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北部平原会戦

騎兵や戦車を中心に書いてみました。

北部平原side

イスルガ王side


ふむ、イストリアも大規模兵力を此方に送りつけてきたな? 今、北部平原には敵味方双方合わせて約50万の大軍が集まってきている。我が方は、ルーフ連邦・フヨウ王国連合軍併せて20万、対するイストリアは30万、しかし、イストリア側は湿地地帯を重戦車部隊が突破するのに手間取り、此方の予想より進軍速度はやや遅い、対するこちらは、小高い丘に砲陣地を構え、中央に機動戦車部隊を布陣、両翼は騎兵と歩兵を配置してある。ただ、不安要素はあちらの重戦車【ティーガー】に此方の【シャーマン】の火砲が通用するのか? と言う問題があった。

ティーガーの装甲はかなり厚く、シャーマンの火砲では正面からでは歯が立たない、それで、技術者はシャーマンの砲でも撃てる鉄甲弾を開発していたが、予想よりもイストリアの侵攻が早かったので参謀達の話では「ティーガー1両につきシャーマン10両が犠牲になる」と結論付けた。幸い天候は此方に味方をしていて、戦闘を長期間持ちこたえれば、冬将軍が訪れる、今はそれに掛けるしかない、冬将軍が到来したら、我が軍は速やかに撤退し、フヨウ王国に通じる峡谷で崖を爆破し【落石による街道の封鎖】を決行して、峡谷を封鎖し敵が再侵攻してくるまで戦力の建て直しを図る。これが軍議をした時に出た結論だった。


「王よ全軍の展開が終わりました。黒騎士団は左翼に展開し騎兵の主力を担います、また、右翼部隊はツヅカ陸戦隊と白狼騎士団が担当、正面は全戦車隊を配置しました」


「ウム、ご苦労だったな。各部隊は引き続き警戒を怠るな」


「ハッ!」


報告をした部下に私は念入りに指示を出した。

黒騎士団騎士団長のルドルフ将軍とクレイブ副将を左翼に当たらせ迂回攻撃で敵をかく乱し正面の敵戦車豚部隊に味方の戦車部隊を当てて敵主力を釘付けにして、止めは右翼部隊に横から一気に突き崩す作戦をとった。だが、不安要素もある。それは私の魔力が衰え始めているという事だ。

原因は我が国の宝具【風の聖弓】を私が使用することにある。この弓は代々我がフヨウ王国の姫巫女が巫女に選ばれこの国を統治する際に持つ事が許される武器で私の代では何故か王の後継者が男の私しかいなくて、私自身の魔力で無理やり【風の聖弓】を抑えてコントロールしていた。

サクラが生まれて安心していたがそのサクラも姫巫女候補に選ばれなかった。【風の聖弓】は王家の血筋にしか扱えないので、この件は国の民の事を考えサクラが成人をした時、改めて儀式を執り行うと発表する前に戦争が始まった事だ。


「今、それを考えていても仕方があるまい。それよりも……こちらの発砲を我が本隊の攻撃をもって攻撃の合図とする」


「はっ」


「報告、敵軍が動き出しましたぁっ!」


「よし、各部隊、慌てるなよ、前衛戦車部隊及び自走砲で応戦開始ッ! 撃ち方始めっ」


前衛戦車隊の火砲が一斉に火を噴き轟音が大地を轟かす。此処に後世に残る大規模会戦が幕を開けた。

※※※※※

西部平原side

ルドルフside


砲弾の炸裂音と砲撃の轟音が我が軍の本隊の戦車隊の攻撃の物だということが解る。この日のために我々黒騎士団も戦車砲の砲声を嫌と言うほど聞かされてきたのだから、もう大半の事では動じなくなっている

