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輪廻の圏士  作者: くろよ よのすけ
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02.日常的な彼ら①


 珍しく暖かな冬の日。

 陽だまりが石畳に融けこんでいる。


 窓からあたたかな日差しが差し込む中、彼と並んで二人、石造りの廊下を歩いている。

上下ともに真っ黒な、軍服を思わせるデザインの隊服。そして、どのような名剣を踏みつけようが、貫通を許さないほど丈夫に作られた軍靴を身にまとっている。

そのため、誰もいない静かな石造りの廊下は軍靴の音を一際大きく響かせ、メトロノームのように規則的なリズムを生み出していた。


 昨日の疲れもあって、いつもよりぐっすりと眠ることもできました。やはり睡眠時間を取るという行為は人間として非常に重要なのだなぁ、と事実として感じることができるものです。


 こんな単調な音の中、会話もないし、真っ黒上下の隊服は日光を吸収してしまって、あんまりにもあったかいから気を抜くとついつい眠ってしまいそうですね。いえ、優等生である私としてはそんなことはしませんけれど? 当然も当然、もちろんですとも。

 しかし、せっかくの二人きりだというのに一切の会話もないとは……、ここは私が先導すべきでしょうか。うん、そうすべきです。でないと一生喋り出しませんし、この人。


「今日はあったかいですねぇ」

「………」

「くぁ………」

「………」

「……昨日はあんなに寒かったのに、いつもこれくらいだと洗濯物も乾いてくれて助かるんですけど」

「………」


 ま、まあこれくらいはいつもの事です。もうちょっと様子を見ましょう。


「……おほんっ、それはそうとして、何がダメだったんでしょうね。ちゃんと『穢れ』は滅したし、人的被害もゼロだったのに……うぅむ、局長代理の考えは良く分かんないです」

「………」

「ぬぬぅ……、やっぱりあれですかね? 私じゃなくてあなたに問題があったんでしょうね。ほら、私優等生ですから。三日に一回くらいしか問題起こさない私と違って、戦闘の度に呼び出しくらってるじゃないですか。最強戦力の一人なんですから、もっと規律ある行動を……」

「………」

「ここは、お前も問題児だろーとか、そもそも問題児以外ココには居ないだろーとかなんとか、ツッコミすべきではないですかね。一人で喋り続けるのってひどく虚しいとか思ったりしません? ねえねえ」


 アイレンが先日の戦いで暴れすぎたのか、予想通り上に呼び出しをくらってしまった。怒られるべく、目的地に向かって日向差す廊下を歩くこと数分。いまだ彼はまともな返事を返そうとはしない。

あれですかね、幼馴染という関係性が足を引っ張ってるんですかね。

 あんまり長く一緒にいたのもあって距離感が近すぎるとか、裸を見ても欲情しないとか、女だから好敵手として見れないとか。そのレベルに達してるんですかね。

 ……マズイ、最終的に彼を倒すのは私しかいないだろうと高をくくっていましたが、アイレンからは相手にされてないということでしょうか。


(むむぅ、これはいけません。もっとダイレクトに気持ちをぶつけていかなければ、勝機以前に戦うための機会すら無いということですか……)


 とはいえ、順序、段階と言うものがある。まずはジャブ、その後隙を見せた瞬間にラッシュを仕掛け、カウンターをさせる暇もなく右ストレートで仕留めるしかないでしょう。そうに決まってます。では、さっそく。


「そろそろ誘いに乗ってくれてもいいと思うんですよ。私」

「………」

「ねえ、聞いてます? 無視されるのも慣れてますけどー、相槌くらいならしてもいいと思うんですよー」

「………」

「………実は私、他の『圏士』の方からプロポーズを受けてて……」

「……はぁ、ありえない話をするのはやめろ。それと、いい加減口を閉じておけ」


 不意に歩みを止めた彼を追い越すこと数歩、長い廊下を背にした彼がついに口を開いた。


「やっぱり聞こえてるじゃないですかー、まったくもー。普段からその程度でも返事すれば、皆から嫌われてるのがちょっとはマシになるってもんです。多分あれですよ? トーカさんがあなたに対して呼び出しが多いのもまともにコミュニケーション取ろうとしないからですよ? そんなんじゃいつかイジメ起こっちゃいますって」

