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恋に生きる

「お兄ちゃん光ちゃんの事男の子と勘違いしたでしょう」

　優希に指摘されたが返す言葉がない。

「で？　どうだった？　嫉妬してくれた？」

「……俺は妹のボーイフレンドに嫉妬するタイプじゃないぞ」

「えー、一緒の未来を約束した仲じゃん。焼きもち焼いてよぉ」

　優希は相変わらず好き好きオーラを出してくる。心地悪い訳でもないのだがまだ「妹」のイメージが取れないから困る。

「まだまだ先かな」

「え？　何が？」

「お前を『女』として見るようになるためには修練が必要って事だ」

「えーまたそんな事言う。さっさと割り切ってほしいんだけどなあ」

　先は長いと士郎は思った。婚約者と言った扱いでもないし普通の恋人でもない。微妙すぎる。

「だいたい俺たちは学生だぞ。色恋沙汰はもっと大人になってからだ」

「そうかな？」　

「なんだよ。違うってのか」

「だって若い内しか恋に夢中になれない気がするからさ」

「……」

　一理あるかもしれないが、士郎は無視する事にした。

「学生の本分は勉強だからな！　はいこの話はおしまい！」

「えーそんなぁー」

　こんなやり取りも何度目かわからないほどになってきた。

　本当に妹を「女」として見られる日が来るのだろうか。

　士郎はため息をつくしかなかった。