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Absolute Zero 3rd  作者: DoubleS
第二章
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いろいろな本性と苦悩 11

「こちら、水葉。雅史、聞こえてる?」

「聞こえている。どうだ、監視カメラの映像で見つけ出せたか?」

「一応、非常口や従業員用の通用口の監視映像を見てるけど、ターゲットは外には出ていないようね。でも、ホテルの中は、招待客でごった返してる。とてもじゃないけど、監視カメラで、ターゲットを見つけ出すなんて無理よ」

 塩沢は舌打ちする。人を隠すなら人の中と述べた先人のセンスは素晴らしいことこの上ない。

「柳都が、客に紛れて会場内を探している。俺は、ホテル内の会場外のフロアを探す。お前は、監視カメラのチェックを続けてくれ」

「私と、北条君、交代した方がいいんじゃないかと思う。監視カメラのチェックの方が、直接探すよりも安全な仕事よ」

 塩沢はその提案をはねつけた。水葉の顔は割れている可能性がある。やはり、ノーマークの北条を使った方が、特にパーティー会場の中ではより確実だ。

「……僕は構いませんよ。今、パーティー会場の大ホールの前の廊下を歩いていますが、写真の男はいません。先輩は今どこにいますか?」

「俺は今、十九階の客室の廊下を歩いている。しかし、廊下にそれらしい人影は見当たらん」

「……水葉さん、カードで何とかなりませんか? この人の多さで見つけるのは困難です」

 塩沢以上に抑揚の低い北条の声だが、彼がこの状況を快く思っていないことは、水葉にも容易にわかる。しかし、水葉にもどうしようもない。

「カードで探索術式を展開するにはこのホテルは広すぎる。監視カメラを全部チェックする方がまだ簡単よ」

 塩沢は腹立ちまぎれに、廊下の壁を軽く蹴った。これではらちがあかない。

「エレベーターの監視映像で、奴らしき人間は、映っていたか?」

「……さっきからここ数時間の監視映像を調べてるけど、エレベーターにはそれらしき人間は映っていなかったわ。おそらく、非常階段を使っているか、従業員用のスペースにいるはずよ。あるいは、従業員用の通路を使って、部屋に移動したのか…といったところかしら」

「……僕はあくまで一般招待客ですから、さすがにそこまでは入れません。そこはホテルとのつながりのある水葉さんに調べてもらう必要があるでしょうね」

 塩沢は十九階のエレベーターホールに向かって再び歩き出した。廊下はとても長く、同じ階の端から端まで歩くだけでも、相当の時間がかかり、運動になるくらいだ。

「……依頼はあくまで調査だから、鈴原滝夫が麻薬取引に関与してましたと、証拠写真を添えて報告さえすれば、問題ないのだろうが……そうすれば、連中を刺激することもないから、ここで爆弾テロや立てこもりを起こされることもない……」

「そんなんで、相川さんやクライアントが満足するとでも思っているの? その現場まで押さえなければ、意味ないでしょう」

「……麻薬密売人を放置したら、それこそ多くの人が苦しむことになりますよ。僕も医学生として、それを見過ごすのは、気分が悪い」

 それに関しては塩沢も同意見だった。いくら仕事の内容が調査であって摘発ではないにしても、麻薬取引をしている連中をむざむざ見逃すのは絶対に嫌だ。自らの沽券にもかかわる。何としてでも彼らを捕らえたい。

 塩沢は通信を切り、エレベーターに乗り込むとフロントの階のボタンを押した。

(……どうする? 今の状態で見つけ出すのは困難だ)

 エレベーターのドアが閉まりかけたが、人が歩いてくる音が聞こえた。塩沢は「開」のボタンを押した。しかし、ドアが開くと、塩沢も歩いてきた人も面食らった。


「……北原霜華、北原風華。どうしてここにいる」

「塩沢さんこそ、こんなところで何してるんですか」

 面倒な奴に見つかったという苦々しい顔をしながらも、塩沢は渋々エレベーターに二人を乗せた。霜華と風華は塩沢をにらみつける。

「……俺と君たちはよく出会うな」

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