日常って何だっけ
短めでまとめる予定です。
初回は2話更新……。
爽やかな鳥の鳴き声と、川のせせらぎの音。
徐々に音量が大きくなるアラームを目を閉じたままとめると、布団の中でゆっくりとストレッチをしていく。
「うう……布団から出たくないでござる……」
それでも今日は平日だし、生きていくために仕事に行かなければならない。
「働かず、お賃金だけ、もらいたい!」
現状を五七五でまとめた私は、えいやっと布団から出る。そして視線を合わせないよう気をつけながら、ここ数日で見慣れた光景に目を細める。
決して広くはない、ワンルームの部屋。
そこになぜか、やたらガタイのいい男性が二人いる。
部屋の窓側にいるのは、緩くウェーブのかかった黒髪を後ろに流し、金糸で刺繍された赤い着物を身にまとっている、褐色肌のイケオジ。
そして壁側にいるのは、白金色をした真っ直ぐの髪を背に垂らし、銀糸で刺繍された青い着物を身にまとっている、白い肌のイケオジ。
私が動くと、するりぬるりとイケオジたちは避けていく。
まるで私がどう動くのか分かっているかのように。
食パンをトースターで焼いて、インスタントのコーヒーをマグカップでいただくと、赤い着物のイケオジがコーヒーが気になるのかこっちを向いている。
目を合わせたらダメだ。すんごく気になるけど、見たらダメなやつだ。
部屋着から着替えようとすると、分かっているのか二人とも体を反対に向けてくれる。そこは紳士なんだなぁと思いながらも、私はいつも通りにスーツを装着し、軽く化粧をしてからアパートを出る。
当たり前のように両側を陣取るイケオジたち。
片方は赤色のアロハにカーキ色のカーゴパンツ。
片方は青色のニットにグレーのスラックス。
一体、いつの間に着替えたのだろうかと思いながら、極力両側を見ないようにして私は駅へと向かう。
これが私の、ここ最近の生活だ。
独り暮らしのはずが、なぜか現状ひとりじゃない状態が続いている。
今の私がなぜ、こんな事になっているのか。
心当たりは無い……とは言い切れない。
なぜならば。
三日前の「酔っ払った私」が、とんでもない「願い」をしたのだから。
お読みいただき、ありがとうございます。