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はじまり
ある水槽に、そのミジンコはいました。
そのミジンコは名をウロタウコと言いました。
ウロタウコは毎日思っていました。
「外に出て、あの娘と遊びたい」
しかしミジンコのウロタウコには叶わない夢でした。
1度で良いから、1日でいいから人間になりたいと思っていました。
どうにかならないか、3日考えました。
すると3日目の深夜に、魔女が現れたのです。
「あ、あなたは...?」
ウロタウコは問いました。
「私は通りすがりの魔女さ、アンタ、人間になりたいそうだね」
「そうですが、なぜそれを...?」
「細かいことはいいんだ。とにかく、"君の寿命の半分と引換に"人間にしてあげよう。どうする?」
ミジンコはどっちにしろこのままずっと水槽にいるのは嫌でした。
死ぬなら、水槽の外が良かったのです。
「ぜひお願いします。」
「フヒヒヒヒ、毎度あり...効果は朝方に現れるよ...」
朝方、ウロタウコは氏にました。
寿命は、次の日の朝だったのです。
その寿命の半分を持っていかれたので、氏にました。
周りのミジンコは口を揃えて言います。
「まさか人間になるために氏を選んだなんてね」