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クラス最弱だった少年と世界最強の大賢者  作者: 茶坊道化師
第一章
6/13

決闘の開始

 俺は今決闘上に来ている。

 目の前には金髪ドリルのフィーネがいるが、まさかすぐに決闘が通るとは思わなかった。

 経緯を話すとこうだ。


「あー、俺は担任のグレゴリーだ。気安くゴリ先って呼んでくれや」


「あんたゴリって見た目じゃねぇよ」


 どう見てもガリガリの体系だ。

 目の下にクマもできてるし、見るからに不健康でガーゴイルっていうのが正しいよな。


「オー平民の首席が生意気だなぁ、折檻しちゃる」


「おもしれぇ!」


 俺は身構えたが、攻撃が飛んでくる様子がない。

 ゴリ先を見るとダルそうに頭をかいていた。


「冗談だ。正直、首席って言うから優等生を期待したが、とんだじゃじゃ馬じゃねぇか」


「俺はこの学校の教師のレベルが知りたいから闘いてぇだけだ」


「あー、わけぇわけぇ。こちとら面倒ごとはごめんだが、てめぇはガス抜きしねぇとだめみてぇだな」


「ガス抜き、あんたがやってくれんのか?」


「馬鹿野郎。さっきの会話聞こえてんだよ。ボアルネ嬢」


 まるで待っていたと言わんばかりで前に出てくる。

 フィーネの情報は俺には全く皆無だが、それは相手も同じだろう。

 俺とフィーネはこうして、ゴリ先の思惑通りに決闘をすることになったわけなのだが。

 

「会場、人多くね?」


 闘技場(アリーナ)に案内されたから来たけど、なんか元クラスメイトの見知った顔もチラホラいるし。

 入学式にいた生徒の量を明らかに超えてるから、これは全校生徒が集まった感じか?

 こんな見世物になるなんて聞いてねぇよ。

 まぁいいか、正直俺だってバレたところでどうこうなるわけじゃないし。


「おい、あんた。その格好で決闘をする気か?」


 フィーネはどうみてもドレス姿だ。

 さっきまで制服を着ていたのに着替えたということは、戦闘装束の可能性が高い。

 しかし万が一高いモノだった場合俺は弁償する当てがない。

 貴族令嬢のドレスは城一つ建つ価格だって聞いたこともある。


「ははははは!馬鹿なことを言ってますわね!これが貴族の正式な決闘着に決まっておりますわよ」


「じゃあ破られても文句言うなよ?」


「破れるならどうぞお好きに?敗れるのは貴方ですけどねぇ!」


 うまいこと言ったつもりかよ。

 しかしだいぶ油断してるように見える。

 だが、仮にも嘘を見抜くと言ったチート能力を持ってる勇者を押し退けて、Aクラスの座を勝ち取ったやつだ。

 油断していても強い可能性だって十分にありうる。


「んじゃまぁ俺が審判を務めるな。一応決闘の説明をしておくぞ」


 決闘には喧嘩じゃないのでルールが存在する。

 1.フィールド内のダメージは肩代わりしてくれる魔人形が存在し、魔人形が先に壊れた方の負けとする。

 2.原則として魔法の使用制限はないが、フィールド外に向けて放った魔法は即失格とみなす。

 3.フィールド外に出た場合、失格とする。

 4.決闘の際、互いは要求をすることができる。

 5.決闘の際の要求の強制力は、魔法を使用しているため執行される。

 6.魔道具の使用は申請すれば可能であり、申請していない魔道具の使用は即失格とする。

 7.上記に反しない限り、原則として決闘上での魔法の攻撃は不問とする。


「へぇ、七カ条ってところか?」


「まぁそんなところだ。ボアルネ嬢は貴族だからルールは知ってると思うがいいか?」


「問題ありません」


 なんで知ってんだよ。

 まさか貴族って日常で決闘してんの?

 まぁこの世界の息抜きは少ないしな。

 そういう娯楽も必要なんだろうよ。

 元の世界だって、古代ローマにはコロッセオって奴隷の剣闘士を戦わせる競技もあったわけだし。


「んじゃ、二人とも決闘に賭けるもんを言え」


「俺はまぁなんでもいいけど、今日の晩飯奢ってくれよ」


「どこまでも舐めてますわね。わたくしが勝ったら大人しく主席の座を殿下に譲りなさい!」


「えぇ・・・」


 別にいいだろ。

 てかそれなら座学の方で満点とればいいだろうに。

 まぁ会場は盛り上がってるし、それに水を差すのはどうかと思うから言わねぇけどよ。


「まぁそれでいいぜ」


「良いわけあるか!学年の成績を決闘の賭けに使うなんざ認めねぇよ!?」


「けち臭いこと言うなよ。会場盛り上がってんぞ?」


「そうは言ってもーーー嘘だろおい・・・」


 ゴリ先がなんか言ってるが、どこか見たところで驚いた様子で頭を抱えている。

 見ていた方向を見ると、リーガル学園長の姿があった。

 

「学園長から許可が出た。主席の座を譲ることはできないが、主席に勝った奴は座学の方の点数に、内申点を10点追加する権利をくれるそうだ。それは自分でも別の人間でも構わないとのこと」


「「うぉおおおおおお!」」


 会場は今、最高潮に盛り上がっている。

 それはそうだ。

 10点追加の権利は、クラスが変わる可能性がある奴もいるだろうからな。

 でも待てよ。

 これ、主席だったら毎日決闘させられるんじゃないだろうな!?


「やってくれるんじゃねぇかフィーネ」


「あ、えっと・・・」


 これは流石に想定外だったのか?

 売り言葉に買い言葉で喧嘩を吹っ掛けたら、まさかそれが通るとは思っていなかった反応だ。

 まぁこれで仮にレオンが主席になったとしても、決闘の日々を送ることになるんだから、最悪と言っても過言じゃないよな。


「平民舐めてっからそうなんだよ」


「うっ・・・わたくしは殿下のために!」


「実力が足りないのは、本人が一番わかってるだろうに傷口に塩を塗ったようなもんだろ。それに将来の負担まで追加された」


「う・・・」


 あれ?

 もしかして、こいつレスバ弱いかメンタルがあまり強くない?

 多分俺のこの勘は正しいと思う。

 だけどーーー


「フィーネ!」


「レオン様?」


「気にするな!お前は僕の期待に十全に応えてくれている!だから勝てとは言わない!がんばれ!」


 レオンのエールを受けると、さっきまで目が定まっていなかったフィーネの目が俺をしっかりと捉えていた。

 まさかここでエールを送るなんて思ってなかった。

 

「まったく青春だな。決闘に賭ける物は決まった!両者準備はいいな?」


「あぁ」


「えぇ」


 俺とフィーネは、お互いに魔法の構えを取る。

 ゴリ先が手を振り下ろすとともに、入学して初めての決闘が始まった。

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