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第三話 オカルト部 発進③

豹変した入皆は

それまでの頭良さげキャラの仮面が

キレイすっかり剥がれ

熱く

それはもう僕が引く程

熱く語り出した。

興奮してしまっているせいで

話の順番などは滅茶苦茶だった。


要約すると


・新聞やTVは真実を隠す、それどころか嘘も言う。

・教科書に書いてあることは為政者の都合の良い真実や嘘

・国のTOPをも超える裏の権力者が居る。


だそうだ。

僕は興奮度まだアゲアゲな入皆を制し

割って入った。


「それじゃオカルト研究というより

ジャーナリズム研究じゃないか。」


隠された真実を追求したいと言うのならばそうだ。


「真実を都合良く捻じ曲げる裏の支配者・・・

オカルトはその隠れ蓑に利用されてしまっているのよ。」


「つまりオカルトを追及し

綻びを見つければ・・・。」


「真実はその先に必ずあるわ。」


それでオカルト研究部か

納得だ。


熱く語る入皆

まだ教室に残っているクラスメートの

奇異の視線も気になる。

僕は一先ず了承する事にした。


入皆はご機嫌だ。


「早速、行動を開始しましょう。」


てな感じでオカルト部設立の為に

行動を開始する僕達・・・いや

行動を開始する入皆と

その気も無いのについていく僕だった。


はい。

一先ず了承したものの

その気はありません。

なぜなら

そんな部

設立出来る気がしない。


仮に

仮に何かの間違いで設立出来たとしよう


何をするのだ。

具体的に何をするのだ。

全くイメージが湧かない。


野球なら甲子園とか

サッカーならインターハイとか

何か具体的な目標ってのがあるじゃないですか

それを目指して青春の汗を流して

切磋琢磨するのが部活というモノだ。

文化部だって良く知らないけど

ナンタラ賞とかコンテストがある。


オカルトに試合や賞やコンテストがあるなんて

それこそオカルトだ。


大体、設立出来たとして

僕も入部したとしたら

僕の自己紹介どうなるのだ。


「オカルト部の丘 流人です。」


面白いよ。

でも

完全に出オチだ。

後が続かない。


なので

僕はやる気は起きない

起きないが

美人と行動を供にするのは

それだけで価値があるので

ついていく事にした。

入皆が頓挫し諦めるまでの過程は

見物になる気がしたのだ。


何処に向かっているのか知らないが

廊下を迷いなくズンズン進む入皆の後を

僕はついていく

少し僕に振り返ると入皆は話し始めた。


「部の設立にあたって

必要な条件を説明するわね。」


・規定人数以上の部員の署名

・顧問の教師


思いついた疑問を

即ぶつける僕。


「規定人数??」


「1チームに必要な最低人員よ。

野球なら9人

サッカーなら11人

バスケなら5人

カバティなら・・・」


「それは分かっている。

僕が知りたいのは

オカルトの規定人数だ。」


しまった。

カバティの人数を聞いてから言えば良かった。

何人なんだろう・・・。


「そうね。最悪一人でも可能じゃないかしら。」


何で僕を巻き込んだ。


「取り合えず、部員集めに奔走しなくても良いって事か」


これは有難い

勧誘なんて冗談じゃない

やるにしても入皆に全て任せよう。

オカルト研究部にはいりませんか?

