第4話 神様どうなってんだ、ごら~~
「すみませんでした」
「ん?ん?」
「あ、あたし、エーズです」
「エイズですか、気の毒に」
「エーズ!!トロイの神様なんだからね!!」
「・・・あの、神々しさの欠片も見えませんけど」
「む!とにかく、色々と手違いがありましたの」
愚姉の友達、だらけた格好の茶髪ノータリンにしか見えない神様曰わく。
本来なら谷底で、不運なユズルのみが落命するはずだった。
魂は回収され、幸運な子として元の世界で転生するはずだった。
ゴウジとランコも大けがを負い、捜索隊に救出されるはずだった。
父娘の野生の勘で歩き回って、亜空間の穴に迷い込んでしまった。
担当が、あわててその穴を閉じてしまい、元の世界に戻せなくなった。
記憶を持ったまま、因果が廻ってしまい元に戻せなくなった。
「つまり?」
「ええと、ごめんなさいね、ゴウジとランコは強すぎて因果を狂わせるのよ、割と平和な世界なのにバランスが崩れるってわけ、ゴキブリ並にしぶといし」
「・・・それは認めるけど、酷い言われ様だな」
「おとなしくスローライフしてくれれば良いんだけど、知力が0なの」
「わからんでもない」
「それで、知力100のユズルにお願いがあるのよ」
「断る」
「お願いというのはね、尻拭いをして欲しいの、必要な援助はしますから」
「断る!」
「じゃあ、お願いしました~~」
「おい!!」
ーーーーーーーーーー
言いたいだけ言った愚神めが、その後は夢に姿を見せない。
九月九日にオレは12歳の誕生日、親父や愚姉が覚えているわけもなく、三日も姿を見せていない。
オレたち家族が引っ越ししたのは親父の無計画さがよくわかる6月、こちらも同じだった。
五日働いて一日休む風習で一斉休日は、学校や官家が日曜、工家が火曜、商家が風曜、農家が水曜という感じだ、貴族は官家に属し、神殿や冒険に休みはない。
四季はそこはかとなくあるようだが、一月が年始めで稲作二期作、七月から麦作と根菜の二毛作という感じで廻し、野菜畑は年間通してという感じで、年間を通し天候に恵まれている。
だらだらでも働けば喰っていける。確かに割と平和な世界だ。
愚神が言っていたバランスってなんだろうか?
「ええと、ここは?」
誕生日のお祝いにと、怪しい店にカイズさんとリーナに連れられた。
「12歳の誕生日にちゃんとした鑑定をした方が良い。リーナもやってるよ」
「八月十二日のあたしの方が一ヶ月お姉さんだからね」
「それって、見せてくれる?」
「ダメよ」
「人に見せる物じゃないよ、結果は自分以外は読めないようになっているんだよ」
「・・・そうか、悪用も防ぐってことですね」
「さすが、ユズルは頭が良い、欠点とか長所とか見えてしまうからね、今後の努力で長所を伸ばすか、欠点を補正するか、本人の気持ち次第だ」
「わかりました」
ユズル=サイトウ、12歳(水)神歴6008年9月9日生
神歴6020年9月9日鑑定結果
適性【??玉造師】称号【迷人、苦労人】加護【エ・・】
体力E、魔力B、武力E、技力D、知力A、運力F、努力E、他力E
(6段階評価、A100,B80,C60,D40,E20,F0)
玉造師って何!!不運は運力Fかよ!!責任者出てこい!!ごら~~~。