「静かにしろと言ったんだけどな。いやまぁ、もう遅いからいいんだが」


 そう言うと再び歩き出した彼に対して右ストレートを叩き込もうとラッシュを仕掛ける。


「でも安心してください。私がいればオールオッケー! 幼馴染兼、後輩兼、自分でいうのもなんですが美人で最強の優良物件、殺し合いとなれば嬉々としてはせ参じましょうこの……、うん? 遅い?」


 そういえば、ドアが開く音が聞こえた気がする。

 それに、この廊下って随分と長い作りだと改めて思う。局長室に繋がっているだけだというのに、なんでこんな一本道の作りにしたのだろう。

 それにしても長い、最初に開いたドアがあんなにも小さく……。


「招集をかけたのは三時間前だ。まともな時計は一つも持っていないのか? それとも、私に対して喧嘩を売っているのか? そら、折角だ、答える権利をやろう。『アリス・ナチュラレッサ一級圏士』」


 流麗に紡がれる怜悧な言葉が背中にザクザク刺さりまくっている。

 ……なんで、なんで最初の注意が最後の警告なんですかー!?

 背後の圧が秒ごとに強くなる。えっ、これドア越し? イヤだなぁ、ドアならさっき開いた音したじゃないですかーやだー。なんとか、なんとか切り抜けなければ。

 言葉のナイフが刺さった背中から、脱水症状を起こすのではと、不安になるほどに冷や汗が滝のごとく流れ落ちる。

 あぁ、いけない。秒ごとだったはずの圧がコンマごとに強くなっていく。何か返事を、時間を、事態を切り抜ける妙案を思いつく時間を稼がなければ———!


「………、顔を合わせるのが怖いので、このままの体勢での発言を許可いただけますでしょうか『トーカ・ルアック特級圏士兼表裏境界圏・残穢討滅局局長代理』殿……」

「あぁ、あぁ許可しよう。だが、そうか、顔を合わせられぬほどの問題が発生したのか」

「えっ? ちょ———?!」

「そういうことならば仕方がない、そのままの体勢で構わんとも。では、教えてくれないか? 何が、どうなった結果、三時間の遅刻を罪悪感一切なく起こし、顔も見せられないほどの事態が起こったのか。あぁ、私は寛大だからな。十秒やろう、そら始めろ今始めろ」


 有無を言わさず死刑宣告、あぁ断頭台のギロチンが上がっていく。


「うぇ、えぇ!? え、ええとですねっ。これにはたったの十秒では説明しきれないほどの問題が発生したわけでして、そ、そう! 詳しくはそこに無関係面で立っている男が詳しく知っています!」


 だが、まだ諦めはしない! こうなれば自棄だ、怒られるなら一人で怒られるよりも二人で怒られた方が良いというものっ。呼び出された原因はアナタですし、今日も一緒に遅刻したのは事実なのだから一緒に地獄を受け入れてくださいっ!


「そうか、弁明はあるか? 『アイレン・ランテカルア特級圏士』」

「アリスの寝坊だ」


 イヤーーーッ! オワッターーーッ!


「そうか、ならば———是非もない。こちらを見ることを許可しよう。なに、安心するといい。私自身も寝過ごしそうになることはある。その行為、起こしてしまったこと自体は無碍にはしないさ」


 どれほど優しい言葉を発しようとも圧力が半端ないです。せめて、その怒りを鎮めていただければ私だってもうちょっとスムーズに振り向きますとも?!


「い、いやぁ。トーカさ、…局長代理は寛大だなぁ……わ、私一生着いていっちゃいますよーっ!! ハ、ハハ………ッ!」


 背中だけでなく、全身から冷や汗を滴らせながら、今にも襲い掛かろうかと画策している肉食獣を刺激しないよう、ゆっくり、ゆっくりと振り返る。ステイ、ステイです……っ!

