表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

一ツ橋 祐の憂鬱 5

これで、一旦完結にします。

続きは、第2部として書き溜めてから投稿します。

昨夜は、時谷のリクエストで、色んなセリフを言わされた。

その度に時谷は、「ふぉぉぉぉぉ!」や「ふきゅぅぅぅぅぅ!!」などの奇声をあげ、段々息遣いもハァハァと興奮したものに変わってくる。チョット、気持ち悪かった……。

しかし、一時間もやっていれば俺が飽きてきた。「これ以上やってたら、明日のデートで声が出ないかも」とポソリと呟いたら、時谷は泣きそうになって「も、もう良いです。明日の為に喉を整えて…ください」と言って落ち込んでいた。


嘘に決まってるだろ…。ホントに残念なヤツ……。


今朝も、目が覚めた所で「おはよう、昴」と囁いたら、タップリ10分は悶えてた。

こいつ、そのうち鼻血噴くんじゃねぇかな……?


寝室から出て、俺は朝食の準備をする。

まぁ作ると言っても、昨日作っておいたスープを温めて、トーストを焼くだけなんだけどな。時谷にはスープだけ用意し、流動食も一本出しておく。

昨日も、様子を見ながら流動食を渡し、3本飲ませた。今日はなんとか、5本は飲ませたいな……。

そんな事を考えながら、俺は今日の弁当の用意をする。

大きめのステンレスの水筒にスープをいれ、小さめのバターロールに色んな具材を挟んだサンドイッチを作る。大きめのトートバッグに、弁当と布製のレジャーシート入れる。小さな保冷バッグに、カットフルーツと流動食2本と保冷剤を入れ、コレもバッグに入れておく。

時谷と朝食を食べた後は、昨日買った服を渡して、「今日は俺の選んだ服、着てくれるか?」とおねだりしておく。


あ、そうだ。着替える前に……。


「時谷ぁ。お前今、体重どれ位なの?」

「え?あー……。どれ位でしょう…?最近計ってないですが、体調からみて、32Kgはあると思うんですけど…」

「じゃあ、今計れ。今日から毎日チェックする。」


時谷の食欲中枢は、多分イカれてる。本人もそれには気付いている様だが、危機感は持ってない。胃が小さくなって、更に食べられる量も減っている。悪循環に嵌ってるせいで、こんなに痩せてるんだろう…。

体重計に乗せたら33Kgあった。あと10kgは増やしたいな……。


本人にも、ちゃんと自覚をさせなければ……。

自分からも積極的に、食事をとるように誘導してやろう。


どうやって時谷をその気にさせるか考える。


「おお!思ってたよりあります!!最近部長さんがお菓子くれるから、それで増えたんですかね!?」


時谷はこの体重でも、増えたと喜んでいる。喜べる体重じゃないだろう!もっと危機感を持て!!

しかも、お菓子で増えたとか……。時谷の栄養状態はどうなってるんだ?ヤバい事になってるんじゃないだろうな!

叔父も叔父だ!痩せてるのを気にして何か食べさせるなら、もっと栄養のある物を与えろよ!!


「一ツ橋さん?……何だか、怒ってますか…?」


俺の表情は、厳しいものになっているようだ。それに気付いた時谷が、目を潤ませている。


やべ。不安にさせちまったか?


俺は直ぐに気持ちを立て直し、笑ってみせた。


「いや?怒ってねぇーよ。どうやって昴を太らせようか、考えてただけだ。この様子だと……、お前、生理も止まってるだろ?」

「そう言えば……。…もう、2年位止まってますね………って、なんでそんな事聞くんですか!?」


スッカリ調子の戻った時谷。思い通りに反応してくれるのが、可愛くてしょうがない。だから、ツイツイからかいたくなる。

ニヤニヤ笑いながら、片手で時谷の頬をなでてやる。


「え?子作りするのに大切だろ?」

「こ、子作り…って……!」

「体重増やして、ちゃんと生理が来るようになったら、してやるからな?」

「!!」

「SEXして欲しかったら、もっと太れよ?」

「!!!」


時谷は顔を真っ赤にして、目を丸くし、口をパクパクしている。

何その反応………。可愛すぎるだろ?