絶対言える気がしない。

入皆は良く平気で言えるな。


「そうなると、問題は顧問の先生だよな。」


部活動の顧問

責任者である。

こんな怪しい部の責任を持とうなどと言う

人目を気にしない奇特な先生がそうそう居る気がしない。

そして当然、指導も行わなければならない。

運動部の顧問などは

漏れなく学生時代に経験済みな人だろう。

甲子園出場が常套な学校などは

わざわざ外からスカウトだってしている。


オカルトの経験者。

オカルトの指導。


駄目だ。

全くイメージが湧いてこない。


野球なら素振りとか

千本ノックとかだが

オカルトだとどうなるんだ。

そもそも体のどこどう鍛えると

オカルト力が上がるのだろうか。


僕が永遠に答えに辿り着きそうもない

考えにふけっているのに

入皆はあっさりとスゴイ事を言ってのけた。


「丘クンは誰がイイ?」


「誰がって・・・選べる程いるのか」


入皆はポケットからスマホを

取り出すと操作を始めた。


指の動いが速い。


「あっここじゃ通行の邪魔よね。」


入皆は操作を途中で止めると

首を体勢をクルクルと転回させた。

その際にチラリと見えた

白いうなじに僕の中の龍が


「あっちに行きましょ。」


「ああ、そうだね。」


通行の邪魔にならない階段の踊り場

そのアウトサイド隅っこに

僕たちは移動した。


「踊り場って言うけど

ここで踊ったら怒られるよな。」


「コレを見て頂戴。」


完全にスルーですか。

ありがとう。


スマホの画面には大人の顔写真がズラーっだ。


「これ・・・この学校の教師一覧って事か。

で、誰なら引きけてくれるんだ。」


顧問をしていない教師がこんなに居るハズは無い。


「顧問の掛け持ち数に制限は無いの

私達のクラブに特に顧問の手を煩わすコトは無いでしょうから

名前だけでイイんだもの、誰でもOKよ。」


いや

最初のハードルが考えに入っていないようだが


「因みに私のオススメはねぇ・・・。」


そう言うと入皆は僕の真横に移動し

僕の持つスマホを操作し始めた。


僕の視線は胸元に完全にロックオンされた。

うーん。

ある方だな。

イカン

僕の中の龍が


「コイツよ。」


いくら目の前に居ないとは言え

教師をコイツ呼ばわりはどうかと


入皆が一人の顔をタップすると

単独の画面になり写真の下には

プロフィールが表示されていた。


取り合えず名前だが


「ど」


土師はし先生ね。」


読めませんでした。

勉強になります。


「あ、ありがとう。」


「珍しい苗字だものね。」


画面に集中しよう。


「なんか・・・開国を要求してきそうな顔だな。」


第一印象はペリーだ。


「因みにあだ名はスネイプよ。」


思わず笑う。

似てるわ。

でも今、大事なのはソコじゃない

僕はプロフィールを更に追った。


「ええと、担当は数学で主に3年生の授業・・・って」


とある文章に、つい驚く


「この人、東大出てるじゃないか!」


「東大出が顧問なら拍が付くってもんじゃない。」


「いやいや、確かにオカルト部は拍が付くかも知れないが ど」


土師はし先生ね。」


土師はし先生の経歴にキズが付くんじゃないか。

絶対に引き受けないと思うぞ。」


「そこはちゃんと秘策があるのよ

コイツは私に逆らえないわ。」


「逆らえないって・・・。」


「コイツ、浮気してるのよ。

証拠を押さえてあるのコレで脅せば絶対大丈夫よ。」


「陰謀を暴くべき僕等が陰謀を企てるのか?」


「命を救う技術を身に着けると言う事は

その反対の力をも身に着けてしまうのよ。」


カッコよく言ってるが

相当キタナイ事だぞ。


「恨みまで買って顧問してもらう事は無いんじゃないか

僕は健全なオカルト部にしたいな。」


いい加減

僕も自分が何を言っているのか

分からなくなってきた。


「それもそうね・・・。

でも脅しを禁じ手にしてしまうと

候補はかなり絞られるわよ。」


何この学校の教師

みんな人に言えない秘密だらけなの


「候補数は問題じゃない

顧問は一人で良いんだろ。

確実な一人で行こう。」


僕の言葉に再びスマホの操作に入る入皆。

再びロックオンされてしまう僕の視線。

悲しい性だ。

何度見ても変わるワケがないのに

何度でも見入ってしまう。

そして再び僕の中の龍が


「健全・・・健全・・・コレかなぁ。

入院は勿論、診断書に記載すべき病歴無し

何と小学校から大学まで無遅刻無欠席!!」


もしかして入皆はバカなのか


「健康だな!!」


「でしょ。」


映し出された顔は若い女性だ。

若干タレ目が気なるが可愛らしい顔だ。

22歳。

大学出て今年そのまま教師か

ピッチピチじゃねぇか。

うおおおお3サイズまで記載されているぞ。

ナーイスバデェイだ。やったー

でもこんな情報

どうやって入手したんだ。


「入皆!彼女の弱みは!!」

ブックマークやポイントでテンション上がります。

土師はし先生ね。」

どうかお願いします~。

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