仕事のやり過ぎがいい訳がないその2
朝食を食べ終えカウンターにお盆を持って行く。その後ろを帯刀 時雨が歩き隣を幼馴染みの小巻 茜が歩きそのまた反対側に小巻 茜の相棒である女の子が歩く。
つまり今、俺の後ろではプチハーレムが発生していた。
幼馴染みの方はまだわかるが…いつの間にその相棒にまで手を出したんだ?
後ろで楽しそうな話し声が聞こえる。
(羨ましくなんかねーぞ)
持っていたお盆を乱暴にカウンター置いた。すると、茶碗が大きな音を立てて跳ね、その音を聞き付けカウンターの奥からオバちゃんがやって来て、俺は怒られた。
「不幸だ…。」小さく呟いた。
俺の後ろのプチハーレムは食堂を出て居住区まで続いた。男子部屋と女子部屋は同じ建物内にあるのだが女子部屋区域に行く際には女子だけに配られているカードを入り口近くの端末に当てないと扉が開かない仕組みになっている。
扉をくぐってすぐの所に三鷹先生の部屋がありその隣に食堂のオバちゃんや清掃のオバちゃん達の部屋が連なっているため仮にカードを入手したとしてもそれらの監視をくぐり抜けなければならない。それにカードなど無くてもハーレムの主人公なら行かなくても勝手に美少女が部屋に来るものだ。と考えたため無理にカードを強奪するような事はしない。
居住区の分かれ道に差し掛かると後ろのプチハーレムは名残惜しそうに解散した。
部屋に戻ると今日の授業を確認する。
1時間目、被服訓練
2時間目、被服訓練
3時間目、体力錬成
4時間目、体力錬成
昼食
5時間目、精神教育
6時間目、精神教育
となっている。
体力錬成はまだ分かるが。
「なぁ、被服訓練と精神教育って何するんだ?」俺はチビ助に尋ねた。
「被服訓練は作業服の名前の刺繍作業とかアイロンがけなんかの授業だよ。精神教育は、座学の事だよ。」
「刺繍とアイロンがけ…そんな事するんだな。」俺はがっくりと肩を落とした。何を隠そう家事全般が全く出来ないのだ。
そんな俺の落ち込みようを見てチビ助は
「大丈夫だよ、できるようになるまで何回も教えてくれるしそれに…何かあったときは僕がフォローするよ!」と笑顔で言った。
(何このイケメン…。俺を攻略しようとしても無駄だ、俺のケツは重いからな。)なんて考えながら
「ああ、助かる」と答えた。
チビ助はふふっと楽しそうに笑い
「さっさと準備して校舎に行こう。寮から遠いからね。」と言った。
「そうだな」と俺は返事をしてハレム学園の地図を頭にの中に浮かべる。
真上から見ると三角の形をしていて北側を頂点とし、底辺がそれぞれ西と東となっている。正確には南西と南東だけどね。俺たちが今居る寮は東側の一番端っこで、普通科の校舎があるのが西側のエリアとなっていてここからだと歩いて10分ほどかかる。
(遠いなぁ…。)
クラスに到着し、朝礼が始まるまで椅子に座って大人しく待つ。
俺の左隣では、厨二病系にめっちゃ絡まれている人がいる。助けて欲しそうに俺ををチラチラと見てくるが無視した。
(絡まぬ厨二病に痛さなし。)という『触らぬ神に祟りなし』の諺チックに変えてみたのだが…やっぱり厨二病は絡もうが絡ままいが痛い事に変わりはないんだな。
隣では
「暗黒竜のなんたらかんたら〜(以下省略)」と言っている厨二病系に対して苦笑いで応戦するチビ助。それに対して痛い設定で猛攻に出る厨二病系。
俺の隣ではつまらない戦いが繰り広げられていた。暇なので心の中で参戦する事にした。
「目っ目がぁ〜‼︎」と叫ぶ厨二病系
(お前はム◯カか?)
