3.ネガティブキャンペーン
非常に、ピンチです。
魔力を測るなんて、魔法使えないのにあるわけないじゃないですか!
(以下、明希劇場開催)
「おい、早く出てこい!」怒鳴るナナフシ。
「やだやだやだーこわいーいたい!」抵抗。
「こいつ!手間を掛けさせるな!」バシッ!
「うえぇーん、いたいよー」必死で抵抗。
「手を出せ!」明希の右手を掴むナナフシ。
「やだぁ!びぇーいたい!」結構マジ泣きする。
ナイフを取り出し、明希の親指を切るナナフシ。
ナイフ見て、本気ビビりする明希。
「コレに力があればまた陛下に…」笑うナナフシ。
ナナフシは、指を絞り水晶?に血を垂らす。
結構本気で、死を覚悟する明希。全身が震える。
光る水晶?に、ナナフシ驚愕!
(以上、明希劇場でした。またのご来店を)
「お、おぉ!なんと凄まじい魔力!流石は黒!」
「?」
「これだけあれば、国を滅ぼすのも頷ける。おい!お前!名前を言え!」
「やー!」
「早く言え。拷問にかけるぞ!」
「ごうもん…」
「分からないか、ちっ!子供だからな。おい名前は?お前はなんと呼ばれてた?」
「…ナナフシ」
心の中で、このナナフシめぇと思っていたら、
…とんでもない間違いを犯した気がします。
「ナナフシか、そう呼ばれてたんだな?」
えっ?信じるんですか?!監督のカットはかからない。ならば、
「うん。なまえおぼえてないから、まわりの大きな人たちが、そうつけた」
「覚えてない?まさか…」
そう言ったナナフシが、私に手をかざして
「 我、ギリギタル=クナナ=フシクゥールは、ナナフシに命ず。未来永劫その身、その心、その命、魂をも、我に捧げ尽くせ!
…やはり、駄目か。クソッ」
キリギリスナナフシ食う!?衝撃的なお名前。
「他は?覚えてる事はないのかっ?!」
「目がさめたら、木がいっぱいのところにいて大きな人たちにひろってもらったの」
「木だと?大きな人?おい、その前はなんて呼ばれてたんだ!」
「しらない」
「何だと!?いやだがまだ子供だ。教え込ませればあるいは…おい!魔法は使ったか?」
「しらない。魔力ってなに?魔法って?」
「使わなかったのか?だが、黒を見れば一目で分かるだろう。そいつらは信じなかったか、子供だと使わせなかったのか?まぁいい!ここを出るぞ!明日から訓練だ!」
「くんれん?」
そう言って、ナナフシが私を掴み、牢屋を出ていきます。外に出て、暫く歩くと木造の3階建ての場所に出ました。
その扉を開け、
「おい!団長を呼べ!」
「へいへい、何ですか?え?黒?!研究長、成功してたんですか?!」
沢山テーブルが並んで、まばらにゴツイ人達か座ってるいるのが見えます。その中の一人がこちらに来て、私を見て驚きます。
「あぁ。しかし、記憶を失っているようだ。隷属出来ていない。訓練して、使えるようにしろ」
「え?子供じゃないですか」
「そんなことは関係ない!いいな!1ヶ月で使えるようにしろ!」
「そんな!」
「分かったな!」
そう怒鳴って、ナナフシ改め研究長は、私を置いて出て行きました。…えぇ?どうしろと?
使えるって、戦えるように?本気で?この世界の倫理観は、どうなってるんですか?!ちょっと神様!
「ちっ!馬鹿が!研究ばっかやってるから、人の感情忘れちまうんだよ」
「団長、どうするんですか?」
赤い髪に赤い顎髭を生やし、身長190cm程あるガチムチなおじさんに、短髪青い髪のお兄さんが話し掛けてます。
「どうもこうもねぇだろ、やるしかないだろ」
「でも、子供ですよ?」
「異世界人だ。記憶無いっつったって、すげぇんだろうよ」
「本当に黒なんですね…あーぁ怪我してるじゃない。殴られたかな。ねぇ名前は?」
「…ナナフシ(不本意ながら)」
「おい!ナナフシ!お前なにが出来る」
「まほうしらない。わからない」
「ちっ、あークソッ」
ぐー。
あ、お昼食べてなかった。もう、夕飯過ぎた時間かぁ。戻りたい。戻ってご飯作って食べたいです。
「お腹空いたの?ご飯あげるよ。おいで」
「ああー!どうしろってんだよ!」
その日の夕食は、固いパンとじゃが芋モドキのスープでした。
夜、私は鎖に足を繋がれ、食事した広い食堂の一画に、毛布一枚で横になってます。節電…節魔?でしょうか、真っ暗過ぎて凄く怖いです。
先程まで、客寄せパンダのように人が集まり、黒髪弄られるわ抜かれるわ危うく服剥かれそうになるわで、ギャン泣きしてやりました。
子供(偽)にこの仕打ち!恐ろしい国です。名前知りませんが…。
心へし折れても良いですか?
…ちょっとだけ、ちょっとだけアスクさんを思い出します。ずっと側にいたから、アスクさんがいれば、大丈夫という刷り込みがあったので、いないことに不安になります。
相当依存してる。ダメだなぁ。
自分の絶対的味方の両親や友人と離れ、訳の分からない世界に来て優しくされれば、絆されても仕方ないんじゃ?と、思った事もありますが…。
最初は、鬼の化身並みに言動が酷かったですが。
まぁ、長寿のエルフにとって、人間の私は対象外でしょうし、あの保護者っぷりに、対象外だからこそ甘えられる部分もありますしね。
あの水晶玉を見た研究長の反応。
凄まじい魔力があるそうです。私には。
では何故、魔法が効かず、使えないのか。
あの場所のせいか、回りにいた方々のせいか…。
疑心暗鬼に囚われます。
1つ、得意の妄想で仮説が立ってますが…ま、無いでしょう。
それに、果たして助けようと思われるのか?
元々いない人間です。いなくなっても、そのままの可能性もある上に、絶対助けてくれると思うほど、私は、あの方々を信じてはいない。
そして、一番最初に助けを求めて名を呼ぶほど、あのエルフを求めていない。
今、この暗闇で切実に会いたいですが。むしろ誰でもいいから、居て欲しい。
…私の脳内、ネガティブキャンペーン中です。
何にせよ、生きてアスクさんに色んな意味で会いたいですね。長様にも。
「…アスクさん。聞きたい事が、沢山できましたよ?今もまだ、こうじさんとお話し中ですか?」
「遅い」
「うぉっほい!!ぎゃ…むぐ」
突然の声に、奇声と叫び声が出たと思ったら、口を何かで覆われ、身体を何かが包みました。
「…アキ」
?!?!
お読み頂きありがとうございます。