それぞれの転生
幼少期を少し書いてみました。
???Side
あたりは心地が良い闇に覆われている、どうやら、これが体内と言うやつじゃな?
それはそうと、いよいよ、ワシがこの世界に生まれでるようじゃの。
そう言えば、嗣朗と言う青年は無事に、この世界に転生が出来たようじゃな。
もう、会う事もなかも知れないが、よき神官医になってくれるじゃろう。
さて、転生前に、再度、能力を封印しておくとしよう
先ずは、未来視能力を確認する、ん、これはワシの誕生を祝う宴の様じゃのう
随分と華やかじゃが、先に知ってしまうと詰らんから、封じてしまおう。
ん、それを使わないなんて、もったいない、じゃと?
では、逆に聞くが毎日、確定しているイベントの結末を先見して、そのイベントを心から楽しめる
のであれば、そうするが毎回確定結末のお知らせ的な未来を視るのは、いい加減飽きて来た
だから、これは封印……が出来ないじゃと? ま、未来の事がぼやけ始めているから
良しとしよう、ぼやけてるなら、泳ぎながら水中で辺りを見るのとたいして変わらん。
あと、ワシの呼称をもう少し年相応にしておかんとな? まあ『ワシ』でも良いが
それでは、可愛げが無い、生まれるのは王族だが
せめて、もう少し女子らしい口調にするようにせんと、教育掛が苦労しそうじゃ
なので、もう少し愛らしい呼称を喋れる年齢まで考えておかねば……
くっ、これも、我が高位の神の位の影響力か? 段々、誕生に近づくにつれて
言動が【ワシ】から【私】に変わって、女の子の言葉遣いになってしまう。
(ま、基本私がどうこうなるわけども無いから、うろたえる必要も無いか)
ふむ、どうやら、男ぽい喋り方は変わりそうに無いか?
やれやれ、この口調が年相応な年齢に達するまでは、子供の女の子らしい口調を身に着けんといけないな?
私はそう感じながら、この世界に産声を上げていた。
※※※※
フヨウ王国首都:フソウ:ハクオウ城Side
フヨウ王国第6国王イスルガ王は待望の跡取りの誕生の報告を聞くと速やかに帰城すると
妃のアヤカ王妃が待つハクオウ城の西の離宮に向かう、そして、我が子をあやす妻に
「おお、アヤカよ良くがんばったな、お前に似て可愛い娘だ、将来は、さぞかしお前に似た美しく穏やかな娘になるであろう」
「ええ、私達の可愛い娘、そうですね、でも、婆やが言うには「とてつもない魔力を秘めている」そうです」
(いや、父上、私は将来、ま逆の女将軍になるのだが)
アヤカ王妃は九尾の末裔でフヨウ王国1の巫女と言われるほどの術士としては、かなりの実力者だった、そして、イスルガ王は彼女の巫女としての能力より、彼女の穏やかな性格と着飾る貴族達の令嬢には無い彼女の美しさ達に引かれて、二人は結ばれた。
「でも、ごめんなさい、あなた、本当は男の子を望まれていた筈ですのに」
「はははっ、何を言うか、男子も女子も無い、それに良くみれば見るほど、お前にそっくりだ
うん、髭面らの私に似るよりはよい」
(いや、母上も綺麗だが、父上も中々の美男子だぞ?)
