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第06話:あの子がリルプレアに?二人目はリルアイス!(3)

 翌朝、カエンの足の下で目覚めたボクは静かにベッドから降りて、寝顔を見せる少女を起こさないように部屋を出る。姿を人間体に変えて。

 既にシズクは起きていてキッチンで朝食を作っていた。隣にはまだ眠そうなコユキの顔。


「おはようございます」

「はい、おはようございます」

「……おはよう……」


 朝の挨拶をかわす。

 洗面所を借りて顔を洗ってから食堂に戻ると、カエンも起きていて朝食を食べる体勢を取っている。


「おはようございます」

「おっはよ~!」


 朝食はパンと卵焼きとミルクというありふれた献立だったけれど、それが爽やかな一日の始まりに安らぎを感じさせる。カエンはパンを頬張りながら明るく喋り続け、シズクは上品に卵焼きを口にして、コユキは大き目のコップに注がれたミルクを一生懸命飲んでいる。

 そうしているうちに優しい時間も終わりを告げ、みんなで食器を片づけている最中に――闇の気配を感じる。


「カエン、シズク、今日のお仕事が始まりました」

「コユキ、ここで待っててね」

 状況を理解したシズクは妹のコユキに声をかける。

 コユキはボク達の様子に何かを察して素直に頷く。


 ボク達はシズクの家を出る。

 三頭身のサイ妖精に戻ったボクは、闇の気配がする場所に二人の少女を案内する。カエンの頭にしがみついて。

 そこは昨日と同じ広場だった。


 ◇ ◆ ◇


 線の細い男性が後方に闇の存在を従えて広場に立っている。

 その男性は顔全体を隠す様に白い仮面を被っている。目と口の部分に三日月の穴が開いているが、穴の奥はうかがい知れない。大き目のシルクハットを被り、わずかに見える髪の毛の色は黒。服装は黒のスーツ、そして白い手袋、黒い革靴。肌の露出が全くない。

 ボクの【危険察知】が警告を鳴らしている。


 ――【ステータス鑑定】

 名前:ビヨルン 種族:闇の存在 性別:? 年齢:?

 職業:闇の執事


 昨日の闇のメイドと同じで名前と職業しか鑑定できない。

 白い仮面の男がボク達の姿を認めて落ち着いた声で話しかけてくる。


「わたしは魔王ドノタウガ様の執事ビヨルンです。あなた達が昨日ビスクのクマ人形を倒したのですね」

「そうよ! あなたも同じ目に遭わせてやるから覚悟して! これ以上町の人達に手を出させないから!」

「フフフ、元気がいいですね……、しかし今日はそうはいきません。私の作ったゲンメツンはビスクの人形よりも優秀ですから。――行きなさい手下共よ」


 カエンが闇の執事ビヨルンに食って掛かる。シズクも怒りの表情で睨み付けている。

 ビヨルンの命令で前に出てきた者達はドンテシターおよそ30体。全身黒タイツの闇の手下達。全員が両手を上げ足を広げて、こちらを挑発するように体を揺らしている。


「ドンッ」「テシ!」「タ~?」


 そして執事を名乗る男の背後、巨大なワイン瓶に手足が生えた異形の姿――ゲンメツンが前に出る。顔の位置にある目と口は瓶の身体からはみ出して宙に浮いている。その顔が怒りの表情でボク達を威嚇する。


「ゲ~ンメツッ!」


 ボクは伊達メガネを光らせる。このビヨルンと名乗った男は闇の執事。昨日のビスクという少女は闇のメイド。二人ともゲンメツンを指揮する立場の様だ。それならば二人は――魔王の指揮官か幹部の地位にある存在なのか。


