第12話 回復玉できた~
早速、常時クエストを受ける。美人の受付のお姉さんも優しい。
「講習を受けられますか?」
「授業で習ってますから大丈夫です」
「それならお任せしますけど、くれぐれも森の奥へは立ち入らないように、せいぜい100メートルまでですからね」
「はい、わかりました」×5
傷・体力回復のエリ草、魔力のマナ草、解毒のキア草、魔獣はカエル系や低級スライムをターゲット、F級だがG級と言うべきな奴らだ。
『玉造の書』に、回復玉関係はブルースライムの魔石と調合するのがベストと書いてあった。
「お、一年生か」
「なかなか、早いじゃないか」
「ええ、まあ、ご心配ありがとうございます」
生暖かい視線、だよね~~。
「なんか、ピクニックみたいだな」
「天気も良いしね」
「虫系魔獣が居たらやだな」
「絶対ムリ!」
「居るぞ、あそこに居るのは枝のこぶに擬態してるハンター蜘蛛の一種だ」
「ぞわわわ~~~」
愚神に言われてから、顔が親父や愚姉に見えてしまうゴキブリよりましだ。
小さい虫より大きい虫魔獣の方が安心出来るのは気のせいか。
愚姉にもらった『サエルミラ魔導書』から、有用な魔法を習得した。
愚神と『書玉』を造ったおかげか、魔力の扱いが格段に良くなった。
魔力を薄くのばし範囲を広げるイメージ、図鑑でイメージ出来たり実物を見たり触ったりした物は、その範囲でなんとなく判別出来る。
レベルが上がれば、もっとはっきりわかるらしい。
魔法ではエリアサーチ、スキルとしては【魔観】と呼ぶ。
今のオレの魔力だと前方50m四方ぐらいはカバー出来た。
「こっちだ」
「え、え?」
「植物図鑑に、エリ草は日陰であまり湿気のない場所に生育するって」
「ユズル君すごい!」
魔獣ポアフロッグ、名前は恐ろしいが毒もなく強い蹴り足で体当たりをしてくるだけの大ガエルは、湿った草むらに潜んでいる。
「アイスブリード!」
魔導師系のユーリとユリアの水魔法で動きを止めて、後は三人でプスプス刺してとどめ、太もも肉は美味しいので実入りも大きい。
スライムも同じく、半冷凍で動きの鈍いスライムから核である魔石を抜いて種類毎に専用瓶に入れて回収する。楽勝だ。
パーティ名は『エンゼルハート』
男二人の意見はむなしく却下された。
ともかく戦果を持ち帰り、受付のお姉さんに褒められたのだった。
オレは一部を持ち帰り、翌日は回復玉造り。
『玉観』は、必要原料の質と量の見極め、
効率よく作業するためのスキルだ。
エリ草とブルースライムの魔石の量を調整して、
魔力注入の感覚『玉練』で一つにまとまり凝縮、
薄青光を放つ直径一センチほどの丸い玉が5個できた。
『書玉』と違い、不純物が手のひらから抜け落ちた。
『玉観』は、モノの鑑定もでき、
ちゃんと『初級回復玉』5個が完成していた。
やったぜ、オレ!魔力は10分の1ぐらいしか使っていない。
だったら、10倍の原料で一回やれば魔力切れをおこすはずだ。
翌日からサボりで、単独行。
北の森の魔素の濃い奥でエリアサーチを駆使する。
ヤバそうな魔獣は避けて、ハイマナ草の群生地を見つける。
目に付く薬草も全て採取し、かなりの成果だった。
魔力切れはある程度回復するまで倦怠感と頭痛発熱などの体調不良が続く。
自然治癒するので、高価な魔力ポーションは使わないのが普通だ。
オレはあらかじめ『中級魔力回復玉』を飲んで、魔力切れをおこした瞬間に回復という手法で魔力量の増加を画策したのだった。