第15話 野良ダンジョン1
「実はですね、Fランク冒険者の昇格ポイントをクリアしていまして、今まで一年生では無かったのですが、Eランクに昇格させてはどうかという話があります」
よっしゃ、いいぞ!
「学園の方にも話をしてますけど、討伐でEランクの上、Dランク魔獣の相手ができるかどうかが問題だと・・・それで・・・」
「どうせ、全員、出場するつもりだったので、好成績の判断基準は?」
「それが難しいですね、パーティではないので、先生方もそこら辺はわかっているのかいないのか」
「じゃあ、五人中三人がベスト8だったらでいいか聞いてみてください」
武闘大会と魔法大会参加は申し込んである。
さっそく、ギルドの食事処で作戦会議だ。
「二週間合宿がいいわ」
「海に行きた~~い」
「あのな、魔力底上げのため魔法をぶっ放すんだぞ、下手なところではできん」
「ちぇ!!」
「学園も結界を常に張ってるわけじゃないからね」
「やっぱ、北の森かな」
「慣れてるし、ハイマナ草も欲しいしでしょ?」
「上級冒険者と一緒にって考えてるんだけど」
「サエルミア先生とキュリお姉様も一緒?冒険者カードは持ってるわよね」
「先生は活動少なくて降格E、キュリさんもまだF」
「じゃあ、ゴウジさんとランコさんに・・・」
「し~~~~その名を口にするな、不幸の匂いが・・・う!」
「どうした?」
背筋に寒気がする。まずい!!
「あ!見つけた!」
「よう、ユズル!」
本当に不幸がやってきた・・・マジかよ!!
親父、またなんか厳つくなってるし、スキンヘッドはやめたみたいだけど。
愚姉は相変わらずおかっぱ、でも、一応口紅塗ってるみたいだぞ?
二人とも装備が豪華になってる。儲かってるのか~~~。
「・・・でね、どうせ、乗り換えがあるから、3日ぐらい遊ぼうって、嬉しい?」
いや、なにも・・・。
「迷宮都市ラウクタウンへの遠征なら、関係なくて良かった」
「なに!」
「いや、こっちのこと」
「おい、クエスト見てきたんだが、B級で野良ダンジョンってのがあった。
面白そうだから受けてみるか?」
「え~~~」
迷宮あるいはダンジョンは、コアと呼ばれる疑似生物が作り出す。
魔素濃度が高い場所に現れる。
史実上数千年のものが、各12王国には2~3個を数える。
イース王国では最も古く規模も大きい迷宮都市ラウクタウン、
中規模がアルスとノルス、小規模が北の森の奥深く北北東にある。
見つかったのは野良ダンジョンという100年未満のものだ。
コアの成因や成長速度は謎な部分が多い。
育てるよりは潰した方が後々のためという意見が大勢で、
討伐されたダンジョンコアの素材が売り買いされている。
「聞いてきたけど、王国では数十年に一回ぐらい出るらしい」
「踏破に5日ぐらい掛かるって書いてあるよ」
「そうかな~」
「今、C級B級合同パーティが潜ってるって噂だったけど」
「てか、失敗したから、クエスト再張りじゃないの?」
ダンジョンコアは、欠片でも手に入れて貴重な玉を造りたい。
風精霊の『空の種』木精霊の『時の葉』もそのためだった。
「道と入り口廻り、Fパーティでも仕事募集だって」
「切り株整備と土壁造りは土魔法の出番だな」
「割と美味しくない?」
「食糧支援と警備付きか」
受付のお姉さんに事情を聞いてみた。
確かに踏破失敗、迷路は狭く深いらしく長期戦が予想されている。
道路と入り口の整備は始めたばかりで人手は欲しい。
上位魔導師が同行。サエルミア先生とキュリもメンバーだった。
「リーナ、聞いてないの?」
「そういえば、仕事で何日か空けるって、てへ!」
「・・・長期で森の奥だからちょうど良い、土魔法はみんな使えるよな?」
「あたしはムリ」
「メリルは力仕事要因よ」
「やっぱ、そうなるか、ちぇ!」
「いや、身体強化スキルも魔力を消費するから」
「うん、ジェフもね」
「ああ、やっぱ・・・不幸じゃないのコレ」
「し~、親父と姉貴は、受けるんだろ?」
「おう、メンバー交代でB級の『ホクトセイケン』と合同だってさ」
「ん?」
確か・・・親父が好きなアタタタタ?マジ気になる名前だ。