しければ、暫くの間、私に、貴女の剣術を学ばせて欲しいと、私は考えているのだが、駄目だろうか?」
「えっ、そうですね、ボク、い、いえ、私自身、冒険者ギルドには、仕えるべき主君が見つかるまでの間との契約でしたので、先ずは、フヨウ王国の国王陛下にお会い致しましてから、姫様の剣術指南を引き受けたく存じ上げいたします」
彼女の返答に、私は頷き、彼女が自分に相応しい主を見つけるまでの間、暫くは私の剣術の指南役を依頼した、そして、冒険者ギルドの冒険者達は引き続き、商隊の護衛に付き、私は、一度行って見たかった、母上の産まれ故郷の魔王自治領に赴く事にした、それは、母方のお婆様が、私に、巫女の修行を終えたら、立ち寄って欲しいと言われていたので、約束通り帰る途中、魔王自治領に立ち寄る事にした。
食べ物の好き嫌いを克服しようと、グレイル君頑張ってます。