14.友、達①
すでにトーカは先に行ってしまっているようで、姿は見えなかった。
何かあった時に武力制圧するために本人が来ていて、案内役はアリスちゃんに一任しているということか。そんなことまでしなくてもちゃんと行くんだけどな……。
「話って、何かな? やっぱり私の事、……だよね」
「それもあるだろうね、重要度としてはもう一つのほうが大きいと思うけど……」
「…………」
「あのね……、もしもさっき、私が力づくで連れていかれそうになってたら、助けてくれた?」
「もちろん、もしそうなってたら怒ってたと思う。僕がミカを守りたいと思ってること自体は、約束に関係ないからね」
「トーレス……、ヘヘ……嬉しい」
「あの、そのぉ……、ちょっと見ない間に、随分仲良くなったんですねぇ……ミカちゃんもだいぶハッキリと喋るようになってますし……」
移動中ミカと話していると、後ろから申し訳なさそうに声が聞こえてくる。
振り返ると、身を縮めながらひどく気まずそうな姿で歩くアリスちゃんの姿、これでは連行されているのが僕たちではなくアリスちゃんのようだ。
「そんなに気にしなくても大丈夫、なんだけど……。そこまで気を使われると逆に気にしすぎちゃうんだけど……」
「アリス、どうしてそんなに小さくなってるの? 私に合わせなくても大丈夫だよ?」
「うぅっ、ミカちゃん、そんな純粋な眼で穢れた私を見ないでください……、ちょっと今の私では耐えられそうにないですから……!」
「そう、なんだ?」
ミカにはどうしてアリスちゃんが申し訳なさそうなのかは分かってないみたいだ。人の心の機微についてはまだよく分かってないのかな。
……それにしてはずいぶんと翻弄されたような気がするんだけど、アレは僕相手の時限定ということになるのかな?
「……トーレスさん、本当に怒ってません?」
「えっ? あ、あぁうんもちろん。怒ってなんかないけど、どうして?」
「だ、だって! 私ったら酔いつぶれた挙句に送ってもらっちゃって、トーレスさん達が死にそうになってる時にはグースカ寝てたんですよ?! 無能極まりないじゃないですか! その上、目を覚ましてミカちゃんとゆっくりしてるところに邪魔しに行くような真似して……。はぁぁぁ、あぁもうホント自分で自分が嫌になりそうです……」
大きなため息と共に、さっきよりも大きく肩を落としている姿を見せられると、元々無かった怒りがさらに無くなっていく。どうにもこうにも怒る気力も理由もない。
「まあまあ、そこまで落ち込まなくても。それで行先はやっぱり本部でいいのかな、局長室?」
向かう方向はいつも通っている討滅局の方だ。話を聞くとのことだったし、局長室で尋問でも受けるのか。
「その通りです……ただ、局長室じゃなくてまずは牢屋の方ですね。理由は、……行けば分かります」
「アリス、どうかした?」
「えっ?! な、何がですか? そ、それは落ち込んではいますが基本はいつも通りですとも。ええ、私は元気いっぱいですとも」
拳で胸を叩き元気なのをアピールしているけど、僕にも無理をしているように見える。一体、眠っている二日間の間に何が起きたんだ。
「えと……、あちらになります……」
「これは……」
「ひどい……」
そこにあったのは破壊の痕だった。そして、死がまき散らされている。
本来、その場所にあったはずの獄舎が破壊された大量の残骸と、死体自体はすでにないものの、血痕が地面に染み込んで赤い色を残している。ここから見える量からしても十人は下らない。
そして何よりも目を引くのが、地面に大きな穴が開いている。
底を覗くことはできないけど、地下牢があった空間は丸ごと吹き飛ばされているのは見て取れた。
いったいどれほどの深さなのか、深淵を覗くが如く興味がそそられる。どれほどの力があればこのようなことができるのか。