「カエン! リルプレアに変身するトプ!」

「任せてっ!」


 カエンはボクの言葉に間髪入れずに元気よく答えて、赤いプレアリングを付けた左腕を水平に前に出す。

 そして力強く変身のキーワードを叫ぶ。


「ネクストステージ! ――リルプレア!!」


 その瞬間プレアリングが赤い光を放つ。


 目を閉じる赤い髪の少女。

 髪の毛が輝きセミショートの髪型がロングヘアのツインテールになる。

 服装も光を帯びてリルプレアの装備に変わっていく。

 ノースリーブの白シャツに胸元に大きな赤いリボン。

 ひざ上丈の真っ赤なフレアスカート。

 頭上に現れたのは真っ赤なベレー帽。

 すっきりしたデザインの金属手甲に金属ブーツ。

 そして最後に手元に現れた大きな両手剣。構えた剣が炎を纏う。

 

「――進撃の魔法戦乙女マジカルヴァルキリィ! リルフレイム!!」


 意志のある強い瞳で微笑んでポーズを決めるカエン――リルフレイム。

 進撃の魔法戦乙女マジカルヴァルキリィが闇の存在を一喝する。


「闇の者達よ! 光に抱かれて眠りなさい!」


 その声に引き込まれるように襲い掛かるドンテシター。

 その隙間を縫うように駆け抜けて、肉弾攻撃をかわしながら両手剣の破壊力で黒タイツ達を吹き飛ばす。

 圧倒的な力でザコ敵を蹂躙するリルフレイム。数合の内に殆どのドンテシターは光に還って行った。


「あなた達じゃ、あたしの相手にならないのよ!」

「ドンッ!」「テシッ!」「タ~?」

「なかなかやりますね、ドンテシターは引きなさい。行け! ゲンメツン!」

「ゲ~ンメツッ!」


 ――【ステータス鑑定】

 名前:ゲンメツン 種族:闇の存在 性別:? 年齢:?

 職業:闇のワイン瓶

 HP  886/ 886 (現在値/最大値)

 MP    0/   0 (現在値/最大値)

 物理攻撃力  48

 物理防御力  30

 魔法行使力   0

 魔法防御力  28

 器用値    19

 敏捷値    38

 幸運度    12

 移動力    22

 跳躍力    18

 スキル

 【闇の加護】レベル1


 昨日のゲンメツンより力はないけれど敏捷値が上がっている。

 その値はリルフレイムより高い。この巨大ワイン瓶は彼女より素早い身動きができるらしい。


「リルフレイム! あのゲンメツンは素早いトプ。その点だけ注意して戦うトプ!」

「炎をまとえ!【爆裂剣】!!」


 魔法剣【爆裂剣】を唱えたリルフレイムは、残像が見えるほどの速度で移動して攻撃を仕掛ける。両手剣の炎の軌跡がきらめいて戦闘の情景を伝える。

 対する巨大ワイン瓶のゲンメツン。

 その全てをガードすらせずに身のこなしだけで避ける。


「ゲ~ンメツッ!」

「なんであたらないの!」

「そんな腰抜けの攻撃が私のゲンメツンに当たる訳がありませんよ!」


 当たらなければ【爆裂剣】の効果も発揮しない。

 リルフレイムは焦りを顔に浮かべ攻撃の速度を上げるが、それでもワイン瓶の巨体の動きを捉えられない。

 その様子にゲンメツンはあざ笑いの表情を見せ、球体の拳で攻撃を始める。

 戦う少女の攻撃を避けて左拳、再び攻撃を避けて左拳、さらに攻撃を避けて左拳……。


「ゲ~ンメツッ! ゲ~ンメツッ! ゲ~ンメツッ! ゲ~ンメツッ! ……」

「ぐっ! ぐっ! うっ! ぐっ! ……」

「弱い! 弱い! これで良く昨日は勝てましたね。驚くほど弱い!」


 巨大瓶の拳が当たるたびにリルフレイムの身体が止まり、悔しげな表情が見える。

 そこに放たれた巨体の右拳が少女の腹に直撃する。

 弾き飛ばされ宙を舞うリルフレイム。背中から地面に落ちて苦悶の表情を浮かべる。

 衝撃で起き上がれない少女に、勝ち誇った表情を浮かべるゲンメツン。


 目の前の惨状に震えていたシズクだったが、それでも自分を叱咤して仲間を助けるため倒れている少女に近づく。


「リルフレイム! 大丈夫ですか!? か、回復魔法を……」


 そこに現れる巨大ワイン瓶。

 二人の少女を蔑むような眼で見て、球体の右拳をゆっくりと振り上げる。

 恐怖で動けないシズク。カエンが苦痛に歪む顔で「やめろ……」と力なく声に出す。


 カンッ!


