第一話 オカルト部、発進①
えー大事な設定です。
このお話しは
この世界とよく似た違う世界でのお話しで
今居る我々の世界の
どの団体や組織も無関係な全て作者のフィクションです。
僕の名前は丘 流人。
勿論、名付けた両親を恨んでいる。
ただ父親の名前は博美だ。
別に男性でもあるあるな名前だと思っていたが
最近知った、昔のスポ根少女マンガを発見してからは
親父には多少態度を軟化させることにした。
だからと言って
息子の人生を滅茶苦茶にしていい理由には
ならないハズだ。
よくからかわれた。
オカルトが何なのかを理解してからは
積もり積もった怒りのエナジーを解放し
徹底的な理論武装に執着し
今では立派な現実主義者だ。
気に食わない笑顔がある。
自分の名前の特異性を理解していなかった幼い頃
からかって来る大人達は皆、判を押した様に
決まった笑顔をして近づいて来た。
知り合いでも無い
僕に用事があるのでもない
ただ
面白がって からかう 為だけに
接近してくる者は必ず
その笑顔をする。
本当に気に食わない
まだ何もされていないのに
その笑顔を見ただけで
僕の戦意はもうMAXパワー・テイクオフだ。
相手に悪意は無い
間違っても善意などでは無いが
ちょっとしたコミュニケーションのつもりなのか
気軽だ。
しかし、からかわれる方は不快極まりない。
少なくとも僕はそうだった。
相手のその気軽なトコロも気に食わない。
今その笑顔が迫って来ている。
知り合いなら
冗談で良いだろう。
僕だってその位の度量はある。
ただ初対面でそれは無いだろう
あまりにも相手に対して失礼だ。
無礼だ
許さない。
・・・知り合い・・・じゃないよな。
接近者の顔を確認しながら
僕は記憶の全検索を高速で処理した。
相手が接近しきる前に
この作業は終了させないといけない。
まず
知り合いがいるはずはない
実家は都心にも通学可能な衛星都市
都内の高校となると同じ中学からも
行く者が大勢いるので
わざわざ田舎方向に引っ越す
Iターン的な進学先を選んだのだ。
同じ中学は勿論
地元の者は一切いない土地だ。
だから受験したのだ。
しかし僕だって人間だ。
間違いや失敗がある。
しかしながら短時間
いや瞬間で
全検索は終了し
僕の中のラファエルさんが
該当者無し と回答した。
入学式が終わっての
各クラスに移動
担任の教師を待っているこの状態だ。
接近者は同い年だ。
・・・浪人している可能性も無くは無いが
まぁ進学校ではあるが高校浪人までして
入るほどでは無い。
それに接近者の顔
頭悪くなさそうだ。
大き目の目は多少ツリ目で
性格がキツそうではあるが
利発で活動的な印象を与えて来る。
歩く動作もキビキビしていて
運動神経も良さそうだ。
ショートの髪が歩く度にリズム良く揺れていた。
知り合いで無い最大の理由。
いわゆる美人だ。
こんな美人
出会っていたら覚えて居ないハズが無い。
だが丘流人!
油断するな
警戒しろ
いくら美人でも
コイツは敵だ。
あの笑顔をしているのだから
美人はとうとう僕の席の前まで来て停止した。
もう誰がどう見ても僕に用事だ。
美人は腕を組むと
見た目を裏切らない
大きくハッキリと滑舌も響きも良い声で
僕に話しかけて来た。
「あなたが丘流人ね!」
途端に周囲に起こる
声を抑えた笑いや驚きの声。
まぁそうだよな
凄いインパクトの名前だもんな
ええ、ええ堪えきれなくても責めませんよ。
からかってさえ来なければ
僕は寛容です・・・・
って
この美人、どうして僕が丘流人だと知っているんだ。
そんな名前の同級生がいる。
この事は掲示板にも張り出されたクラス発表を
見れば事前に知り得る情報としておかしくない。
が
僕がその丘流人だと
どうして判断出来たんだ?
ここは推理するより
聞いてしまった方が良いだろう
僕はそのまま聞き返した。
「そうだけど・・・なんで僕が
丘流人だって知っているんだ?
どこかで会ったコトがあったっけか?」
ええい
もっと強気で行けよ丘流人!
そうは言っても美人には弱い
大体の男性
それも思春期真っ盛りな少年だ。
これは仕方あるまい。
「いいえ、初対面よ。」
「じゃ、どうして・・・」
「教師を含め、この学校の関係者の
顔と名前は全て記憶済みなの
何事にも準備って大事でしょ。」
何の準備に?
この女、何をする気なんだ。
「ハハ、凄い記憶力だね。
それで僕に何の用?」
僕は警戒心、態度、声色とも隠さずにそう返した。
相手はまだあの笑顔だ。
「スカウトよ。あなた私とオカルト研究部に入りなさい。」
やっぱり敵だ。
僕は態度、声色を警戒から怒りに移行させつつ答えた。
こいつは敵だ。
「断る。大体、君は何者なんだ。
名乗りもせずいきなり、失礼だ。」
敵め
「これは失礼したわ。
自己紹介するわね。
私の名前は入皆 茶々子よ。」
仲間かもしれない。
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