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クラス最弱だった少年と世界最強の大賢者  作者: 茶坊道化師
第一章
8/13

木が燃えると言う潜在意識

 詠唱変換をしてくる相手ってことは、実質俺の知らない魔法を使ってくるようなもんだ。

 俺の知識が通じないってことだ。

 いよいよ面白くなってきたな。


『詠唱変換。これは我が学園に一握りしか使える者がいない技術で、貴族感でも使える人間は少ない。流石は王子妃だぁあああ!』


『フィーネ様は、レオン様に追いつきたい一心で努力しておりましたから』


『さぁ対する学年主席はどう出る?』


 実況と共に、歓声がこの闘技場に響き渡る。

 外野がうるせぇな。

 まぁ詠唱変換に、自分達が使わない属性の魔法使いの戦いで盛り上がらないようじゃ、この学園はたかが知れてる。

 

「行くぜ!」


 俺は手を叩きながら、駆け出していく。

 相手の出方を伺っては、相性の悪い属性の俺に勝ちなんて勝ち取れない。

 全速前進あるのみだ!

 地面に手をついた瞬間に、地面から高速で飛び出した木の槍がフィーネの首を狙う。


「炎が・舞う」


 省略詠唱かよ。

 目の前で木の槍は燃え尽きちまった。

 だが、接近は許した。

 魔法にはインターバルが存在する。

 魔力が体内から排出されたことによる冷却期間(クールタイム)だ。

 どんな魔導士でも、この冷却期間(クールタイム)には抗えない。

 

「もらった!」


「な!?魔導士が拳!?きゃっ!」


 咄嗟に腕を交差させるところは、流石に貴族だなと関心する。

 護身術だろうな。

 しかし肩代わりしてくれる人形にヒビが入った。

 当然だ。

 俺の拳も木属性の魔法だからな。


「な、どうして身代わりの人形にヒビが。たかが拳程度でわたくしの骨が折れたってことですの?」


「呑気に解析してる暇なんて与えねぇぞ!」


 俺は4回の手拍子の後に、地面に手をついた。

 これには会場がざわついている。

 フィーネが手拍子の意味を解析したから当然だよな。


『おーっと、これは学年主席のルイくん!我々を驚かせる様な魔法を放つのかぁ!?』


『ルイの魔法は手拍子を使った無詠唱とフィーネ様が解析していたが、まさか上級魔法発動よりも上の魔法があるのか?』


 その通りだスノー。

 四回の手拍子は上級魔法の更に上の魔法を発動させる。

 地面が揺れ、あたりから蛇のような木材がウネリ始めた。

 こいつはとっておきだ。

 まさか初日の、師匠が認めた相手の弟子以外にこれを使うとは思わなかったぜ。


「超級魔法:フレンジーフォレスト」


 うねる木材達が次々とフィーネに飛来する。

 これが超級魔法フレンジーフォレスト。

 超級魔法は、貴族様でもあまり見たことはねぇはずだ。


『で、で、で、でたぁ!超級魔法!前代未聞!超級魔法を使える新入生に()()もいるとは!』


「は?二人?」


 そのうちの一人は、なんとなくわかってしまった。

 それはフィーネがフレンジーフォレストを冷静に避けているからだ。

 俺が初めて師匠から見たときと、反応が全然ちげぇ。

 

「ちっ、超級魔法の使い手もう一人・・・レオンか」


「超級魔法は強力な反面、魔力消費が激しい。攻撃が止むまで避け続ければ、貴方は魔力切れで倒れこむ。わたくしの勝ちです」


「さぁ?それはどうかな?」


 悪いが、俺のフレンジーフォレストはそんなやわじゃない。

 いつまで経っても攻撃なんて止まない。

 止むはずがないんだ。

 これには超級魔法の使い手のレオンも驚いてやがるな。


「ど、どうなってますの?かれこれもう一分は避けてますわ!?そろそろ魔力切れになってもおかしくない」


「何言ってんだ?まだまだこれからだろ?」


「貴方の、差し当たっては未来の七大属性以外の魔法使いのために、これはしたくなかったのですが」


 そういうと攻撃をしながら詠唱を始めるフィーネ。

 痺れを切らしたか。

 攻撃を避け続けてればいいものを。


「気高き・炎よ・舞い・散り・踊れ」


 火炎弾(フレイムバレッド)一つでフレンジーフォレストを一掃するか。

 階梯を挙げているが初級魔法で超級魔法を吹き飛ばしたもの。

 これが七大属性とそうじゃない属性の魔法の明確な差。

 分けられてる理由だ。


『な、な、なんと!超級魔法を吹き飛ばしたのは詠唱を変えた初級魔法だぁ!これが七大属性が七大属性と呼ばれる所以!他属性の超級魔法ですら超級魔法が使えなくても対抗できてしまうという!』


『勝負はついたようなものだ。魔力量が高いのと技量は認めよう。しかし木属性を持って生まれてしまった自分を恨めルイ』


『学園主席とはいえ、属性の相性も悪い!これは決着が着いてしまったか!?』


 あいつら言いたい放題言いやがる。

 わかるぜ。

 実際俺は異世界に召喚されて、能無しと呼ばれて追い出された。

 それに俺は運よく生きれただけ。

 師匠がいなければ今頃死んでいたに違いないってことくらい。


「ふん!諦めなさい!貴方のことは認めましょう。貴方は貴族に対して生意気な口が利ける実力は持っている。火属性に木属性でここまで善戦する人間は貴族にいませんから」


「まるで勝ったような口ぶりだな」


「超級魔法が効かないのに、これ以上勝てる見込みがおありでして?」


「どうかな。勝負ってのは、終わってみなきゃわからねーぜ?」


「そう。だったら!あなたの・身代わりの・人形を・砕いて・証明・しましょう!」


 第六階梯か。

 俺の四方八方に火炎弾(フレイムバレッド)が展開されている。

 いやそれよりもデカいな。


「上級魔法:獄炎流星(レインインフェルノ)」 


 こいつはすげぇ。

 この上級魔法は階梯変更で超級魔法にも劣らないレベルだ。

 詠唱変換に階梯変更って、こいつマジで強いな。

 高飛車女だと思ったが、闘いが始まるなり怒涛の攻撃を繰り出すあたり、飛車じゃなくて竜王だったな。

 

「フィーネ。お前は強いよ」


「お褒めにあずかり光栄ですよ。終わりです」


「終わりと決めつけるには、少し早ええよ」


 俺は右手をあいつの方に向け指を鳴らした。

 何をしてるか疑問だろうな。


「長寿・鎮魂・尊厳」


「一体何を?第三階梯?」


 正確には第三階梯ではないが、それは説明をするほど俺に余裕があるわけでもない。

 俺は魔力を練るのをやめない。


「素材にしたらその優位性が失われちまうからな」


「は?」


 次の瞬間、俺の周りを囲む様に葉の黄色い樹林達が次々と聳え立った。

 辺りには黄金に咲き誇る葉の数々。


「初級魔法:黄金の落葉高木(ギンコービロバ)


 俺は黄金に輝く一枚の葉を手にして、そう唱えた。

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