第13話 エルフの大魔導師サエルミア1
入学してから約半年、オレたちは冒険者のクエストと勉学に励んだ。
自分の適性を伸ばし、欠点をどうするかが課題だ。
能力値の聞き取りはしている。
魔力はあって困るモノでもない。やはり方法を教えよう・・・。
リーナとユリアはほぼ同じく体力が低い、運動は苦手だ。
杖術で運動癖をつける。
メリルは予想通り脳筋タイプ、長所のコモンスキルを伸ばす。
ジェフはたしかに平凡で接近戦は苦手そうなので、弓を習わせる。
オレは武力は武器のせいもある。馴染みのある刀を手に入れよう。
武器を調達する金が一番の問題かな。
回復玉を市場に出せたら儲かるけど・・・。
それにつけても運が・・・トホホ。
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「キュリさん、お話って?」
「ええとね、あたしの師匠のこと知ってる?」
「え、いや」
「ユズル君と会いたいって、忙しい人なんだけどね」
「ええと、オレは何時でも良いんですけど」
「じゃあ、今から」
「うえ!」
「ちょっち、人見知りでとっつきにくいけど悪気はないからね」
学園からほど近いアパートメントは住んでいる先生方も多いらしい。
「ちょっと、合鍵?」
「普通に呼び鈴押しても、出ないからね」
慣れた様子、食材の仕入れや身の回りの世話もしてるらしい。
「師匠、ユズル君が来ましたよ、師匠ちゃん」
ちゃん?もじもじしてる青髪緑目の貧乳ロリが師匠?
あ、耳が尖ってる、エルフ族なのか??
「あ、あの、ユズルと申します」
「ユズル君、そこに腰掛けて、師匠はそっち、ハーブティをいれますね」
「あ!・・・わ、わしが、師匠のサエルミラじゃ、よく来てくでだ、う!」
噛んだ!・・・サエルミラって聞いた名前だぞ・・・あ!
「先生、『サエルミラ魔導書』をお書きになった?」
「そ、そ、そのとおりじゃ」
「姉から贈られて読み進めております」
「それはうれしいれふ」
また噛んだ。緊張してるのか?
「はい、お待たせしました」
サエルミラはカップを両手で持ちフーフー。
高名な大魔導師には見えねえお子ちゃまじゃねえか。
「ええと・・・エルフ族は五精霊の加護で精霊魔法を使うと聞いてますが」
「そ」
「先生は人族の魔法に興味を持ちイース王国に渡って100年になります」
「98年じゃ」
う!年寄りじゃネエか、なんでそんなに緊張症なんだよ。
「先生は水精霊の加護をお持ちですか?」
「風水木じゃ」
「なら、『授の滴』をお持ちですか?」
「・・・なぜそれを知っておるのじゃ?」
「ええと、調べて・・・その、造りたいモノに必要で・・・」
「ふむ」
「あの、ついでに風精霊の『空の種』木精霊の『時の葉』もお持ちでしたら」
「手持ちはない・・・あまり使わぬしの・・・やはりか」
やっちまったか!やべ~~。