第十九話 エコえこ⑤
さて問題のお題の方だが
「生徒会の方に知識や経験が
ある方が望ましいわね。
去年に何か変わった活動はしてないの。」
確かに知らない事では討論も何も
始まらないのだろうが
これでは相手側に有利だ。
入皆の言葉に顔を見合わせ
話を始める3人。
中心が会長、左右を固める男女。
副会長と書記だそうだ。
話は直ぐ終わり会長が話し出した。
「それならば我が生徒会は
去年、多くの改革を行って来た。
エコロジー」
入皆が小さく噴き出したのを
僕は見逃さなかった。
「地球環境問題に対応する為に
今、世界的規模で行われている活動
それに倣ったモノだ。」
「どどんな事をしたの。」
おい入皆
笑うな。
つか
何がおかしいんだ。
「色々あるが
まずは学食での割りばし使用を止め
洗って何度も使う通常の箸にした。
指定の教科書も従来のインキではなく
ええと・・・。」
ここで詰まった会長に
すかさず副会長の男子がまる聞こえの
小声でサポート。
「ソイインキ。」
「そう!ソイインキで印刷された物に変更だ。」
僕達の後ろの方で「そぉい!」と声を上げる者。
確か・・・同じクラスの宮本だ。
彼が反応すると言う事は
何か元ネタがあるのだろうが
何の事か分からないのでスルーだ。
「そこから行きましょう。
何で普通のインキじゃ駄目だったの。」
食いついた。
何かあるのだと思ったが
入皆はその後小さく
「順番的には割りばしからの方が良かったかしら」
と言っていた事から
二つともダメらしい。
「あぁソイインキは普通のインキと違い
環境に優しい製品なのだ。
大豆から作られている。」
成程、これは環境に良さそうだ。
「あら、じゃあ黒い文字は黒い大豆から
赤い文字は赤い大豆が原料ってコトかしら。」
「?大豆に豊富な色の種類があるのか。」
すかさず副会長が
そんな事は無いと突っ込んでいた。
「そう、大豆から作られた。
言い方としてコレは正確な表現ではないの
ソイ・インキ、大豆インキは
インキの成分の一部である油分が
石油系ではなく
大豆から抽出された油を使用
場合によっては一部を使用しているの。
比率が定められていて
下回ると大豆インキを名乗れないのだけれども
2008年には多くの詐称が発覚したわ。」
「大豆だけじゃインキは出来ないのか。」
から作られた
そう聞くと100%大豆で出来ていると思う。
僕はそう入皆に突っ込んだ。
「そうよ。最初のイチャモンの通り
大豆自体に強烈な色素は無いわ。
インキの主成分である色、顔料ね。
これについては従来の印刷インキと同じよ。
食べたら死ぬから食べちゃダメよ。」
食うか
でも、いざとなれば考えるか。
印刷会社で地震などで閉じ込められ
救助を待つ間、空腹になれば
候補に上がりそうだ。
「安全では無いのか?!」
会長なら食べそうだ。
「危険性に関しては通常のインキと同様
第4類の2か3の石油類に分類されるわ。
保管出来る量なども消防法で規定されているわね。」
「大豆由来なのに石油類なのか?」
「まぁ油ってコトよ。
燃焼を増長させる製品には違い無いわ。
要するに油が大豆由来と言うだけで
安全性及び廃棄に関する決まりも
普通のインキと同じよ。違い何て何も無いわ
これのドコが環境に優しいのかしら」
なんだソレ
意味あるのか。
「何故、生まれた。」
生まれて来ては行けなかったんじゃないだろうか
僕も昔よく悩んだものだ。
「昔、アメリカで大豆が豊作過ぎて
値段が付かなくなっちゃった時があってね。
どうするこのゴミ、何かに使えないかって
あれやこれや利用法を考えたのよ。」
そこで抽出した油分をインキの材料にと誕生したのか。
「そしてコレが聖剣エクスカリバーとなったの。」
油分が石油でなく天然の植物
環境に優しいと言う誤解。
「それまでガチガチの取引に
このエコロジー商品は切れ目を入れた。」
環境に優しい新商品ですよと
本来なら入り込めない従来の取引に
ご新規が食い込んでいけるのだ。
シェアを奪える。
切れないモノを切る
正に聖剣と呼ぶに相応しい。
「本当に環境に優しいかどうかは関係無いわ
消費者にそう誤解させられればそれでいいの。
ほぼ全てのエコロジーを謳う商品がそう。」
イメージ
先行、優先どころじゃない
それだけになっている。
消費者もメーカーもそんな気分になっているだけの
ぶっちゃければ
詐欺だ。
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