局内の人間はほぼ全員、式典の準備に手を取られてはいたが、獄舎に配属される圏士たちなら手練れだったろうに。ましてやここには……。
「アイレン、か……それはそうだよね。こんなこと、彼にしかできない」
「はい……その通りです。今日の夜明けごろでした。何の前触れもなく契約反応、局内の圏士が駆け付けた時点ですでに獄舎はこの有様。そして駆け付けた圏士達の前には彼が一人。後は見ての通りです……、駆け付けた人たちは全員一級でしたが例外なく返り討ちに会っています。間違いなく、彼は無傷ですけど……。今は死体の回収も終わって、遺族の方にどう伝えるかが議論されてる頃じゃないですかね」
「そっか、……そうか。やっぱり強いねアイレンは、それで僕たちが呼ばれたのは?」
不思議と恐怖は覚えなかった。ほんの少し前まで、友人として接していた相手が殺戮を行ったというのにもかかわらず。
ただ漠然と、『あぁ彼ならするだろうね、そういう人だから』そんな風にしか思えない。
そして、それは現場にいる今なお変わりない。
「続きは局長室で、ですね。またせるとトーカさん怒らせちゃいますし、さっさと行っちゃいましょうか」
さっさと局長室に向かって歩き始めるアリスちゃんの後ろを数歩遅れてついていく。最後に一度だけ、友人の起こした悲劇を胸にしまい込んで。
□ □ □
陽だまりが石畳に融けこんでいる。けれど、冷めきった石畳ではぬくもりを感じることはできそうにない。
「………」
「………」
「……」
長い、長い廊下を三人で歩く。
会話もなく、響くのは足音だけ。そんなことだから目的地にはすぐ着いた。
「アリスです、入りますね」
ノック三回の後、ドアが開かれるとそこにいたのはトーカともう一人。
「ナキ? どうして」
ナキ・ブルーマン、例にもれず変わり者の瞳士であり僕の友人。彼女がここにいるということは彼女も何か事件に関係しているのか。
「やあトーレス、またしても意識不明だったそうじゃないか。私もお見舞いに行きたかったんだけどね。いやあ、新局長殿が離してくれないのなんの……」
「静かにしろナキ、お前たちを呼んだ———」
「ああああ!! ミ、ミカちゃんっ……あぁ、来てくれたんだね私のところにぃ!! あぁもう本当に、言葉にならないくらいに嬉しいよ! 例えるならば行き詰った研究が一気に加速したかのような———!」
「……」
「あ、あれ? トーレスと手を繋いでいるのは分かるけど、どうしてアリスの後ろに? あ、あれぇおかしいな、ほぉーらナキお姉さんだよー。怖くないよー?」
不信感をあらわにした様子のミカは僕と手をつなぎながらもアリスちゃんの背後へ隠れる。そんな対応をされたナキときたら、生まれたばかりの赤ん坊をあやしているかのような、新米の母親のように見えなくも、……無いな。
というか、言葉になってるし……。
「……やかましいッ!! 静かに挨拶もできんのか貴様はッ!!」
「だってぇー、トぉーカぁー。ミカちゃんが避けるんだよぉぉお……」
「……こいつは無視して構わん、あまりにもしつこいようなら『簡易契約』による攻撃を許可する」
「了解です、窓からほっぽり出してやりますよ」
「むぅー」
いくらナキでも暴力沙汰は避けたいのか、頬を膨らませてはいるものの何とか声を潜めてくれた。これでようやく、本題に入れる。
「えと、それで僕達が呼ばれた理由なんだけど。わざわざトーカ本人が来たってことは、何か重大な件で疑われてるってことでいいのかな? アイレンのこととか」
「……ああそうだ話が早くて助かるよ、なら単刀直入に聞こう。トーレス、お前アイレンと協力関係を結んでいないだろうな? 特に、その娘についてだ」
年季が入りながらも古臭さを一切感じさせない執務机からトーカが問いかけてくる。
無論、答えは決まっている。
