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詩集

神のエゴ

作者: ロースト

神のえご


なぜ、なぜ僕なんだ。

僕みたいな偽善者で、空虚主義者で、現実主義者で・・・。

なのに、なぜ、僕なんだ。僕じゃなくてもいいじゃないか。


弟みたいに信じているわけでもない。いや、それ以前に否定している。

弟ではなく、なぜ僕が、選ばれたんだ。



わからない。


そんな疑問を抱えて、僕は奉仕する。

信じてやいないのに。

否定してるのに。


なのに、僕が選ばれて。


信じているのに。

肯定しているのに。


なのに、弟が裏切られて。


僕は罪人だ。僕は咎人だ。なのに、なのに……。

愛されるべきは俺じゃない。弟だ。

俺じゃなくていい。俺じゃないほうがいい。

弟が、愛されていたなら良かったのに。

大好きな、大好きな弟。


神が嫉妬するほどに愛する、大切な弟。


でもね、僕は本当にいけない子なんです。


弟を殺した、見殺しにした神を、嫌いになれない。

神が、大好きなんです。

愛してやまない弟を殺した、憎むべき神。

それでも、好きなんです。


僕の弟はこんな僕を許してくれるのでしょうか。



偽善者で、神の存在を信じなくて、弟を殺した神を愛している、僕。


選ばれたのは僕。弟ではない。なぜ?

なぜ、弟じゃなかったんだろう。僕じゃなきゃ、いけなかったんだろう。


緩んだ螺子、神に捧げる音を奏でる音


それに合わせて高らかに、軽やかに響く歌声。

神の偶像の前に跪く、僕。



突然、音が止む。


弟の顔は、こちらを向いて、穏やかに。

優しく微笑んだのが最期


かけようとした声は落ちてきた音にかき消される。



映るのは目の前、血が床に広がり、身体を潰された弟。





真っ白。


ああ、神様。

なぜあなたは弟を見殺しにしたのですか。

あなたの嫉妬が弟を殺したというのに私はあなたを嫌いになれません。

信じていないのに。残酷なのに。

ああ、弟よ。わかっていたのならなぜ、死ななければならなかった?


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