「大丈夫⁉︎医務室行く?」と一応気遣う素振りを見せるチビ助
(早く連れて行ってやれ)
「静まれっ‼︎我の左目よ、3分間だけ待ってやる‼︎」
(やっぱりつまらんな…)俺は参戦するのを止めた。
(俺がシ◯タだったらパズ◯が来る前であろうとバルスを連呼してたと思う)そんな事を思った。そして最後に
(あれが女の子じゃなかったら殴ってたな)
そうこうしていると始業のチャイムが鳴り、クラスが静かになった。
ドアが開き三鷹先生が入って来た。大きめの箱を抱えている。
「よし、全員居るな?今から被服訓練で使用するアイロンの電源をとる。先生の指示に従って各自の机まで配線してくれ。」開口一番そう言って箱の中から大量の延長ケーブルを取り出した。
先生の指示に従って電源ケーブルを配線していく。
(出席とらないのかよ…。)と思ったが早朝点呼があったのでないんだろうなと思うことにした。それにしても
(みんな黙々とやっているな。)
教室では三鷹先生の指示する声以外静かで生徒の足音がいやに響いている。
(こういう空気好きじゃないんだよな…。)俺は自然な感じで教室を見渡す。すると金髪ドリルに目がいった。彼女もまた真剣に配線作業を行っている。
(なんか意外だよな…お嬢様みたいな奴なのに、こんな軍隊みたいな所に入学してくるなんて…成績悪いのかな?)
「よし!配線終わったな、1時間目が始まるまでにアイロンを温めておくように。それと、箱の中に霧吹きがある、各自水を入れて準備しておけ。」そう言うと三鷹先生は教卓の隣下に霧吹きの入った箱を置いた。それから教卓の上にアイロンを置く。
みんな霧吹きに水を入れるべく教室を出て行く。俺もそれについて行った。その際に隣を歩くチビ助にこっそりと
「なぁ、何でアイロンがけするのに霧吹きいるの?」と尋ねた。
チビ助が呆れたような顔をして口を開く。
「あら、そんな事もご存知ないの?庶民は」と言ったのは、なんと金髪ドリルだった。
出鼻を挫かれたチビ助だが、苦笑いしつつ
「別にいいでしょ。」と言った。
俺は
(ヒャッハーァァァァァァ‼︎やっと俺絡みのイベントがきたぜぇぇぇ‼︎)狂喜乱舞していた。しかし、顔は努めて嬉しさを表に出すことはせずに、少し困り顔、という芸当を密かにやっていた。
「わたくし小鳥遊 麗子が教えて差し上げてもかまわなくってよ。」オホホホホとお上品に言った。
「ぜひお願いしま…」俺は、教えを請うため霧吹きを差し出そうとすると、隣にいたチビ助がスッと前に出た。
「その必要はないよ」チビ助の声から少しだけ怒気が含まれていた。
(おい馬鹿、せっかくお嬢様が手取り足取り教えてくれるチャンスを…)
「帯刀…」俺はチビ助をなだめる為声をかける。
すると大丈夫だよ、と言わんばかりの笑顔を振り返って俺に見せる。
(いや、そうじゃなくてだな…)俺はチビ助になんと言うべきか迷っていると
「庶民のくせに生意気ですこと、わたくしと勝負しません?」小鳥遊 麗子は自慢の金髪ドリルをくるくる回しながら言った。
(血の気の多いお嬢様だな…。)
「いいよ、その代わり僕が勝ったら誤ってよ。」チビ助が勝手に承諾し、条件を突きつける。
(霧吹き如きでムキになんなって…チビ助って意外と好戦的だったのか、あとこれは俺のイベントじゃねーのかよ。)
「あのな、帯刀」
「大丈夫だよ、僕に任せて!」チビ助は笑顔で言った。
(俺の話を聞けー。)
「決まりですわね。」お嬢様はニヤリと笑った。
「勝負か?」どこからともなく三鷹先生が現れた。
続く。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
文書が詰まっていて読み難いと思いますが、これからもよろしくお願い致します。
最後に、改行した次の文書の頭を一字開ける為の『空白』が反映されないのですが、どうしたらいいでしょうか?自分でも(うわぁ、詰まってる)と思いつつも投稿しています。
見た感じ綺麗な文書にするというのは難しいものですね。
以上。