近代化に出遅れる事数年、その間、我が国はイストリアを始めとする仮想敵国に気取られずにゆっくりだが着実に近代化を図ってきた。


「クレイブ副将、こちらも仕掛けるぞ、敵正面を迂回しつつ敵軍正面の湿地地帯を避け敵左翼にこうgr攻撃を仕掛ける」


「ルドルフ将軍、了解しました。第2・3・4隊俺に続け、第5・6・7隊はルドルフ将軍と共に敵左翼正面を攻撃、ルフト、貴様は第8・9・10隊を率いて敵左翼左側面を思いっきり引っ掻き回してやれ」


「はっ」


こちらも騎兵に騎馬用の銃を装備した【銃騎兵隊】や【銃歩兵隊】がいる。さらに近代戦法を取り入れているので銃剣突撃は最後の手段として取っておく、球が切れた後はお互いに肉弾戦に突入することになる。

しかし、若干の装備の近代化の出遅れがあるため、この戦、最低でも痛み分けで終われせんとな? 先の海戦では負けはしたがそれなりに敵艦隊にも被害を与えてはいるが、陸から我がフヨウ王国の国内に攻め込まれるとかなり苦しい戦いになるので、此処で敵軍にかなりの損害を与えることが可能ならばルーフ連邦の技術を購入し防衛戦術でどうにか守りの戦に徹し続ければ講和も可能だろう。


「せめて、我が隊にガドリングガンがあれば……」


「あれは、重すぎるから、今回のような機動戦術には向かない。もっとも……」


「将軍ッ! 偵察兵から報告、敵兵力発見の事、その中に敵戦車を含むとの事です!」


「「「何だとっ」」」


ふむ、どうやらこちらの動きを読んでいる良い将が敵にいるようだな? ならば、我等も全力で駆けるだけだ。奇襲用に持ってきておいた【投擲焼炎弾】を用意する。これは小型の甕にナパームを入れて目標物に投げつける投擲武器で一度火が付くと延々と燃え続ける厄介なもので、古来にもこれとよく似た【てつはう】とかいう武器が参考になっている。各自、身を潜め、敵の来襲にそなえる、やがて敵戦車が見えてきた。砲塔がないのが特徴的な戦車【3号突撃戦車】が先頭でその後ろに歩兵が大勢いるのが分かった。


(よし、敵は突撃戦車を前に押し出している、先頭をある程度先に行かせてから、一気に仕掛け……)


セオリー通りの待ち伏せを指示しようとしたまさにその時、突然、つんざくような轟音と爆風で辺りが騒然となる。そして、敵突撃戦車の機銃が火を噴き運悪く腰に投擲焼炎弾を巻き付けていた兵士や騎士が炎に飲み込まれ火だるまとなった。


「ギャアーーーーッ」


「うぁぁぁぁっ、た、助けてくれーーーーっ!」


「ひ、火がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」


「各自の判断で反撃開始! 敵戦車の前に絶対に出るなよっ」


私は各部隊に大声で指示を出した。既に独自の判断で反撃を始めている隊もいる。

敵の銃撃と味方の銃撃が始まり、あたりが騒然となる。敵突撃戦車は旋回砲塔を搭載していないので死角が多い車両なのでこちらの機敏に動く騎兵に対抗すべく扇形の陣形を展開し死角を減らして抵抗していた。また、こちらも敵突撃戦車の不意を衝いて背後から投擲焼炎弾を投げつけたり、中には敵戦車の上に這い上がりハッチを無理やりこじ開け中に投擲焼炎弾を投げ込むオーガ族の兵もいた。

戦いは混沌の舞台と化していった。

※※※※※

西部平原西の森林side

クレイブside


「せりゃあ!」


「ぐはっ」


トマホークで敵の騎兵を一撃で倒す。とにかく敵の数が多い。どうやら、相手側にも俺達の動きを読む優秀な指揮官がいるようだ。乱戦に次ぐ乱戦で味方は数十人にまで減っていてかなり危険な状況だな?