「してない。そもそも僕はアイレンの攻撃で気を失ってからは一度も会っていないし、退院してから僕達を襲ってきたのもアイレンとは別の男だった。気配や姿は隠されていたけど、間違いないよ」
「なら、お前はどうだ? 『元・穢れ』だったか……。ずいぶんとトーレスに懐いているらしい。それこそ自分の命も顧みずに『具象契約』を履行中の相手に立ち向かおうとするほどには———」
「何が言いたいんだ、トーカ」
「今話しているのはお前じゃない、答えを聞きたいのもな。それでどうなんだ? 覚えていないなんて言う答えは求めていないぞ」
「………っ」
「……ミカちゃん、無理しなくていいですからね? 知らないなら知らないって言ってくれれば———」
「アリス、お前もだ。口を噤め」
ミカに寄り添うアリスちゃんに対しても容赦はない。今この局長室という空間はトーカが支配している。打ち破ろうにも相手は最強の一角、正攻法で何とかしようとするのは不可能。なら、僕はミカを信じるだけだ。
恐怖からか、繋がれた手が微かに震えているのが伝わってくる。言葉を封じられた以上、僕にはその手を握り返すことしかできない。
「………っ、ん———」
だけど、真意は伝わる。震えは止まり、前を見据える。
ただの一度でも自分の意志で、自分より強い相手に立ち向かえたのだから、ミカは負けたりなんかしないと信じている。
「……、私はそんなの知らない。あなたのいうアイレンって人とは、目が覚めてから一度も会ったことなんてない。それに、トーレスを傷つける人はキライ。絶対に手伝ったりなんかしない」
強い眼差しだ。初めて会った時には想像もできなかったような、広い世界を見据える意志の瞳。そして、それを支える彼女の心。
その姿はもはや、心のうちに引きこもるただの少女ではない。
「ぉぉぉお……、見た? 聞いた? ねぇねぇトーカぁ、この健気で力強いミカちゃんの姿っ、あぁもう本当成長を傍で見守れないのが残念で残念で……」
「誰が喋っていいといった。……だが、そう……だな。はぁ……、私だって分かっているさ、そんなこと……」
「だろうっ?! やっぱりミカちゃんは最高け———!」
「違うッ、この優男にそんな大それたことができないと言っている! お前いい加減少し黙っていろ———!!」
最終的には、自分で生み出した空気を破壊されたことに耐えきれなかったトーカの咆哮によって威圧感は霧散、一方的な話し合いは幕を閉じた。
「つまり、アイレンは僕とミカを狙ってる? どうしてまた……」
「知るか、本人に聞け。少なくともその点については口を割らなかった。尋問担当にもな」
「尋問、って何をするの?」
「あー、ミカちゃんは知らない方が良いと思います……。私も好んで聞きたい話でもないですし……」
「そうなんだ、じゃあやめておくね」
「あはぁぁ……、言葉が出てこない———」
いまだ一人、事件とは関係のない話をしているけど、もうトーカは完全に無視を決め込んでいる。それはもう、この空間には存在していないと言わんばかりのものだ。
お茶すら用意してもらっていない。
「えと、今日の脱獄、というか反逆に関しても僕達が関係してるってこと? ……うーん、やっぱり理由が思い当たらないな。特に隠してることも無かったし、実力も遠く及ばない。そもそも情報が欲しいなら力づくで何とでもなるはず」
「そうだ、こう……あまり言いたくもないが、お前は弱……強くはない。だというのにアイレンはずいぶんとお前に執着しているようだった。お前に対する奴の評価は信じられないくらいに高かったぞ? それに加えてその子の出現だ。色々とタイミングがかみ合いすぎている」
「うん……」
それは、確かに思っていた。『穢れ』としてミカが現れた時、ちょうど空いていたからという理由でアイレンとアリスちゃんを誘って任務に向かった。経験を積むためだと言って僕も一緒に。