 軽い音がする。ゲンメツンの背後、その足元に小さな少女の姿。

 陽の光に輝くサーベルを両手で持ち、巨体を支える球体の足に斬りかかる。

 父の形見のサーベルで闇の存在に戦いを挑む青い髪の少女――コユキ。

 ボク達の後についてきていたのか。


「……お姉ちゃんに手を出すな!」

「ゲンメツ?」


 コユキは真剣な顔をして巨体の右足に刀を振るう。

 羽虫が当たった程度の刺激に何をされたのかと振り向くゲンメツン。


 カンッ! カンッ! カンッ! カンッ!


 何度か斬り付けるも全くゲンメツンにダメージを与えられないコユキ。

 このままではみんなが危ない。

 出遅れたボクはその場に駆け付け唯一の攻撃魔法を唱える。


「イカヅチヨココニ! 【サンダーショット】!」


 白い稲妻がゲンメツンの背中に命中する。

 しかしその攻撃は巨体の行動を止めるには至らなかった。

 魔法行使力15のボクではザコ敵ならまだしも、目の前の闇の存在には殆ど効果がない。


 ボクの精一杯の魔法よりも足元のカンカンうるさい相手をどうにかしようと、ゲンメツンは丸い拳を振り上げる。

 シズクが目を見開いている。

 カエンが立ち上がろうとしている。


 ――その時、

 背中のリュックの中で青いプレアリングが反応を始める。

 青い髪の少女をリルプレアにしろと訴えてくる。


 しかし、それとは関係なく目の前で事態が進行する。


「コユキ! 逃げるトプ!」

「ゲンメツン、邪魔者は排除しなさい」

「ゲ~ンメツッ!」

「やめて!」


 巨体の拳が自分の妹に向かうのを止めようと、シズクは懸命にゲンメツンに飛び掛かる。

 その行動は奇跡的にも功を奏した。

 シズクの動きに気を取られたゲンメツンの拳は威力が激減する。

 命を奪いかねなかった一撃は、コユキを数メートル吹き飛ばすだけに止まる。


「コユキッ!!」


 すぐさまコユキに駆け寄り回復魔法をかけるシズク。

 ボクは青く輝くプレアリングを抱えて駆け寄る。

 そして痛みに耐えて目を閉じている青い髪の少女に意志を問う。


「コユキッ! 君は――戦う少女に! 本物の戦う少女になりたいトプ!?」

「……なる」


 目を開けてボクの瞳をしっかりと見詰めて即答するコユキ。

 父の形見のサーベルを抱えたまま気力で立ち上がる。

 たったこれだけの説明で戦わせていいのかと躊躇いはあるが腹を括る。

 時間がない。

 リルフレイムの苦戦を助けられるのはこの少女だけだから。


「このプレアリングを腕に付けて『ネクストステージ・リルプレア』と叫ぶトプ!」

「んっ……、カエンさんの変身、見てた……」


 カエンの変身を見ていたのならリルプレアの意味もわかるだろう。

 ボクは迷いを断ち切る。

 シズクにサーベルを渡すコユキ。

 そしてボクの手にある青いプレアリングを受け取り左腕にはめる。

 左腕を水平に前に出して力強く変身のキーワードを叫ぶ。


「ネクストステージ! ――リルプレア!!」


 その瞬間 プレアリングが青い光を放つ。


 目を閉じる青い髪の少女。

 髪の毛が輝きセミショートの後ろ髪が伸びて結ばれポニーテールになる。

 服装も光を帯びてリルプレアの装備に変わっていく。

 ノースリーブの白シャツに胸元に大きな青いリボン。

 ひざ上丈の青いフレアスカート。

 頭上に現れたのは青いベレー帽。

 布製の青い手甲に革製の膝下ブーツ。

 そして最後に手元に現れた刀一振り。構えた剣から輝く氷が舞う。


「――殲滅の魔法戦乙女マジカルヴァルキリィ……リルアイス!」


 静かな瞳に戦う意思を浮かべてポーズを決めるコユキ――リルアイス。


 ――【ステータス鑑定】

 名前:リルアイス 種族:殲滅の魔法戦乙女 性別:女性 年齢:12歳

 職業:サムライ

 HP  198/ 198 (現在値/最大値)

