断罪イベント365ー第48回 クラリ嬢 名前を考えて三日悩む
黒幕令嬢ギルドじゃなくて・・・
名前を考えて、三日も悩んでるクラリ嬢
どうする?名前・・
サロンに差し込む午後の陽光。
紅茶の香りが漂う中、クラリ嬢は悩みに沈んでいた。
「……三日も考えてるのに、ギルド名が決まらないのよ!」
メイドB「候補、“構成室セレナータ”“黒幕令嬢ギルド”“ざまぁ禁止協会”。
どれも個性強めですね」
クラリ嬢「“黒幕令嬢ギルド”は堅苦しいし、“セレナータ”は詩的すぎる。
“ざまぁ禁止協会”は……何か、団体感が強すぎるのよ!」
メイドB「確かに、看板にしたら入りづらいです」
---
「まずは風を通しましょう」
アリステア嬢が優雅に杖を振る。
風がカーテンを揺らし、会議の空気が一気に軽くなる。
クラリ嬢「……さすがね。頭も冴えてきたわ!」
メイドB「風圧でテーブルの紙全部飛びましたけど」
アリステア嬢「議事録は風に委ねましょう」
クラリ嬢「やめてぇぇぇ!!」
---
テーブル中央の水晶球がぼんやりと光った。
画面(?)には、ブランケットにくるまったフィオナ嬢が映る。
「……こちら地下書庫よりログイン。
通信安定度72%、映像は風の影響でラグありです」
アリステア嬢「風が悪いわけじゃないのよ」
フィオナ「Wi-Fiに風通さないで」
クラリ嬢「もうっ、会議始めます!議題:“名前”!」
---
「“ギルド”という単語、少し時代が古いわね」
ルシル嬢が脚本ノートを開く。
「“研究所”や“ラボ”の方が、知的で洒落ていると思う」
クラリ嬢「ラボ……!」
アリステア嬢「響きが風みたいね。軽やかで、実験的で」
フィオナ(遅延気味)「“黒幕ラボ”とかどうですかー……ぷつっ……(通信切断)」
クラリ嬢「――それよ!!」
---
クラリ嬢は勢いよく立ち上がり、紅茶カップを掲げた。
「“黒幕ラボ”!
裏方たちが真実を観察し、感情を構成し、断罪を科学する場所!
いいじゃない! 響きが軽くて、頭脳的で、少し怪しい!」
ルシル嬢「文法的にも完璧。強すぎず、香りがある言葉ね」
アリステア嬢「“ラボ”って、風が通る響き。いいと思うわ」
メイドB「でも外から見たら、なんか……裏組織っぽく聞こえません?」
クラリ嬢「その“裏感”がいいのよ!真実はいつだって、表じゃないところで生まれるの!」
---
水晶が再び明滅し、フィオナの声が途切れ途切れに届く。
『……黒幕ラボ……登録完了……ハッシュタグ……#感情構成中……#王子泣かせ隊……』
クラリ嬢「最後のタグは削除しなさいッ!!」
---
クラリ嬢は深呼吸し、宣言した。
「――これより、《黒幕ラボ》を設立するわ」
カーテンがふわりと揺れ、ティーカップが優しく鳴る。
紅茶の香りに、ほんの少しの決意が混じった。
アリステア嬢「風が、いい返事をしてるわ」
ルシル嬢「文法的にも、完璧な締めね」
メイドB「Wi-Fiも安定しましたしね」
黒幕ラボ・理念
1. 感情を構成し、真実を再現可能にする。
2. 涙を理論で導き、笑いを美学で飾る。
3. 王子を泣かせても、法律の範囲で。
読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m