実際はともかく、観測室での『穢れ』の反応は三級程度だった、特級のアイレンが行くこと自体は気まぐれでどうとでも言える。けど、それに加えて一級のアリスちゃんと、二級の僕。
過剰戦力にもほどがある。
いや僕一人だったら最初の不意打ちで死んでたとは思うけど……。その時のことを思い出して、横に座ったミカを見ると疑問符を頭に浮かべて見つめ合う。
「トーレス? どうしたの?」
「あぁいや、うん。何でもないよ、偶然目が合っちゃっただけだから。はは……」
「しかし、アリスから聞いてはいたが本当に人間のようだな。容姿は跳びぬけているが、そこを隠しての会話なら、誰も『元・穢れ』などとは気づかんだろう」
「むぅ……、その言い方好きじゃない」
「い、言い方?」
予想外の返答だったのか、軽く目を白黒させるトーカ。そういえば、しばらく前に子供は苦手だとかなんとか言ってたような気がする。
「そのですね、トーカさん。ミカちゃんはちゃんと名前で呼んでほしいって言ってるんですよ。私だってちゃんと名前で呼んでもらいたいですし、ねーミカちゃーん?」
アリスちゃんの言葉に対して無言でうんうんと頷くミカ。
確かに彼女はミカという名前を気に入っているようだし、普通にしているだけなのに『元・穢れ』なんて呼ばれたくは無いだろうな。……僕も気をつけないと。
「名前、名前か。そう、だな。あぁお前たちの言う通りだ。……言うぞ? 問題ないちゃんと言うさ、…………ふぅ。……なんだお前達その目は。私に何か文句でもあるのか?」
「……いえ、何も言ってませんから早くしてください」
「っていうか、女の子の名前一つ言えないって思春期の男の子以下じゃないか? トーカってまさかそうだったり?」
「ちょ、ちょっと二人とも……それ以上は———」
不安になってトーカの方を見ると、顔は俯き、拳を握り締めて体を震わせている。これは、マズイ……。だがもはや手遅れ、なら僕にできるのはたった一つだ。
「ミカ、ちょっといいかな。急いで目を閉じて耳を抑えるんだ、周りの音が聞こえないくらいにっ!」
「えっ、え? こ、こう?」
ミカに続いて僕も耳を抑える。
「まぁ、仕方ないのかなー。トーカってさぁ、友達居ないだろー? それこそアイレンとトーレスと私とアリスくらいのもんじゃないの? まあいないわけじゃないけど部下からは距離置かれてるもんねー」
「あー確かに、言っちゃなんですけどトーカさんが他の隊員と世間話してるところ見たことないかも、アイレンやトーレスさん相手に向ける表情ならもっと親しみやすいとは思うんですけどね。あれですかね、仕事に真面目すぎるんですかね? 局員相手だと名前に階級つけて呼びますし。っていうかナキさんを友達にカウントしていいんですか?」
「はっはー、言ってくれるねぇアリス。でもまあいいやとりあえず入れとこう。えーっとそれだとアイレンはもう除外されたみたいなものだし、ひいふうみい、……ハッハハ、三人だよ三人。信じられるか、三人だぞ?! クク……、人生通してこれってどうなん———ゲゥ……」
「あぁッ! ナキさ———グェッ……」
「……しだって———、私だって……ッ!!」
急に立ち上がったトーカが二人の首を掴んで持ち上げている。アリスちゃんはともかく鍛えてもないナキはすでに死にそうな顔をしているのだが、うつむきっぱなしのトーカにその様子は見えていない。
(助けたいと思いはするけど、自業自得だしなぁ……)
虎穴に入らずんばなんとやらとはいうけれど、墓荒らしを助けに行きたいかというとそういうわけでもないわけで……。うん、僕も耳を抑えておこう。
「……私だって、小さい子の相手するの苦手なのを頑張ってるんだぞ———ッ!!」
その前に微かに聞こえた心からの叫びも……、聞かなかったことにしておくのが間違いのない選択と言うものだろう。
その後すぐ、局長室ごと震わせる振動に襲われたけど、二人は生きているだろうか……?
