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限界

「なあ、優希よ。もう終わりにしない?」

 父とサシで話し合った日の次の日の夕食後士郎が切り出した。

「終わりって、私たちの関係に終わりなんてあるの?」

 うん、その感想は間違ってない。だけど士郎は納得が行かない。

「もう妹を『女』として見てくださいに疲れたんだよ。まるで俺だけがこの家で逆に変人みたいじゃないかよ。父さんも母さんもお前の味方だし」

「え! お父さんも応援してくれてるんだ! 嬉しいな」

「だからさあもう考えるのが面倒臭いんだよ。お前を『女』として好きになれば『めでたしめでたし』かもしれないけどそう簡単には割り切れないぞ」

「そんなに悩んでるんだ?」

「ああ」

「私は世界で一番士郎さんから愛されてる。この認識には間違いないんだよね?」

「それは間違いないけど……」

「じゃあお兄ちゃんは私にどうしてほしいの? 好き好き光線出すなって事?」

「まあそうなるかな」

「えー、ずっと好きだった人に好きだって言えないのは辛いよ」

「俺はもう頭の中がパンクしそうなんだ。お願いだから休ませてくれ」

「休む……休むかあ……」

 優希は無言で考え始めた。士郎はもう何を告げられても苦痛な気がしていた。愛の告白はもうお腹いっぱいだった。

「……お兄ちゃんは私が嫌いじゃないんだよね?」

 優希が確認してきた。

「嫌いな訳ないだろ。たった一人の妹なんだから」

 同じような台詞を何回も優希に聞かせた気がする。

「でも『女』として見るのが嫌なんだね?」

「ああ」

「これ以上お兄ちゃんを困らせてもしょうがないかあ、わかった休憩しよ」

「休憩?」

「これからしばらくの間好き好きアピール止めるから、機嫌直してよ」

「本当か?」

「うん。どの位の期間か自分でもわかんないけど我慢してみる。お兄ちゃんがそんなに苦しむとは思わなかったから反省してる」

 士郎はほっとした。今日はぐっすり寝れそうだ。

「でもさお兄ちゃん、真面目に考えすぎじゃない?」

「は?」

「年下の女兄妹から告白されたのが気に入らないなら無視してくれてもよかったのに」

「無視なんてできないだろ。お前に失礼だし」

「固いなあお兄ちゃんの頭は」

「しょうがないだろ。生まれつきだ」

「ふーん。まあいっか。お兄ちゃんと私の恋愛合戦一時休戦だね」

 そう。それでいいのだ。

 士郎は安堵した。もう恋の話で頭をいっぱいにしたくなかった。

「ただお兄ちゃんあくまでも『一時』休戦だから覚えておいてね」

「……わかったよ」

 士郎と優希のストーリーはまだ続く。

 だが、今はここまでだ。


第二部完。 

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