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クラス最弱だった少年と世界最強の大賢者  作者: 茶坊道化師
第一章
5/13

学年最強のAクラス

 スノーと俺は、Aクラスの教室に入るなり一斉に視線がこちらを向いた。

 思わずにやけたくなるくらいに、鋭い強者の目だ。


「やけに睨まれてるぞスノー」


「平民のお前が珍しいんだ、安心しろ。さっきも言った通り、帝国の勇者はこのクラスにはいない」


 この学園は成績がそのままクラス分けに反応される。

 筆記試験に加えて実技試験もあるため、頭がいいだけでも強いだけでもAクラスに入ることができない。

 なんとAクラスに貴族が一人もいなかった時期もあったそうだ。

 

「へぇ、スノーが平民連れてくるとは思わなかったね」


「あの貴族主義の塊が頭でも打ったのかしら?」


「この前の夜会んとき、学年主席を取られたって嘆い取ったもんなぁ」


 俺は黙ってスノーを見つめる。

 スノーは気まずそうにこちらの視線から目を外した。

 どの口が言うんだよ、どう考えてもお前が俺を連れているのが珍しいからじゃねぇかよ。


「くっくっく、あのスノーが平民と歩いてくるなんてね。明日は雨かな?」


 俺達の方に歩いてくるやつは、学年代表挨拶をしていた奴だ。

 黒髪に少しだけ褐色が見えるが、これはこの国の王族が持つ象徴らしい。

 スノーは膝をついているが、この学園の方針は平等がモットーらしいしそんなことはしない。

 もっとも相手が相手だから、失礼が内容に姿勢は正して最低限の立ち振る舞いはする。


「初めましてルイ・バルーン。僕はレオン・フォン・ヴォナパルト。この国の第一王子だ。入学式の時は代表挨拶を奪ってごめんね」


「これはご丁寧にありがとうございます。俺はルイ・バルーンです」


 驚いたな。

 スノーの第一印象とは大違いだ。

 これが王族と子爵の差かねぇ。


「いいね、君みたいな身分を弁えつつも謙らないその姿勢を持つ奴は大好きだよ」


「奇遇だな。俺もあんたみたいなやつ大好きだぜ」


 その瞬間さっき入室した時よりも更に鋭い視線が俺に走る。

 そういうのは大好きだ。

 貴族主義の国家にとって、そのピラミッドの頂点に立つ王子にこの態度だ当然だ。

 だが俺はここに遊びに来たんじゃない。

 レオンの奴だけは笑顔を崩してないあたり、思惑には気づいている可能性があるな。


「くっくっく。君達、まんまとルイに乗せられてるね。でもダメだよ。実技も筆記もトップで合格した主席だ。君達は誰一人としてルイに勝てなかった。この国の恥をあまりかかせるな」


 その殺意の籠ったまなざしに、思わず俺は後ずさった。

 俺は口がにやけるのが止められなかった。

 師匠のあの地獄を知ってなお、俺を怯ませるその殺気。

 この王子は相当できる。

 そしてこの視線を微動だにしないクラスメイト達も、この学園は強者揃いかよ。


「まぁ僕も勝てなかったから、君達に強く言えないけどねー!ルイどころかスノーに勝てなかったし」


「もったいなきお言葉」


「子爵は君だけだ。僕ら上級貴族はお金も人脈もあるが、君やルイはそうじゃない。そういう人材が国内にいるのは実に良いよ」


 スノーは褒められて嬉しいんだろうな。

 頭を下げつつも少しだけ口元が緩んでる。

 横にいる俺だから気付けるわけで、大したポーカーフェイスだ。


「おい、レオン。早速決闘しておくか?」


 再び教室がざわつくが、止めようとする者は誰一人いない。

 それは俺とレオンの決闘を見たいという気持ちからだろうか?

 

「へぇ、早速主席の座を奪われてもいいのかな?」


「馬鹿言うな。俺はここで最強の座を手に入れて冒険者になるんだからな」


「冒険者志望か。君の成績なら宮廷にも入れるというのに」


「英雄譚に憧れてんだよ!男なら冒険者一択だろ?」


 正直なところ、宮廷での派閥争いとかそう言ったものが煩わしいだけだ。

 俺だって成績上位になったときにそれは頭によぎったさ。

 だが俺は何のしがらみもない冒険者を選ぶ。


「へぇ、英雄になりたいんだ。まぁ僕は簡単に決闘するわけにはいかない。負ければ国家の威信に関わるからね。だけど、平民に怖気づいたと噂されるのも困るのもまた事実」


「流石にそんなことは言わねぇよ」


「君が言わなくても、どこから漏れるかわからないからね。だからうん、やろーーー」


「お待ちください!」


 声を遮ったのは、レオンの少し後ろにいる一人の少女だった。

 スノーを見ると舌打ちをしていながら、何やらぶつぶつと言っているが何者だ?

 さっきのレオンの話を聞く限り上級貴族しかこのクラスにはいないんだろうが。


「フィーネ・フォン・ボアルネ。ボアルネ侯爵家の長女で、私の従妹に当たる・・・」


「へぇ、スノーの従妹ねぇ」


 だがそれ以上の因縁を感じるんだが、なんか聞いたら藪蛇な気がするから下手なことは聞かない。

 あの金髪ドリルは作ってるのかどうかは少し気になるが、まぁ異世界って言葉で片が付く。


「こんな奴にレオン殿下が出るまでもありませんわ。黙って聞いていれば失礼な奴ですわね!殿下の婚約者のこのわたくしが直に成敗して見せます!」


「フィー、僕が今話してたんだけど・・・でもまぁいいか。フィーは僕が戦闘面を指導をしてあげたからね。僕の弟子みたいなもんだ。彼女に勝てないなら君は僕に勝てないし、いい指標になるね」


「へぇ、同期に育てられてこのクラスに入るってことは、かなりの才を持ってるってことか。おもしれぇ」


「なんて生意気な奴ですの!それじゃあ決闘上に行きますわよ!」


「望むところだ!」


「おい、お前らぁ何騒いでる!」


 俺らより明らかに大人の風貌な奴が教室に入ってきた。

 これはあれだな。

 このクラスの担任だな。


「何勝手に決闘始めようとしてんだ。決闘には教師の承認がいんだよ馬鹿どもが!朝礼すっぞ、席付け」


 担任の一言でみんな席に着くが、俺とスノーは席の位置がわからない。

 とりあえず空いてる席に二人で座った。

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