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謝罪

「お母さん、お兄ちゃんとケンカしちゃった」

「あら珍しい。何があったの?」

 優希は事情を説明した。

「離婚する人もいるかあ……失念してたよ」

「そうね。そういう事もあるわね」

「お母さんはお父さんと離婚考えた事ある?」

「私は無いわよ。お父さんはどうか知らないけど。私にはお父さんしかいないから」

「あのね、お母さんみたいに私にはお兄ちゃんしかいない気がしてるの。なんでわかってくれないかなあ」

「押しが強すぎたんじゃない? こういう事は二人同じ方向を向いてないと噛み合わないわよ」

「そっか」

 優希は反省した。今までは自分が先走り過ぎてしまったのだ。

「じゃまだいいや」

「? 何がいいの」

「一緒の未来はまだまだ先の話だから、またいつかお兄ちゃんが振り向くのを待つよ」

「そうね。それがいいわね」

 優希はまだ希望を捨ててなかった。まだ両思いになれる可能性は否定できないからだ。

「でも私お兄ちゃんに謝らないよ。結婚したいのは本音なんだから」

「あなたの好きなようにしたらいいわよ」

 真砂子は優しく子どもたちを見守るしかなかった。


 自分の部屋に戻った士郎は自分の言葉を振り返っていた。

「未来の約束は無し」と口走ったがまた優希の精神状態がおかしくなったらどうしようと悩んでいたのだ。

 だけど謝りたくはなかった。本音をさらけ出した言葉を否定したくなかったからだ。

 実の兄妹が羨ましかった。こんな葛藤とは無縁なんだろうな。なんで妹なんだろう。弟ならケンカはするだろうが告白はされないだろうに。

 またこの日士郎は一睡も出来なかった。

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