 そして振り向いた先に立っていたのは、一目で美しいと感じる美貌。

 まとめていなければ地面に着くほどに長い黒髪をこれまた綺麗に編み込んだ、見目麗しい女性だった。年は私より3つ上。しかし、私たちと同じ真っ黒上下の隊服には階級を示す装飾、略綬が隙間なく詰め込まれ、それだけで彼女の力量が端的にあらわされている。

 私たちの所属する『表裏境界圏・残穢討滅局』の現局長である父親の後を継ぐための局長代理という立場だが、誰もそのことについて文句は言わない。いや、言えない。彼女は年齢という枷を取り払って尚優秀であり、陳腐に聞こえるかもしれないがひどく単純にいうと、天才だった。


 その天才が私に対して怒り心頭。怒りに呼応するかの如く編み込まれた長髪が天に向かって怒髪天。で、ですが、局長代理ともあろう人が無碍にしないとまで言ったのだからここは切り抜けられるのでは? 慈悲慈愛が降り注ぐのでは?


「だが、私個人がどれほど許してやりたくても立場上そうはいかない」

「ハハハ……ふぇ?」


 微かな希望を胸に、引きつった笑いを浮かべていたが、それはいとも簡単に打ち破られた。


「現場に出ていたお前たちは知らなくても無理は無いだろうが、先日、父が亡くなってな。本日付で急遽私が跡を継いだ。つまり、代理ではなくなった。晴れて私が討滅局局長となったわけだ」

「はわわ……、そ、それはご愁傷様ですというか、おめでとうございますというか?!」


 頭の中がしっちゃかめっちゃか一揆発生米騒動。前後不覚で正答が見当たらないのですが私は一体どうすればーーー!?


「ふふ、急なことだ。整理がつかないの無理ならん、というところは重々承知している。ただまあそれはそれとしてだ。遅刻した理由に間違い、修正したい点はあるか? アリス」

「あー……えーと、……ヘヘっ。……ありませんっ! ぐエッ……っ?!」

「お前という奴はぁぁぁ!! 父が亡くなったから通夜だの葬式だの、私だって忙しいんだぞッ!? 昨日からあっちへ行きこっちへ行き、挨拶回りやら引き継ぎやら忙しいんだ。今だってお前たちが来るまでにどれほど式神経由で謝ったと思ってる!?

だというのに、寝坊だと?! ふざけおってぇ……、私だって熟睡したいわ! このまま永眠させてやろうかッ!? フ、フフフ———」

「グぅ……ギブ、……ギブギブ———、イヤ、ホント、ゴメンナサイ。だから離して———」


 万力のごとき腕力で、胸元を掴まれ持ち上げられる。呼吸ができないし力が入らない。これは、本当に死んでしまうかも……。っていうかアイレン、何してるんですか助けて下さいよ。あなたの幼馴染死んじゃいますよー? あっ、あくびしてる。

 あれー? おかしいな、見えてないんでしょうかね。ちなみに私の視界もすでに朧気であなたの顔が見えたり見えてなかったり……。

 あぁ、せめて、死ぬ前にあなたを超えたか、った……ガクっ。


「ほうらどうした!? 気を失ったくらいで私の手から逃げられると……」

「……あの———」

「だが安心しろ、殺しはせん。今は人手不足だからな! 精々働かせて———!」

「あ、あのっ! ちょ、トーカ!?」

「ム……、どうしたトーレス。あぁいやリベリカ二級。何か問題でも起きたか?」

「そ、そうなんだけどさ、いや、あのー」

「なんだ、はっきりとモノを喋れ。急ぎの用ならすぐに対処するが」

「その前に、離してあげないと、本当に死んじゃいそうだよ……」

「ん? あぁ、こいつか。この程度で死ぬ方が悪いんだ。が、まあいい。アイレン、とりあえず面倒を見ておけ。それと、お前の相手までするつもりはないぞ」

「……分かってる、その方が助かるよ」

「なら、いい」

「ぐえ、ゲホっ、ケホッ」


 雑な衝撃によって目を覚ます。あぁこれは投げ飛ばされましたね。相も変わらずの怪力です。素でアレって、本当に同じ女なのでしょうかね。なんていうか、こう。生物としてのカテゴリーが違う気がしてなりません。