 MP  120/ 120 (現在値/最大値)

 物理攻撃力  54

 物理防御力  24

 魔法行使力  30

 魔法防御力  24

 器用値    30

 敏捷値    42

 幸運値    24

 移動力    36

 跳躍力    36

 スキル

 【刀術】  レベル1

 【氷魔法】 レベル1

 固有スキル

 【アイスストリーム】

 技・魔法(カッコ内は必要スキル・レベル)

 【アイスジャベリン(氷魔法レベル1)】

 【氷雪刀(刀術レベル1/氷魔法レベル1)】


 闇の存在と戦う者――魔法戦乙女マジカルヴァルキリィリルプレア。

 そこに新たな戦士が再び生まれた。

 殲滅の魔法戦乙女マジカルヴァルキリィを冠した青い髪の少女――それはコユキが変身した姿。

 その名はリルアイス。

 氷魔法を操り素早い攻撃を得意とする魔法サムライ。


「君はいま闇を消し去り希望の光をもたらす者『リルプレア』に変身したトプ。大丈夫。その力を使って闇の存在を光に還すトプ!」

「んっ……、わかった!」


 ボクの言葉に答えてリルアイスは戦いに意識を向ける。

 シズクは預かったサーベルを抱え、リルアイスを見つめている。


「ゲ~ンメツッ!」


 すぐさまリルアイスに攻撃しようと両手を振り上げるゲンメツン。

 その巨体に真横から蹴りを放ったのは宙を飛んで現れたリルフレイム。赤いフレアスカートがひらめいている。何度かバウンドして飛んでいくワイン瓶のゲンメツン。

 リルフレイムはリルアイスの側に着地し、ダメージの抜けていない顔で新しい仲間に声をかける。


「……リルアイス! よろしく! 一緒にがんばろうね!!」

「んっ……頑張る……」


 仲間の少女に視線を合わせて、小さく、でもしっかりと頷くリルアイス。


「新しい相手ですか! あんなチビ、ドンテシターで十分です。やってしまいなさい」

「ドンッ!」「テシッ!」「タ~?」


 いつの間にか人数が増えているドンテシターが新しいリルプレアを集団で襲う。


「……氷をまとえ【氷雪刀】」


 リルアイスが【氷雪刀】を発動。少女の持っている刀に氷の輝きが宿る。

 この技【氷雪刀】は己の持つ刀の表面を氷で覆うことで、切れ味の劣化を完全に防ぎ、切断力を大幅に上げる魔法剣。使用中は継続してMPの消費を伴う。


 一瞬で視界から消えたリルアイスの姿がドンテシターの後方に現れる。

 切り刻まれた紙のように黒い破片が舞う。

 それは【氷雪刀】の切り刻まれたドンテシターの成れの果て。

 そのまま光に還っていく。


「ドンッ!」「テシッ!」「タ~?」

「氷よ貫け【アイスジャベリン】」


 残る数体の黒タイツに向けて、リルアイスは氷魔法【アイスジャベリン】を発動した。

 正面に向けた左手の平に、広げた指の長さの三本の小さな氷の槍が生まれる。その槍が目にも留まらぬ速度で放たれて闇の手下の身体を貫く。

 そして全てのザコ敵達が「ドンッ」「テシ!」「タ~?」と最期の言葉だけを残して、光の粒子となって空に還っていった。


 その間リルフレイムはダメージを負った身体でゲンメツンの攻撃を抑えている。

 全てのザコ敵を光に還した青い魔法戦乙女マジカルヴァルキリィはその場から跳躍。

 ワイン瓶の巨体に蹴りを放つ。

 リルフレイムの目の前から横に吹き飛ぶゲンメツン。

 その場所に巨体を蹴り飛ばしたリルアイスが凛と立つ。

 胸の青いリボンが静かに揺れている。


「ありがとう! リルアイス!」

「……んっ」

「ゲ~ンメツッ!」