俺自身も外見がオークなので普段やらない化け物じみた雄たけびとか威嚇で敵兵を脅えさせて追い払ったりとか、人間の義理の娘のリンには絶対見せない蛮勇さも敵に見せつけて追い払う。敵兵が這う這うの体で逃げ出す、敵陣に穴をかけることが出来れば打開策も講じることができる。


「クレイブ隊長ッ!せ、敵戦車が火だるまでこっちに突っ込んできますっ」


「⁉」


部下の血相を変えた報告に目を見張ると一両の戦車が火だるまになりながらこちらに突っ込んでくる所だった。咄嗟に俺は部下達に逃げろと叫ぶ前に凄まじい衝撃と爆風にやられて意識を失った。

※※※※※

西部平原西の森林side

リゲルside


わたしはイストイリア軍の竜人ドラゴニュート族の猟師だった。私たち竜人ドラゴニュートは純潔の竜人たちとは違い人間との間に生まれた種族で頭に小さい角や背中に竜の翼に尻尾が生えている。今回、この戦いに参加したのはただ単に戦闘能力が高いというだけで徴兵されただけで特に手柄とかが欲しいわけでもない。


(イストリアの大地を掘れば兵隊が山ほど採れる……か)


ここ数年のイストリア王国女王ローズマリー・シュトルム・イストリアの人狩りにも似た徴兵のおかげでイストイリア王国の兵力は軒並み増加し今や世界最大の軍事国家となった。

わたし自身はこんな国に未練がないので、頃合いを見て逃亡するしかない、わたしが逃亡しても徴兵政策で故郷を追われた村の皆は旧魔王領に逃げ込んでいるから、今頃は難民として保護されているだろう。

先代のミレミアム魔王陛下やリリス魔王陛下は信義に厚い方なので種族を問わず難民を受け入れさらに魔王自治領から第三国に亡命するルートを用意していると聞いたことがあった。

わたしが亡命を決断しようとしていた時、ここから近い場所で誰かのうめき声がかすかに聞こえた。

わたしがその声の方向に向かって飛んでいくと、複数のおびただしい騎士や馬に歩兵の死体が横たわっていてその中に、一人のオークの将軍クラスの鎧を纏った騎士が瀕死の状態で横たわっていた。


「う、ううう、だ、誰か生きている者はいないのか……?」


「おい、アンタ、酷い怪我じゃないか! 待ってろ、今止血魔法を使う」


淡い緑の光に彼は包まれ、何とか手足の傷を止血することが出来た。でも、応急処置レベルの魔法なので早いとこ魔法神官医に診せたほうがいい。


「と、とこれで、お、俺以外の生存者は?」


「いや、アンタだけだ。今はのらりくらり話をしている暇がない。アンタらの本陣にアンタを運んでやるから、位置を教えてくれ。わたしはあんたら(フヨウ)に亡命する気だ」


彼はそうかと言ってフヨウ王国の本隊の位置をわたしに教えてくれた。わたしは彼に返答の代わりにさっさと彼らの本陣に向かって飛翔した。空ではルーフ連邦の航空機とイストリアの航空機の空中戦が始まっていて、イストリアの大型飛行船【グラーフ】が10隻フヨウ王国軍の中央部隊に向かって飛行していた。


(グラーフが10隻? 一体何をするつもりなんだ)


わたしがそう疑問を感じたとき、とんでもない轟音と衝撃が襲ってきたが何とか体勢を立て直す事が出来た。改めてフヨウ王国軍のほうを見るとさっきまで勇敢に戦っていたフヨウ王国の地上戦車部隊が半数が瞬時に消し飛んでいた。


(な、なんだよ、コレ、戦なんかじゃない、ただの虐殺じゃぁいか……)


これが、人間のすることかっ! あの魔王と同じじゃないかっ!

当初は大規模に味方が死んでゆく流れになりそうですが

かなりのムリゲー&詰みゲー状況になりそうなので方向転換します。

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