産まれたばかりの私は薄い桃色髪に小さい尻尾を左右に振って眠っていた、それを見ていた
母上と父上が私を見て。
「そうだ、我が娘の名を決めないとな? 何か良い名前は……」
「うふふ、それなら、この子の毛の色にちなんで【サクラ】ではどうでしょう? この子にぴったりだと思うのですが、そうですね、私の師匠にお頼みをして巫女の修行をお願いしたいです」
「ふむ、それもいいが、出来れば、将来はこの子自身の手で決めて欲しいが、まずは色々学ばせてから、その後でこの子の望む道を選ばせよう」
(幼少期から色々学ぶのも良いかも知れない、その方がいざと言う時役に立つ事もある)
そう考えながら、私は両親に、あやされながら、私の誕生を祝う宴を見ていたのだが……
何分、赤ん坊だったため、料理は成長するまでお預けになってしまった。
成長しきるまで酒はともかく、美味しそうな料理が食べられないとは、少々辛い経験となった。
※※※※
フヨウ王国領内の山村Side
???Side
僕はかって嗣朗と呼ばれていた、父の後を継いでヨーロッパの小国で暮らしていたのだけれど
ある日、重い病に掛かってしまって、病院を入退院をしながら仕事をしていたのだけれど、病はどうしようもない状態になって、流石にこれ以上は仕事は無理と判断して、現地で友達に友人に会社の全ての事を譲ると、残った財産で別荘に移り住んで、30代そこそこで世捨て人的な暮らしをして
ある日、最後の時を知り合いに見送られながら、冥界にたどり着いた、そこで外見は10代の子供みたいな冥王様に【君、色々深い悔恨とか有りそうだし、別世界で新しく生きてみる気が有る?】と言われて、それが可能なら是非と頷いて転生する事になった。
そう言えば、フヨウ王国に来る道中に偶然知り合った【高位の神様】に転生先での職業について尋ねられた時に、その高位の神様の力の一部を受け取ってしまった。
その後、僕はこの力を使う事無く神官兼医者をしている両親の元で転生を果たした。
そして、僕から遅れる事、5年、フヨウ王国に念願のアイ……じゃなかった、フヨウ王国の後継者の
サクラ王女が誕生され国を挙げての祝賀ムードに包まれていた。
そして、僕の家ではお祭りは、ほんの少しだけ楽しみ後は、急患が何時きてもいいように
していた。
「シロウ、父さん達は、これから薬草の在庫が少ないから、山に取りに行って来る。
今日は、家に帰れないかもしれないから、母さんと留守番を頼む」
「うん、ねぇ、何時か僕が大きくなったら、薬草の有る場所を教えて、そしたら僕とお父さんとで
一緒に薬草を取りに行けるね?」
「道中お気をつけて、シロウ、そうね、まだ、貴方には山は危険ですから、私の手伝いをお願いします」
父さんは以前は流浪の神官医として各地を転々と旅をしながら、貧しい村などで治療をしていたそうだ、神官医は解り易く説明するとRPGで、よくプレイヤーがお世話になる神父や回復の泉みたいに怪我とか病を治すのが専門の職業で、この世界では貴族の次に身分が高い地位に当たるが父さんは、若い頃、多くの神官医の権威を好き勝手に振りかざし、また最下層の地位の人々に高額な治療代を請求する他の神官医の腐敗振りに嫌気がさして、父さんが産まれた国を捨て当ても無く旅をしながら
そんな人々の治療に専念していた。
そのせいで父さんの事を快く思わない神官医や貴族に更に、その神官医に薬を売っている商人からも
敵視されていて、実際何度も命を狙われた事もあったそうだ。
そのせいで、実年齢35歳だというのに外見は40代半ばに間違われる事が多い、そんな父さんが何故フヨウ国に落ち着いたかというと、母さんと結婚する前、此処の集落に立ち寄った際、たまたま各地の
測量視察をするため現在のフヨウ王国国王の家臣が運悪く馬車の事故で大怪我をした時、父がそれを見ていて、彼らの治療に当たっていた、そして、王様もその時怪我人の手当て手伝っていた。
その時は王様は「私の衣服が家臣たちの怪我の手当てに邪魔だっ」と言って上着を脱ぎ捨てて泥まみれになって救助をしていたから、父は王様と気がつかず、色々指示を出していてそうだ。
騒ぎが終わった数ヵ月後に、お忍びでやって来た王様が行く当てが無ければこの国で神官医して仕官をしてはどうか? と尋ねられたが父さんは、これを丁重に断り、王様はそれならばと此処で取れない薬草の買い付けが出来る国王の許可証と各関所の通行手形に、そして、村の人々が困らないように
かなり大広い診療所を建築してくれた。
母さんは、その時、王都から診療所に派遣されてきた見習い神官医で、その後、二人は結ばれた
母さんは父さんより10才年下だったけれど、しっかりしていて、長い黒髪のロングヘアーで仕事のときは厳しい人だ、だから診療所では、僕は余り構って貰えなかったので、その合間を本を読んで勉強していた。
「それじゃあ、シロウ、今日は診療所は休みだから母さんと買い物に行きましょうか?」
「はい、母さん」
僕達は村の市場へと買い物に出かけることにした。
次回はサクラを中心に書いてみようと思います。