 すぐに体勢を整えリルアイスを睨み付け飛び掛かる巨大ワイン瓶。

 目に見えない速さで攻防を続け、互いの攻撃を避け続けるゲンメツンとリルアイス。

 やがてゲンメツンの体表に氷の斬撃が何本も刻まれ始める。敏捷値に勝るリルアイスの攻撃が闇の存在の能力を凌駕する。

 そして間もなくリルアイスの一方的な展開になる。


「ゲ……ゲ~ンメ……ツ……」

「何をしているのですか、ゲンメツン! 早く小娘を始末しなさい!」


 無数の斬撃を受け苦しそうな顔をするゲンメツン。

 その姿を確認して、一旦後方に大きくジャンプして距離を取る青い髪の少女。


光を放つ宣誓はリルアイス究極技の祝詞。闇の存在を光に還す圧倒的なパワーの始動。


 空を見上げ「……凍える吹雪が」


 両手で剣を上に高く掲げて「闇を消し去る……」


 両足を広げ腰を落として刀を右から左下へそこから真上へ切り上げ……素早く刀を振り五芒星を描く。最後に刀を右に振り抜いて右手一本で刀を持つ体勢になる。

 五芒星の頂点五ヵ所に大きな氷の結晶が現れる。


「リルプレア!」


 刀を両手で持ち真上に上げて振りかぶる。

 大きな五枚の氷の結晶が回転を始める。


「アイス! ストリームッ!!」


 刀を振り下ろす。氷の結晶から物凄い勢いで吹雪が巻き起こり、前方に押し出されていく。

そして動きを止めたゲンメツンに命中する。光に包まれる巨体。

 巨大なワイン瓶は、口を開け、顔を上に向けて――両手を宙に浮かせる。


「キ、キボウガー……」


 ゲンメツンの最後の一声。

 その姿はやがて薄れていき――砂粒のような光で描かれた姿になる。

 その光の姿がゆっくりと拡散して空に舞い上がり消えていく。


 それは闇の存在が光に還っていく光景。


 その姿を静かに見守る青い髪の少女――殲滅の魔法戦乙女マジカルヴァルキリィリルアイス。


 その後に残るこぶし大の輝く球体――エレメント。


「今日はこのくらいにしておきましょう。次に会うときがお前たちの最期です」


 ビヨルンは陽炎のように消えていった。見事な捨て台詞と逃げ足。


 ボクはエレメントオルゴールを取り出して、エレメントを収納する。

 可愛らしい音色が戦闘の終わりを告げる。


 リルアイスに笑顔で駆け寄るリルフレイムとシズク。ボクもその後に続く。

「やりましたわ!」

「リルアイス……今日はありがとう、これからも一緒に頑張ろう!」

「お疲れトプ」

「んっ……」


 小さく頷いたリルアイスが、その後にボクを訝しげな顔で見る。


「あなた……、誰……?」


 そう言えばシズクの家では三頭身のサイ妖精の姿を見せていなかった。彼女にとってこの姿は初対面だというのに、あんなに簡単にボクの言葉を受け入れたのか。

 この子の胆力は並じゃない。


 そしてリルアイスの横では、シズクが何かを訴えるようにボクを見ている。


<次回予告>

シズク

「妹のコユキが魔法戦乙女マジカルヴァルキリィリルプレアになりましたわ。

 それはとっても嬉しいのですけど……。私も、リルプレアに、なりたい、です、わ!

 えっ! 私もリルプレアになれるのですか! 

 喜んだのも束の間、結局プレアリングができないなんて……、ムトップの嘘つき……。

 そしてまた現れる闇の存在。強敵を相手に苦しむリルフレイムとリルアイス。

 その姿を目の前にして私ができるのは……」


ムトップ

「次回『満を持して!リルホーリー登場!』 三話に分けてお送りするトプ」

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