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2 酒は飲んでも飲まれるな!

今日中に完結とか、生意気言ってスミマセン!

間に合いません!!

仕方なく飲み会に参加する事になったのですが、何故か部長の隣に座らされてしまいました……。

一ツ橋さんは、遠くで女性に囲まれてしまっています。

今日は金曜日、大きなプロジェクトも無事終了し、明日から2日休みになるので、皆さん大いにお酒を飲まれるようです。


「時谷、ビール注いでよ。」

「どうぞ。」

「お前もしっかり飲めよ?」

「そうですね。」

「一ツ橋の所にも注ぎに行ってくるか?」

「……………」


どこまでもからかいやがって、コノヤロウ!!私は、コンパニオンの代りですか!?解りました!やってやろうじゃないですか!

部長に次々とビールを注いでやり、私も結構なピッチで飲み進めていきます。こうなりゃやけです!部長にからかわれ続けるなら、潰れた方がマシです!



ガンガン飲んでいるのですが……。

…気になる事が一つあります。私の右隣りには部長がいます。なのに左隣には誰もいない空席が……


嫌な予感がします。


「一ツ橋ィ!ソロソロお前、コッチに来いよ!席、開けてるぞぉ!!」


開いた席を見つめ、嫌な予感を感じていた正にその時、ナイスミドルが大声で一ツ橋さんを呼びました。


一ツ橋さんは「今行きます!」と大きなイケボで返事をし、そそくさと肉食女子の元から此方へ逃げて来ました。ええ勿論、私の隣の空席にです。

どうして良いのか解らなくなった私は、半泣きで右隣のナイスミドルを睨みつけます。

奴は、やっぱりニヤニヤしてました。「上司にビールぐらい注いでやれよ。」とニヤニヤ笑いで、ビール瓶を渡してきます。

「注いでくれる?」なんて一ツ橋さんに言われてしまえば、逃げることも出来ません。


「ど、どどどどどどどうぞおぉぉぉぉ。」


今の私は、激しく不審者です。

震える手で、ビールを注いでいると、お約束の様に、テーブルに零してしまいました。

慌てて瓶をテーブルの上に置き、おたおたとおしぼりで零したビールを拭きとります。

その拍子に私の鞄が倒れ、中からMP3プレーヤーが出てきました。しかも、何かの拍子に電源が入った様で、今まさに祐ボイスが流れているようです!


「そういや時谷、いっつも何か聞いてるよな。何を聞いてるのかお父さんにも教えなさぁい!」

「あ、俺もソレ気になる。」


パニック絶好調!な私の両隣で、上司共が勝手な事を言って、勝手にイヤホンを片方ずつ耳に当てています。当てていますぅ!?

私を挟んで2人が身体を寄せているので、2人の身体が私に密着しています!そして、2人で特性の祐ボイスを聞いてるのです!

一ツ橋さんに密着されながら、彼そっくりな祐ボイスを聞かれる…。


羞恥プレイです!間違いありません!!


「え?俺の声!?」

「あー……。盗聴は犯罪だぞぉ?時谷。」


“驚愕”という表情をした一ツ橋さんと、残念な娘を見る様な部長。

今なら、羞恥で死ねます!確実に!!


「ちちちちちちち違いますぅぅ!!それは私が高校生の時に作った、“特性 二階堂 祐ボイス、日常編”なんですぅぅぅぅ。」


酔いが回って判断力の鈍った私は、自白しなくても良いような事をゲロッたみたいです…。

あとで考えれば、私はとても馬鹿でした。職場の方たちに聞こえる様な声であんな事を言って……。


あまりの羞恥で急激に酔いの回ってしまった私は、そのままブラックアウトしてしまいました……。






「うにゃぁぁ~。頭が痛いよぉぉ~……」


翌日の目覚めは実に最低なものでした。酷い頭痛に目が開きません。これが二日酔いですね。初めて経験しました。なんだか、「社会人」って感じですよね!


さて、私は昨日どうやって家に帰って来たのでしょう?


昨日の事を一生懸命思い出してみますが、なんだかやらかした後気を失ったような気がします。何をやらかしたんでしたっけ…?


……ん?私の布団と肌触りが違う気がします。枕もやけに硬い。まるで細めの丸太のようです。さらに、丸太は私の身体の上(腰のあたり)にも、一本乗っているようです。背中には、壁。しかもこの壁、温かいし……。


だんだん目が覚めて来ました…。この状況はもしや、もしやぁ~~~~!!


「おはよう。目が覚めたか?…気分はどうだ?」


壁から“祐ボイス”が聞こえてきます!どういう事でしょうか!?

はっ!もしや、これが「お持ち帰り」という物なのでは!!まさか自分の身に起こるとは!

しかも相手は二階堂 祐!

私の脳内から、とうとう祐が飛び出して来たのですね!!やっと私は、あなたと幸せになれるんですね!

祐と別れてから5年。あの辛かった日々は、今日につながる試練だったのですよ。生の祐ボイスで朝を迎えられるなんて………。



って、そんな事はありませーん!!

この祐ボイスは、“二階堂”ではなく……


確認のためそっと目を開けて後ろを振り返ってみました。そこにはやっぱり一ツ橋さんが……!!しかも、上半身裸の様なんですが!?


私は、直ぐに布団を持ち上げ自分の格好を確認しました。

まず服!何だかやたらと大きなTシャツを着ています!ズボン等は履いてない様子。次、パンツ!これは大丈夫!ちゃんと履いてます!!しかも違和感や痛みは何もありません!!

どうやら、男女のアレコレは何もないようです!


「ぷっ!ククククククッ」


私がオタオタと確認作業をしているのが、面白かったのでしょうか?背後から一ツ橋さんの笑い声が聞こえてきます。

さらに、丸太ーーー一ツ橋さんの腕が、私に絡みついて来たではありませんか!?


「時谷。お前、マジで可愛いな。」


一ツ橋さんは、腰に直撃な祐ボイスで囁いて、私の後頭部にチュッとキスをされたようです。



「ちゅっ」って、「ちゅっ」って~~!

もう、鼻血が出そうです……。

取り敢えず風呂に入ってきて、その後続きの作業します!

明日は休みなので、朝までには完結させるぞぉ~!!

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