 ああ、空気がおいしい。当たり前のように呼吸ができることの何と素敵なことか。それに、なんだか暖かいし……。


「ちょっと、アリスちゃん……」

「アリス、目が覚めたなら立ってくれ。……あと抱き着くな、邪魔だ」

「フフ、この距離なら逃げれませんよぉー」

「阿呆なことばかり言ってるんじゃない」


 死ぬ間際の夢が、終わらず世界に示し続けられる。

生きてるって素晴らしいなぁ。そんなことをしみじみ感じながらアイレンに抱き着いていたが、さっさと立ち上がってしまいました。そのせいで駄々っ子が母親に向かってまとわりついているような状態となってしまった。

 む、これは冷静に考えたら結構恥ずかしい状態なのでは? まあでもここには私たちしかいないわけですし、何も問題は——。


「えと、アリスちゃん、大丈夫?」

「あら? トーレスさん、なぜここに?」


 サッと立ち上がり、一瞬で隊服に皺一つ作らぬよう身なりを整え平静を装う。

 その様子を見ていたアイレン、トーカさんと同期の圏士、“トーレス・リベリカ”さんは苦笑しながら頬を掻いている。何ということでしょう、優等生であるはずの私のこんな姿を見られてしまうだなんて……。


(いくらか握らせれば黙っててくれるでしょうか……)


 状況を打破すべく、ウンウン唸っている私を無視して、アイレンが話しかける。


「それでトーレス、実際お前がここに来るだなんて珍しいな。“コレ”と違って問題を起こすような奴でもないだろうに」

「ハハ、そんなこともないよ。僕は僕でミスばかりで……。二人のように強くないからね、現場より事務仕事ばかりだけど、……なんだかんだで怒られてばかりさ」


“コレ”って、私のこと言ってます? いえ、指差しながら言ってるので間違いないですね、コレ。不名誉な言い草を訂正せざるを得ない、立ち上がって反論しようとすると、肩口に手が置かれた。


「イデデッ……、あ、待ってください、ホントに痛い。ちょっと、部下を労ってくださあ、イタイイタイッ———」

「アリス、何時私が立ち上がっていい、だなんて言った? だが、お前の言う通りだ、もうしばらく座っているといい、労ってやろう。ほら、この部屋の絨毯の触り心地はどうだ?ん?」

「あっ、チョット!? 座ってるって言いませんよコレ。頭を床に押し付けないっ、でく、ださ……ムグググッ……!」


 何という暴虐武人か、ブラック企業か。こんな人がトップに立っている職場がなぜ存続できているのか理解に苦しみます。

 というか、引き継ぎ一日目でした。存続もなにも、始まってすら無かったですハイ。


「現状、『穢れ』の影響もないみたいなんだけど、放置するわけにもいかないから。他の実働部隊の圏士は別任務、そうでなくても式典の準備に駆り出されてて……。ナキに空いてる圏士はいないか探してもらったら、アリスちゃんが昨日帰ってきているって聞いたから出撃してくれないかってお願いに」

「報告ご苦労、了解した。構わん連れていけ。中身はともかく外身は役に立つだろう。行けるな? アリス。いやいい、行け」

「ふぁい……、行きます……」

「俺も行こう、昨日の奴はつまらなかった」

「あれでですか……」

「……分かった、過剰戦力だがいいだろう。問題は起こすな」

「助かる」


 床に押し付けられていた顔の右側が非常にヒリヒリするし、足の方もそろそろしびれが限界に達しようとしてます。だって、まだ立つことすら許しが出ないんですもの。この体勢のまま出撃しろ、だなんて言われなければいいですけど。


「まったく……、平和とはいえ式典の準備で人手が足りないだと……? くそっ、人員不足も甚だしい。実働部隊は何をやってる、精々2級、3級が相手だろうが……たるんでいるぞ……!」


 ブツブツと文句を言いながら、頭を押し付けていた右手をさすっている。多分、そちらよりも私の方が百倍は重症だと思います……。

 そんな風に思っている私を横目に、アイレンはトーレスさんに声をかけている。


「トーレス、お前も行くだろう? たまには現場の空気を感じておかないといざという時に対処できないぞ」

「あー……、うん。どうにもそういうことになっちゃって。訓練は僕なりにちゃんと続けてるし。……でも、一緒に行くのが二人なら着いていっても足を引っ張るだけだよ?」

「そんなことはない、お前は自信を持ってないだけだ。トーカ、構わないだろう? 将来的な戦力の増強だと思えば安いものだ」

「……、そうだな。……許可しよう。だがアイレン、無茶はさせるなよ。戦力の増強と言って死なれては痛手にしかならん。ただでさえ年々戦力が落ち続けている中で、そのようなことを起こせば厳罰ものだ。それと、今回は許すが、人前ではちゃんと局長と呼べ。下手に距離が近いと口を出す輩が出てくる」

