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クラス最弱だった少年と世界最強の大賢者  作者: 茶坊道化師
第一章
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クラスメイトになる奴とクラスメイトだった奴

 有阿弥とは小学校から一緒だが、クラスが一緒だったわけでもない。

 中三で初めて一緒になったってところだろう。

 正直なところ俺自身、存在を今思い出したくらいだ。

 

「累くん、よかった。生きてたんだ」


「・・・あんた誰だ?」


 特にこいつに生存報告をする必要も感じなかったから、俺は別人を装うことにした。

 この世界に転移したときは気づかなかったが、この世界の音声言語は日本語じゃないのに日本語でやりとりができた。

 流石に身分を隠すのに日本語でやり取りするわけにはいかない。

 何故なら音声言語が一致してないから、吹替映画のようにところどころ違和感がある喋り方になってるからだ。

 師匠がいち早くそのことに気づき、この世界の共通言語を頭に叩き込まれた。

 だから今も共通言語だ。


「え、累くん?」


「確かに俺はルイだが、どっかで会ったことあったっけ?」


「わたしだよ?真理だよ」


「マリ?うーん・・・」


「豊海、噓を吐いてる」


 有阿弥の後ろにいる奴は黒曜鳴(こくようめい)だ。

 黒曜はいつも有阿弥と一緒にいる奴だったが、久しぶり過ぎてこいつの情報がわからない。

 

「累くん、とぼけちゃって、でも無事だったんだね。よかったよ」


「はぁ?だから俺はお前らのことなんて知らなーーー」


「あたし、相手が嘘をついてたら、見える。そういう能力、もってる」


 は?

 俺は思わず声が出そうになって、口を塞ぎそうになるがそれも意地で止めた。

 嘘をついたら見える能力ってなんだよ。

 元クラスメイト達はそんな、人知を超えた力を持ってるのか?


「その制服、これは帝国の勇者殿!我が王国の者が失礼しました!私は王国ホワイト子爵家のスノーと申します」


「スノーさん?てかうちの国の者?え、累くんってイースト王国に保護されたの?」


「そのルイ殿と言うのはわかりませんが、こちらのルイ・バルーンは紛れもない王国の身分でございます。保護されたという記録もございません故、何かの間違いではないでしょうか?」


 これは驚いた。

 流石は貴族令嬢と言うべきだろうか。

 さっきまでの俺への当たりとは大違いだ。

 だがわからないのが、どうしてこいつは俺を庇っているのかだ。

 王国の損失という理由だけで、訳アリの俺に対してここまでするか?


「そんなことない。あたし、嘘を見抜ける。豊海、嘘を吐いてる」


「それは失礼しました。ルイは私の側近候補として名が挙がっております故、側近になった暁には必ず指導いたします。ルイも勇者殿の顔は身に覚えがあったのでしょう。しかし彼は少々変わったところがございます」


「変わったこと?」


「身分や立場に執着がございません。むしろ煩わしいとまで感じているようでして、勇者殿も何かと立場のある方。あまり関わりたくなかったのか、噓をついてしまったのでしょう」


「あ、あれ?嘘、吐いてない・・・」


 銀髪の奴、俺をちゃんと理解した上で嘘だとわからない範囲の回答をした。

 瞬時に事情も察してるっぽいし、嘘を見抜くチート能力も発動しなかった。

 あとは俺が変なことを言わなければ、ここは乗り切れるな。


「本当に、累くんじゃないの?」


「俺はルイ・バルーンですよ。先ほどは失礼な態度をとって申し訳ございませんでした勇者殿」


 有阿弥は俺の言葉に嘘がないか、黒曜に確認を取るが今の言葉に嘘はない。

 これは偽名ではないからな。

 念のため豊海塁ではないという文言はつけないで置いた。

 どの範囲で嘘が見抜けるかわからないからな。


「嘘じゃない・・・彼はルイ・バルーンで間違いない」


「そんな!?あ、えっとこちらこそごめんね。人違いなのに詰め寄ってしまって」


 下手に肯定してしまえば、嘘だと見抜かれる可能性があるから俺は微笑むだけで済ませた。

 正直こんなの、嘘を見抜ける黒曜がいる限りいずれはバレると思う。

 こいつらに正体をバラして、万が一召喚した奴らに俺が生きてるって知られたらその方が面倒ごとが多い。

 しかしクラスが同じの場合、それこそ誤魔化しが効かないぞ?


「あ、えっと、私達はBクラスだけど、二人はどのクラスなの?」


 そう思った矢先、二人が違うクラスだとして安堵する。

 だったらあんまり墓穴を掘る心配はないな。


「私達はAクラスですので、そろそろ朝礼が始まります。我々は失礼します。これから互いに切磋琢磨できるいい関係を築きましょう」


「えぇ、よろしくね。それじゃあスノーさんルイさん、またね」


「えぇ、また」


 二人に手を振ったあと、俺のことを銀髪が睨みつけてくる。

 そりゃそうだよな。

 

「どういうことだルイ?お前、勇者だったのか?」


「嘘を見抜ける能力とか反則だよな。事情は話したくない、って言っても駄目だよな」


「はぁ、話してくれた方がさっきみたいにフォローを入れやすいんだが、それでも駄目か?」


 今、こいつには助けられたしな。

 もう元勇者って言うのは割れてるし、話してもいいか?

 俺は教室に向かうまでに、スノーに事情を少しだけ話した。

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