自己紹介
さゆりのドキドキの自己紹介にクラスの女子は好意的であった。
皆の優しさに安堵するさゆり。
もちろんかすみのフォローあっての事。
初めての女子通学。
スカートのひらめきにまだ慣れないけれど、かすみと一緒だから少し心強い。
「大丈夫、さゆり。みんな、ちゃんと受け入れてくれるよ!」
かすみの励ましに、私は小さく頷いた。
◆担任の説明——“私”が“私”であること
教室に入ると、担任の先生が前に立っていた。
「みんな、今日は大切な話をします」
そう言って、先生は黒板に「性同一性障害」と書いた。
「今日から、さゆりさんがこのクラスの一員になります。彼女は、生まれたときの性別と心の性が違います。でも、学校側も、そしてみんなにも、彼女を“女の子”として迎えてほしいと思っています」
教室がざわめく。私の胸はドキドキしていた。
「さゆりさん、自分からも一言、みんなに挨拶してもらえる?」
先生が優しく微笑みながら促す。私は深呼吸して、前に出た。
◆さゆりの自己紹介——ありのままを話す勇気
「えっと……今日からこのクラスに入ることになった、さゆりです。もともとは“さとし”っていう名前だったけど、自分が本当に女の子なんだって気づいて、“さゆり”に変えました」
教室は静まり返っている。でも、みんなの目は真剣だった。
「まだ慣れないこともたくさんあるけど、女の子として頑張りたいと思っています。みんな、よろしくお願いします!」
言い終えた瞬間——
パチパチパチパチ……!
教室中から拍手が起こった。私は思わず目を見開いた。
「なんか、すごいね!」
「かっこいい!」
「え、てか制服どうしたの!? ちゃんと女子用?」
突然、質問の嵐が降り注いできた。
◆女子たちの興味津々な質問攻め
「スカート履くのって、最初どうだった?」
「ブラとか、ちゃんとしてるの?」
「どんな下着つけてるの?」
「え、でもさ、メイクとかもするの?」
一気に畳みかけられて、頭がパンクしそうになった。
「ちょ、ちょっと待って!」
すると、かすみが前に出て、みんなを制した。
「はいはい、質問は順番に! さゆりだって戸惑っちゃうでしょ?」
「ごめんごめん、つい興味が湧いちゃって!」
「でも、なんか普通に可愛いし、女子でよくない?」
「ねー! これから一緒に女子トークしよ!」
女子たちの声に、私は少しホッとした。
◆新しい日常のスタート
かすみがそっと私の手を握る。
「ほら、みんな優しいでしょ? さゆりは、もうこのクラスの“女の子”なんだよ」
「……うん」
教室の中で、私は少しずつ“私”になっていく。
この場所で、新しい日常が始まる——。




