深き森 自愛に満ちた 聖女様9
※注意※まだ変態がいます。
…この状況、告白したら、即おいでませ18禁なのでは?
「アスクさん、一つ約束を!」
「約束?」
「何を聞いても話しても、今日は、話だけです。アスクさんの気持ちも聞かせて下さい。今日は、お互い話し合ったら深呼吸して、水飲んで、お家に帰ります。良いですか?」
「煩いのは?」
「うるさ…こうじさんもいる事ですし、ここで看病します」
「だめ。危ないから、俺も」
いえいえ?そちらの方が危ないですからね?
どれだけの色気、だだ漏らしてると思ってるんですか?!搾ったら、ドラム缶に溜まりそうなほど漏れてますよ?
「では、カタリナさんは長様に預けます」
私も、泊まり込んで看病すれば安心!
そうですね!色んな意味で安心します。そうしましょう!
「分かった」
よし!
「ふぅ。本当は、こんな風に溜め込んで一気に気持ちを伝えるのは、卑怯に近いのですが、聞いて頂きます!
私は、アスクさんが好きです」
「ほ、んと?」
「えぇ。長様よりも、こうじさんよりも。この世界で出会った生き物で、一番好きなのはアスクさんです」
「あ、きぃ」
こ、ここここわい!
私の心臓を止める気ですか?!
やめて下さい!その顔、その顔だけで18禁ですから!鼻血が、鼻血が出ますから…
どこに顔近付けてるんですか?!
アスクさんが、よぉしキスすっるぞ~な勢いで、顔を寄せてきます。
むぎゅ。むぎぎぎぎー。
思わず、アイアンクローしました。
あぁ、書店で共に働いた由香ちゃん。貴女が教えてくれたプロレス技、使う時無いななんて思ってごめんなさい。
今、世界を越えたイーストゥーリャで大活躍ですよ!ありがとう。
そういえば、上手く出来ないと悩んでた技、オーデ・トゥ・ブリッツグリークは、成功しましたか?
書店のバイトの男の子で試すのはやめましょうね?
お客様より店員からの苦情で、店長が禿げそうでしたよ?
ハッ!現実逃避してました。話を!
「で、ですが!私は、怖いのです!」
「こわい?」
アイアンクローを物ともせず、普通に返してきました。メンタル鋼!?
格好つけても、こめかみと頬に私の指の跡で赤くなってますからね?
「は、はい。8000年生きるのは、私には永遠に聞こえるほど気が遠くなる永さなんです。
その間に、アスクさんが私を嫌いになったら?私がアスクさんを思う気持ちも変化したら?私は、残り何千年も独りになる」
想像するだけで、気持ちが暗くなります。
「故郷では、恋人になっても夫婦になっても、心変わりや別れる事があります。寿命100年弱でですよ?
それが8000年。
私は、自分の気持ちに自信が持てず、またアスクさんの気持ちに絶対的な信頼も持てないんです」
「…」
「私は、この世界を知らない。この森と、エルフしか知らないのです」
「アキ、アキが不安なら延命は使わない。でも、残りの人生俺にちょーだい?全部。
アキが人の人生を全うして、浄化の旅に出たら、待ってる」
「待ってる?」
「ん。次世が決まって、再びこの世界に降りてきて?必ず見つけるから。見つかるまで探すから」
「それは、私ではない気が…」
「アキだよ。ずっと魂はアキ。男に生まれても、気の強い猫に生まれてもアキ。必ず見つけるから」
何故、次世でその2つのチョイスですか?
少々問いたい。
「不安にさせてごめん。俺は、いつも言葉足りない。
エルフは、魂に惚れるんだ。ずっと変わらない。姿形が変わろうと、ずっと愛してる。
アキが、俺を嫌いになったら狂いそうだけど、狂ったら、悲しいのは分からないからそれもいいか。
その前に、変わらず好きでいてもらうよう、余所見させないけど」
「私を嫌いになったら」
「ない。例えなったら、俺を殺して良いよ?その為の道具も渡しておく」
重い重い!
「いりません。私が心変わりしたら?」
「させない。でも、もしそうなったら、もう一度全力を持って振り向かせる。時間はあるから」
女冥利に尽きると言うほどの好意?を感じます。好意というより執ちゃ…く?
気が付くと、ガッチリ外堀を核シェルター並みに囲われているような…?
あら?
とんでもない人に惚れてしまったのでは?
私の心を読んだかのように、
「…今更、怖くなっても遅い。もう好きって聞いちゃった。大丈夫。怖さなんて感じないほど、愛してあげるから」
今、正に!怖いのですが?!
顔撫でるのやめてー、微笑まないで!
「わ、私は!恋愛に関してずぶの素人です!お、お手柔らかにぃひぃいぃぃぃ!」
顎を持たれ、顔を横に向けたかと思うと、首筋にキスを落とす。両腕で抱き締められ、首筋に息を感じる。
「ん。あぁ…やっと俺のもの」
「ゆっくり!ゆっくり参りましょう!最初は手を繋ぐデートから!」
「…んー」
「明確な返事を!」
「…分かった。でももし、俺と人生を少しでも永くいたいと思ったら言って?」
「…分かりました。まだ不安ですが…今は貴方と一緒にいたいのは本当ですから。意思の弱い人間ですみません」
「アキが弱い人間だったら、ニホンは凄いね」
「…良い意味で取っておきますねぇ?」
普通の人間ですが?
「じゃ、ご褒美」
「へ?」
「待てが出来たら、ご褒美」
「ん?…あっ!」
そういえば?
いやしかし?最初は手を繋ぐデートからって…ぇえええ?!
アイアンクローがアスクさんの腕で封印され、顔が近づくので、首を仰け反らせたのですが、
「もう少し後ではだめですかぁっ?」
「キスは恋人の一番軽い接触でしょ」
「アスクさんの、軽くない!エロい!横綱並みの重量級!ひぃっ」
仰け反らせた喉に、かぷりと噛みつくアスクさん。もごもごしてきて、ビクッとなります。
「可愛い。好き、本当可愛い」
こんな、高性能エルフに一般人が太刀打ち出来るかー!
こっそりプロレスマニアの由香ちゃんを望む!
唇以外の、あれやこれやな場所を存分に堪能したアスクさんは、少しお腹を満たした肉食獣に見えました。
食われる。隙を見せたら食われる。
晴れて、恋人になりました。
あ、カタリナさん忘れてました(酷い)。
お読み頂きありがとうございます。




