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4.ダブルデートとか!?

 週末───


 リサちゃんのショッピングに付き合うことになった。


 玲奈曰く『買い物なんて口実だよぉー。翔と会いたいんじゃないの?‥知らんけど』


 ‥なんで最後、大阪のおばちゃんみたいなっとるん‥。


 ところで、

 私服なんて気にしていなかった俺は、先週と同じ服しか無い、ということに昨夜気付いた‥。


 今更どうにもならないので、ショッピングのついでに俺の服もリサちゃんに選んでもらったりなんかしたりして‥

『これなんか翔に似合うと思うなー。どうかな?』

『リサが選んでくれるなら何だって似合うさ(キリ)』

『うん、やっぱり似合う!翔、すごくかっこいいよ♡』なんて言いながらぎゅっと腕に抱きついてきちゃったりして‥‥



《脈拍の異常を検知》



 ‥‥ふ~~~‥ふーーーっ‥妄想やべぇ‥‥



「翔くん!お待たせ!」


「おわっ!ぁ‥こんちゃ!‥ゃ‥ぁ‥」


「くすくすっ☆ もう、またそんなに緊張しちゃってぇ‥今日は洋服を選びたいから、モール行こ♪」



《ザ‥》



 駅近くのアウトレットモールへ向かった。


 Tシャツ‥スウェット‥ジャケット‥‥さっきからメンズばかり見ているようだが??


「これ!このパーカー、試着してみて!」


 リサちゃんがオレンジ色のパーカーを俺に押し付けてくる。


「ぇ? 俺?」


 リサちゃんはさっきから、俺の洋服を選んでくれていたのだ! 妄想が現実に!?


 俺が試着している間に、リサちゃんも色違いの同じパーカーをチョイスしていた。


 ペアルックってやつですね!? 死語ってない? 大丈夫?



 お揃いのパーカーを着て、モール内をブラブラして、喫茶店で休憩‥。


 幸せ過ぎる(涙目)

 ‥っと、トイレ行っとこ‥ぁ、お花を‥だったな。


「ちょっと、お花を摘みにトイレ行ってくるね」


「ふふっ☆ 『トイレ』って言っちゃってるじゃーん。くすくすっ☆ 行ってらっしゃい☆」


「ぁ‥あはははははっ(は・恥ずかしいーーー)」


 そそくさとトイレへ向かう。



《ザ‥ザザ‥‥》



 ぁ‥まただ。今日は何度か、視界にノイズのようなものが入る。


 気になりだすと過敏になるんだよな、こういうのは‥。


 トイレを済ませて席に戻ると、またノイズが入った。


「んんーー‥」目をこする。


「どうしたの?ゴミでも入っちゃった?」

 リサちゃんが身を乗り出して、俺の眼を覗き込む。

 えーーー!!近い近い近い!!!



《脈拍の異常を検知》



「や! ゴミとかじゃないと思うんだけど、なんかザザってノイズみたいのがたまに‥」


「んー‥あんまり酷いようなら、良い眼科知ってるから紹介しよっか?」


「ぁ、いや、たいしたことないから、大丈夫だと思う。ありがと」


 そのあとは他愛もない会話を交わして、また来週も会う約束をした。


 これはもう『友達』以上への階段を上り始めたってことで良いんじゃないか?


 ね? そう思うだろ?





 別れ際───


「それじゃ、翔くん、またね!」


「ぁ、ああ。服! ありがとね!」


「なんもだよぉー。お揃いの服で歩きたかったんだ♪ 似合ってるし。翔くん♪」


「ぁ、へへへ。」


「もう‥‥翔ーくん♪」


「ぁ、ぇ、ぁ、リ・リサちゃん?」



《脈拍の異常を検知》



「ふふっ、やーっと名前呼んでもらえた! じゃ、また来週ねー! 翔くん♪」


「ぁー、ああー! うん! また来週、リサちゃん♪」



へへ‥えへへ‥うへへ‥‥ほら、な?



《ザザ‥ザ‥‥ザ‥》





 翌週の学校では、またまた報告会を開き、順調に進展していることを報告してやった。


「それならさー、今度、ダブルデートとか、どう?」

「あ、いいね、それ」健太と玲奈は乗り気だ。


 こいつらと一緒なら、普段どおりの自分でいられるかもしれない。

 いつも緊張し過ぎて醜態ばかり晒しているからなぁー‥


「リサに相談してみるよ」


「ほ~お~う、『リサ』ですか(ニヤニヤ)」


 あんまり調子に乗っていると、みんなで会った時にバレる‥自重しよう‥。


 リサちゃんにメッセージを送って、今週末はダブルデートすることになった。





 そして週末───


 四人で待ち合わせて、まずはボウリング! からの、カラオケルームでお喋りフリータイム!


リサちゃんは、初対面の健太と玲奈ともすぐに打ち解けた。

「三人幼馴染ってことは、小中高ずーっと一緒なの?」


「翔のことなら何でも訊いてくれていいよ。こいつってば・・ねほりはほり・・」

「あははっ! そうそう! 翔ったら・・ねほりはほり・・」

「お・お前らバカか! バカなのか?! そんな昔のことを根掘り葉掘りと‥!」


「あーっはっはっ☆ おかしぃ~~~っ‥でも、いいなぁー‥

 ね、あたしも、翔って呼んで、いい?」



《脈拍の異常を検知》



「ぉ・ぉぅ‥‥い・いいんじゃ‥ないかな? うん、いいと思う。

 じゃ、俺も‥リ・リサ‥って呼んじゃおうかなー‥なんてっ」


「うん! じゃ、これからはそれで! 改めて、よろしく! 翔♡」



《脈拍の異常を検知》



「こちらこそ! よ・よろしく!‥リサ‥‥ってか、お前ら、冷めた目で見てんなよ!」


「はいはい、ご馳走様でした~。あはははっ」





 カラオケルームを出て、ダブルデートは無事終了。

 健太たちとはそこで分かれて、俺とリサは今、公園のベンチにいる。


「今日はとーっても楽しかった♪ 翔も、ようやく普通に喋れるようになった‥かな?」


「ぁ、言われてみれば、最初よりも緊張しなくなったかも‥。あいつらのお陰かな?」


 リサは‥どうして俺なんかと毎週会ってくれるんだろ‥‥。こんなパッとしない男と‥。



《ザザ‥ザ‥‥ザザザ‥‥ザーーーーー‥》



「あ! あれあれ!?」


 今までになく激しいノイズが入って、視界がままならない。


「どうしたの?‥大丈夫!?」


リサは俺の様子に気付いて肩に手を添えてくれている。


「眼が‥‥ノイズが‥‥ぁ‥治まった‥‥やっぱ眼科行った方が良いかな?」


「そうだよ。見えなくなってからだと大変だよ? 今日はーもう遅いし明日は日曜日だから、月曜日の放課後とか、どう?」


 家の近所にも病院はあるけど、せっかくリサが案内してくれるっていうし、またすぐ会えるなら甘えるのも悪くない。


「うん。じゃ、お願いしようかな」


 リサが凄く優しい笑顔を俺に向けてくれている‥。


 健太がいたなら『それ、CGじゃね?』とか言いそうなくらい素敵な笑顔だ。


 それから俺たちは、どちらからともなく手を繋いで公園をあとにした。


 いつの間にか、脈拍の警告は表示されなくなっていた。

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