閑話休題
「……落ち着いた? はい、お茶」
「すまない、取り乱した。はぁ……」
「アリス、大丈夫?」
「ぁぁ、ミカ、ちゃん……。出来れば私にも、お茶を、下さい……ガクっ」
「———」
アリスちゃんは慣れているからか復活も早そうだけど、案の定ナキはしばらく時間がかかりそう。というか死んでてても不思議じゃなかった。
「じゃあ、話を戻そうか……。戻してもいいよね? ホントに大丈夫?」
「言うな。問題ない、はずだ。まったく、アイツらがいると話が進まなくて困る。どこまで話したか……」
「最初に三人で任務に言った時からこれまで、色々とタイミングがかみ合いすぎてるってところ」
「ああ、そうだったな。アイツは尋問を受けている間は何一つとして声を上げなかった。だからヒントになるのは私との会話だけだ。アイツ、お前のことを何て言っていたと思う」
「えーと、褒めてたんだよね。……なんだろう。実は才能が眠ってる……なんてね、ハハ。分からないや」
「その通りだよ」
「え?」
「トーレスには才能がある。困難から逃げ出さず、特級にすらなれる素養がある。とな」
「……さすがに嘘でしょ? それ」
「事実だよ、正直言うと私自身は今でも半信半疑だが……。いやそれはいい、重要なのはその後だ。トーレスは優しすぎる。ならば、追い込むことで成長をさせる。死ぬ間際まで追い詰めてでも」
「……嘘、だと思いたいな」
「事実だよ、そしてアイツは……っ、そのための犠牲など塵芥に等しいと言ってのけた! 私の仲間を……ッ、家族をッ! 自己満足の為に……ッ!!」
「トーカ………」
先代の局長、トーカの父親は優しい人だった。局長という地位に居ながら、男手一つでトーカを育てたらしい。
局長としても、討滅局だけでも千人足らずいる圏士、その全員の名前を一字一句間違えることなく憶えていたほど。無論顔と名前も一致させた上で、だ。
『君は、トーレス・リベリカ君だったね。トーカはアレで人見知りなだけだから、気後れせずに話しかけてあげて欲しい。同期というのは、自分で思う以上に助けになるものだよ。それに、我々はもう家族のようなものだ。困ったことがあればいつでも言いに来なさい』
初めて会ったのは18歳、入隊式の壇上で正式に『原型』を授与される時だった。
我々は家族だと、そう言った彼の瞳に嘘は無かった。本心からの言葉であり、事実皆からも慕われていた。そんな人の娘であるトーカも、間違いなく想いは一緒だ。だけど、全てを伝えきる前に彼は急死してしまった。
本来ならもっとゆっくり経験を積んだうえで局長の跡を継ぐはずだったのに。その肩にかかる重圧は如何ほどの物なのか。僕には、計り知れない。
「トーカ、落ち着いて。君が指揮を執ってくれないと、僕は何をしていいのか分からないよ。まして、僕が原因だっていうのなら。より君の意見が聞きたい」
「はぁ……はぁ…、何度もすまないな、トーレス。ここには状況を知っている人間がそろっている。なら、最初から整理すべきだ。そのためにお前たちを呼んだのだから」
「分かった。じゃあミカ、アリスちゃん起こしてあげて。ナキは……もう少しそのままにしておいてあげようか」
「アリス、アリス。トーレスが呼んでるよ? 起きないとまた怒られちゃうかも」
「はい……起きますちゃんとしますからちょっと待っててくださいねー……」
話し合いの席だったはずなのになぜかボロボロになったアリスちゃんが隣に座る。と、更にその間にミカが入り込んでくる。
「ここはダメ、アリスでもダメ」
「ふふっ、ミカちゃんたら女の子ですねぇ。分かりました、今回は手を引きましょう」
「……ゴホン、えとそれで整理するって言うと、それぞれ何があったか話していけばいいんだよね」
「そうだな、お前から話せトーレス。アリスを家に送り届けてからのことで構わん」
「それじゃあまず、ミカと二人で帰ってたんだけど——」
『本編について』
・トーカとトーレスの出会い
同期で圏士になったとはいえ、一般人だったトーレスはトーカとの接点は限りなくありませんでした。しかし入隊式の後、トーカに話しかけるのをためらった他の同期(全員辞職済)にトーカを呼んでくるよう押し付けられたことが出会いになります。
話しかけてくる気概のない連中ばかりだったため、気分を害していた(落ち込んでいた)トーカにとってもちょっとした支えになった瞬間です。
『定期連絡』
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