どうしてくれようか……。


あまりにも可愛いので、派手な音を立ててキスしてやった。

すると時谷は、興奮しすぎてその場で崩れ落ち、気を失ってしまった。





時谷が気を失っている間に、着替えさせ、唇には昨日買っておいた、色付きのリップグロスを塗ってやる。ワックスを使って髪型も整えてやり、持ち物も整えてやる。

自分の準備を手早く済ませ、ズボンのポケットに昨日買った物を箱から出して、入れておく。

トートバッグに時谷の鞄も入れて肩にかける。そのまま時谷を抱き上げ、車に乗せ出発した。




時谷が目を開けたのは、水族館に到着してからだった。観覧車のそばにある駐車場に、車を止める。

時谷は、また俺に着替えさせられた事に気付いて、「一ツ橋さん!セクハラですよ!!」と怒っていた。

今更何言ってんだ…。


「でも、この二日間の過剰なスキンシップで、俺への耐性がついただろ?」


ニヤリと笑って言ってやると、時谷は一瞬キョトンとした顔をしてから「あっ!」と声を出した。

気付いてなかったのか?まぁ、時谷らしいけどな。


「ほら、行くぞ。」


車から降りて荷物を持ち、開いた方の手を差し伸べる。時谷は嬉しそうに笑って、差し出した手を握ってくる。

手をつないだまま、2人で順番に水槽を見て回る。ペンギンの水槽の所では、時谷が大興奮していた。

ペンギンの前で大はしゃぎする時谷。その可愛い姿を暫く眺める。


だが、少し興奮しすぎだ……。

大興奮の時谷を落ち着かせようと、俺は彼女を後ろから抱きしめた。それでも落ち着かない時谷。

しかたなく、


「少し落ち着け。後で、でかいヌイグルミ買ってやるから。な?」


耳元で囁いて、軽く耳にキスしてやると、やっと静かになった。


あまり大きな水族館じゃないので、3時間ほどで全ての展示を回ってしまった。

土産物屋で、約束通りヌイグルミを買ってやると、時谷は嬉しそうに両腕で抱きしめていた。

時谷はホントに何をしても可愛いな。


水族館から出た後は、弁当を食べる為に、隣接している公園でレジャーシートを広げた。

サンドイッチを一つと、マグカップにスープを入れて渡し、「コレだけは絶対に食え。」と言い渡す。

さっき水族館の中で流動食は飲んでるから、取り敢えずそれだけで良い。


のんびりと一時間程かけて食事をした。時谷は渡した物はしっかり食べきり、更にもう一つサンドイッチを食べていた。

なのでご褒美として、カットフルーツを「あーん」と食べさせてやった。時谷が思った以上に、食べてたのに驚いた。


……SEX、して欲しいのか…?




食事の後は、腹ごなしを兼ねて公園内をゆっくり散歩した。

夕焼けの頃に合わせて、観覧車に乗る。乗り込む直前に“苺ミルク”の飴を口に入れてやったら、時谷の顔は夕日より赤くなってた。


時谷は観覧車の窓から、吸い込まれるように沈んでいく太陽を、ジッと見つめている。俺は向かいに座って、そんな時谷の姿をジッと見つめていた。

もう直ぐ頂上だ…

俺は静かに立ち上がり、時谷を囲う様に椅子の背もたれを両手で掴む。


「すばる……、好きだ。愛してる……。」


囁いて、そっとキスをした。

そのまま少しずつ角度を変え、キスを深めていく。ポケットを探り、天使の翼のペンダントトップが付いたネックレスを、キスはしたままでそっと着けてやる。

ちゅっと音を立てて唇を離すと、時谷は目を潤ませてくたりと椅子に凭れかかった。思わずといった感じで、胸元に両手を持って行いく。

そこで初めて、ネックレスが付いている事に気付き、驚いた顔で俺を見る。


「指輪は、あと5Kg太ったら買ってやるからな。それまでは、それで我慢しとけ。」


意地悪く笑って言うと、時谷が抱きついてきた。ぎゅうぎゅうとしがみついてくる時谷が可愛い。

なので、しっかり抱き返して、頭にキス。


「すばる……。俺の事、好き?」

「…はい」

「ちゃんと、言って?」

「すき、です。」

「じゃあ、体重があと10Kg増えたら、結婚しようか?」

「…………」

「返事は?」

「……頑張って、太ります!」


その返事が可愛かったので、もう一度、今度は地面に到着するまでキスをした。

一度完結とします。

続きは、また書き溜めてから、第二部として投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