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クラス最弱だった少年と世界最強の大賢者  作者: 茶坊道化師
二章
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魔力循環

 魔力の循環は、要するに大気中にある魔力を体内に取り込む行為のことだ。

 大気には魔素と呼ばれる魔力が存在する。

 現代で言うところの原子論に魔素が追加されたと思ってるが、実際のところ詳しい事情は俺にはわからない。


「俺達魔導士は魔法を行使すると、体内にある魔力を消費するだろう?その魔力はこの空気から吸収しているんだ」


 そう言うとゴリ先は黒板にチョークを走らせていく。

 魔力切れが起きた時、息を吸うことで体内に魔力を吸収し補充する。

 魔素にもそれぞれ属性があるわけだが、自分の属性以外を取り込んでも問題はないとされてはいる。

 しかし取り入れた魔素が適正の魔力でない場合、体内にある魔素を食べてしまう菌によって吸収されてしまうらしい。


「魔素を食べてしまう菌はまだわかってないが、適正属性以外は食べてしまうそうだ」


 これって魔力保有量が少ない人間にとっては仇になってしまうんだよな。

 なにせ吸収できる魔力には限りがあるのに、無駄な魔力を一度は体内に取り込むわけだし。


「僕は逆だと思ってるけどね」


「逆ってなんだよレオン」


「体内にそれぞれの属性の魔力を好む菌は元からいて、適正属性を食べる菌は眠っているだけなんじゃないかって思ってさ」


 所謂アレルギーに似たようなもの。

 許容量を超えたらその魔素も食べ始めるって理論。

 魔法を使えなくなった人間がいるが、原因がわかっていないことからそれもあり得る話ではあるよな。


「いい着眼点です殿下。まさに俺が研究してる内容、それは菌を眠らせることができるのかどうかだ」


「ゴリ先がねぇ」


「菌を眠らせることができた場合、体内に魔力が残り危険と言うのが考えられる。しかしだ。もし眠らせることができたならば、適正属性の概念がひっくり返るんだ」


「へぇ」


「馬鹿にするなよ!もしこの説が提唱されたとすれば、この魔力の菌についての研究も進む。状況によっては適正以外の魔法を使うことも可能じゃないかと言うことだ!」


 目を輝かせやがって、ゴリ先も根っからの研究者気質だな。

 まぁ未知への探求も魔導の道の一つではあるから、否定するのも違う気がするな。

 現に俺は最弱だったにも拘らず、上手く立ち回ることができているわけなんだ。


「まぁゴリ先、話を戻せよ」


「おっと、ルイに言われるとは少し興奮しすぎたな。体内にある菌のおかげで俺達は魔法を行使することができている。つまり逆に言えば魔力の循環がされないタイミングがあるってことだ」


 これが冷却期間って奴だ。

 魔法を行使した後に次の魔法を使用するために空気を吸い込み、菌が魔力を食べるまでの数秒間。

 それにインターバルも人によって個人差がある。

 

「循環されないタイミングは魔力保有量により異なる。高ければ高いほど魔力の行使に必要な魔力が補充されるのが早い」


「魔力が低いやつに人権がないみたいな言い方だなー」


「そうでもないぞ。適正属性が複数ある人間は、冷却期間の間に別の魔法を使用して隙をなくすということもできるんだ」


「それって適正属性が一つしかない魔力持ちはやっぱ魔導士には向いてないってことじゃねぇの?」


「はっはっは!俺が考えている理論がもし正しければ、その改善点もーーー」


 ゴリ先が語りだしたところで、終わりのチャイムが鳴った。

 授業はあっという間に終わりを迎えた。


「あー、時間だ。次の教師にも悪いからな。次の授業の準備をしておけよー」


 ゴリ先はそういうと指を鳴らして、黒板の内容を消してしまった。

 写し終えていない奴もいたが、そこはやはりシビアな学校だな。

 まぁ俺は魔法を使ってノートを取ってたから、平気だ。

 

「お前、ノートとるのにズルしてたな」


「何の話だ?」


「とぼけるな。私の横にいて魔力が漏れ出ていれば気づく。そのペンから手を放してみろ」


 スノーの奴、鋭いな。

 観察能力と推察で次席を獲得したのかってくらいだ。

 俺は自分の書いていたノートとペンから距離を置くがそのまま、ペンがノートに字を記入している。


「なんだこれは!」


「俺が開発した魔法だぜ!初級魔法:自動記入だ」


「なんだその魔法は!」


「生活魔法の一つだぜ。自動で井戸から桶に水を入れてくれる魔道具あるだろ?あれの応用よ!」


 まぁ見たものをそのまま別の場所に記入するのは、師匠のスパルタの所為で身につけざるを得なかったんだよな。

 座学の勉強の時間は師匠のしごきで疲れて寝ちまってたから。


「へぇ、面白い魔法だね。僕にも教えてよ。書類仕事が捗りそうだし」


「あー?買取なら考えてやってもいいぜー?」


 何せこの魔法は、事務仕事を快適にする魔法だ。

 恐らく商会に売った方が金になる。

 まぁそれでも友達割ってことでそれなりに安くはするつもりだ。

 

「ふふっ、王子を舐めてもらっては困るよ!これでどうだ!」


「あ?そんなんじゃ足りねぇよ!」


 次の授業が始まるまで、俺とレオンの商談は続いた。

 次の授業の担当教授が来たときには、俺以外の生徒も俺と同じ自動記入を使用していたということはそういうことだ。

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