第16話 野良ダンジョン2
「コレはお前の分だ」
「え?刀?」
「こっちで刀匠さんを見つけたのよ、魔鋼つかってるからすごい切れ味」
「すげえ嬉しい、欲しかったんだ、ありがとう」
「キンタ○はできたのか?」
「むむ、コレをやる」
「なんだこりゃ」
「『中級回復玉』『中級魔力回復玉』『中級解毒玉』『麻痺状態回復玉』『催眠状態回復玉』それぞれ20個セット、まだ秘密だからな」
「へ~」
効能と使い方をしっかり教えた。
買えば二人分で金貨40枚は下らないだろう。
もしダンジョンコアの欠片でも手に入ったら欲しいと伝えた。
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翌日から移動、オレは一応先頭でエリアサーチ、
範囲が少しずつ増えているのは魔力増量効果か、経験値アップか。
親父はなんかスキルを使って怪しいモノに反応している。
愚姉は相変わらず、戦闘じゃないときはだらけてる。
しめしがつかんだろ!!
オレは地図に薬草の群生地や魔獣が潜みそうな場所を書き留めたり忙しい。
木材を運んでいる一団ともすれ違った。
親父と愚姉が姿を消し、戻ったらC級キングボアを担いで戻った。
今夜の飯だって、はいはい。てか、300キロはあるぞ、それ!
野営して翌日到着、王都から北北西の位置だった。
小山の中腹の切り開いた空き地があった。
リーダーの指示で邪魔な切り株を掘り起こし平らに均す仕事だ。
オレたちはガンガン魔法を使い、みんな驚いていた。
予定通り、魔力切れで終了。もう一粒飲み、翌朝には全回復だ。
魔力切れの後全回復で~101%。
20回やれば1ランクが上がる。
オレはすでに魔力Aランクは超えているはずだ。
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「じゃ、行ってくるぜ」
「期待しててね~~~」
『ホクトセイケン』は伝統のあるパーティ。
入れ替わりもあって、最初のメンバーは居ないそうだ。
6人組で助っ人含めて7人、リーダーはしっかりしていそうだ。
9人は手を振って、潜っていった。
入り口に向かって柵と空堀、他は昨日に引き続き整備を始めた。
コアが無くなると拡張空間が消え、中身が押し出される。
つまり、広く開けて壁を作り、外に出る魔獣を狩ることになる。
潜った一行は、引き継いだ地図があるのでスピード重視だ。
「父ちゃん、あんま居ないね」
「前の連中が結構狩ったたんだろ」
「そうか~」
「まだ罠もない、サクサク行きますよ」
「おお~」
父娘は冒険者が好きなタイプ、騒いだり楽しむ方だ。
上位ランクになるとお互いどこらへんのレベルかはだいたいわかる。
迷宮と言うよりは四つの部屋をつないだだけのような一階層、
雑魚モンスターもまばらだった。
二階層も同様、地図で三階層は罠のある廊下の長い階になっている。
モンスターは少し本格的なオオカミ系と昆虫系に変わった。
前衛のランコが刀を振るい、落ちた魔石を後ろが拾うパターンだ。
後衛のゴウジもあくびをしながら、時々上を確認する。
「お~い、上にサソリがいるぞ~、コニー頼むわ」
「は~い」
魔導師が広範囲の中級火魔法でパタパタ落とす。
死にきれないのは慎重に遠くから叩き潰した。
「五階まで四部屋パターンだな」
「そうっすね、どこかに隠しドアがあると考えた方が良いっすよ」
前のチームは進んだのは良いが、九階層まで行って行き止まった。
戻る途中で見落としていた罠もあり、
時間を潰して心が折れてしまったらしい。
なので、中位魔法フェイクサーチをかけ各部屋を探る。
そのために、補助系魔導師は二人用意したのだった。
五階まで行って廻ったが、隠し扉は見つからなかった。
「おっかしいな」
「一応六階を廻って確認したら五階に戻ろうか」
「はい」
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「少し早いけど野営の準備、五階のこの部屋はが良さそうですね」
「だな」
「五階で罠はいくつあった?」
「五ヶ所です、部屋の中に一ヶ所」
「そいつはよけたんだよな」
「ええ」
「リーダー、おかしくねえか?」
「群れを呼ぶ罠だったら、魔獣少なくて意味無いですね」
「明日確かめようよ」
「うん、それあたり、いい感じする」
ランコは知恵は無いけど勘は鋭い。
「なんか、悪口言われた気がしてむかついた」
「え?」
「いえ、こっちのことよ、おホホホ」