「そうか、分かった。気を付けよう。それと、トーレスの事は感謝する」

「ああ、ではさっさと行け。どこかの阿呆共のせいで予定が三時間以上押している。火急の要件であれば『瞳士ドウシ』経由で伝えろ。どれほどの下らない要件だったとしても、政治屋との会話よりも実があるのは間違いない」

「では、行ってくる。ほらトーレス、行くぞ」

「分かったよ。はぁ、緊張するなぁ……」

「あ、ちょっと待ってください。足がしびれて……」


 慣れないことをするものじゃ……させられるものじゃない。おかげで動けぬ前に進めぬ。おお血流よ、なぜそこまで滞ってしまったのか。

 いやいや、そんなこと言ってる場合じゃない。このままでは置いてかれるのは間違いありません。だって、アイレンときたらすでに歩き出してますもの。あっ、でもトーレスさんは気にしてくれて……。


「この阿呆は気にしなくていい。すぐに追いつける。何のために『原型』を渡していると思っている。目的を見失うな、『穢れ』の討滅こそ我らの使命だ。……つまりだ。バカにかまうな、さっさと行け」

「あぁ、トーカさんヒドイです! 二重で貶した挙句、せっかくのトーレスさんの優しさを踏みにじって! そんなんだから彼氏いない歴が年齢と———アダダダッ?!」


 只今絶賛しびれている足を踏みつけられる。これってイジメですよね? 訴えれば勝てますかね!? というか、しびれているから痛いのか、踏まれているから痛いのかが分からないんですけど!!


「その口を縫い合わせれば少しはマシになるのか? アリスゥ……」

「あぁーもぉー、すみませんでしたぁ、もう変なこと言いませんから許してくださーい!」

「まったく、なんで圏士という連中は皆こんななんだ……」


 結構まじめに落ち込んでいる新局長。この完璧超人でもうちのおかしさはどうかしてると思っていたらしい。ほんの少し、罪悪感が芽生えそう。


「アハハハッ、トーカさんも人のこと言えないじゃないで——」

「フンッ!!」

「ぎゃうっ?!」


 お、おぉ……、足が、足がぁ……

 万力で首を絞められたかと思えば、次は足に鉄槌を撃ち込まれる。いえ、思い切り踏まれただけのなのですけれど。ハンマーで思い切り打ち抜かれたのかと思うような痛みが駆け抜ける。


「次は無いからな?」

「ひゃい……」

「ふぅ、バカやってないで早く行け」


 足の骨が砕けてるのではないのかと、錯覚以上の何かを覚える痛みの中、何とか返事を返す。

 何はともあれ、仕事の時間がやってきたわけで、いまだ痛みを発している足をさすりながら立ち上がる。局長はからかいがいのある人だからついついやってしまう。……別にMではないです。

 口ではすごく怒っていても手加減はしてくれてますし、一応。とはいえ、これ以上長居していても迷惑にしかなりませんし、いい加減私も行きますか。


『本編について』

・アリスについて

 メインどころを張ってくれているアリスですが、当初は実際に主人公でした。しかし「このままでは乙女ゲームみたいになってしまう」という気付きを得たため、その場にいたトーレスにバトンが渡された経緯があります。


・トーカについて

 討滅局の局長、本作における最強の一人です。

 普段は凛とした自他ともに厳しい女性ですが、自由人の彼らを相手にするときは感情的になりやすいです。


『定期連絡』

・高評価、いいねなどいただければ、皆様には特に見返りはありませんが自分が喜びます。

・更新日の後にそのことを伝える呟きをしているので、思い出す用にツイッターフォローいただけると幸いです。

・細かい設定や反省点等々は完結後にでもおまけでまとめようとでも思っているので、質問をいただければまとめて回答します。よければどうぞお願いします。

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