第10話 大神官の見立て
「失礼致します、例の少年が参りましたのでご案内致します」
「うむ、聖騎士は同席しなくてよろしい」
「しかし・・・わかりました」
大神官ミルスキムト十五世は就任時に本名を捨てている。
神の代理人としての地位と名誉だ。
オレはビクビクして執務室に入り、示された椅子に腰掛けた。
「さてと、わたしの鑑定スキルはランクSだ。
転写した魔紙を読めるのはわしとお主だけだが良いかな」
「はい、よろしくお願いします」
「では、目を閉じて」
ユズル=サイトウ、12歳(水)神歴6008年9月9日生
神歴6020年9月9日鑑定
神歴6020年12月27日鑑定結果
適性【?小玉造師】
称号【迷人、苦労人】
加護【愚神A】
体力D ↑↑ 知力A ↑=
魔力B ↑= 運力F ↑=
武力E == 努力E ↑=
技力C ↑↑ 他力D ↑↑
コモンスキル 【足捌C 、俊足D 、強化E 、剛力E 、斬撃E 】
パーソナルスキル【玉観F、玉錬D、玉鍛F】
エクストラスキル【】
エクステンション【ーーーー】
「う~む」
「あ、あの、変なこと書いてありましたか?」
「ごらんなさい」
結果を転写した魔紙を受け取った。
「あ!スキルもわかるんですね」
「わしが初めて見る物がいくつかある、まずは適性の?小玉造師、最初の?は成人後のランク、小は、中、大と続くレベルを表すと思うが、玉造師は初めてだ」
「やっぱりでしたか・・・」
もうわかりましたとは言えないよな・・・。
「ん・・・それから、加護の愚神A、賢神ならわかるが、初めて見る」
ご、ごめんなさい、怒られる!!・・・エーズが助けてくれたからだよな。
「パーソナルスキルは適性に関わる物・・・エクステンションは問題だ」
「え?」
「【ーーーー】はランクSでもわからないと言うことだ。
つまりランクSS以上のモノと言うことだよ」
「は、はい、わ、わかりました」
「ん?」
「いえ、わからないのがわかりました」
「むう、よかろう・・・お主には何か秘密がありそうだが、今は聞かない」
「ふう・・・あの、能力値の横の矢印とかは?」
「左は上がっているか、右は前回より上がったかだよ。
=は変わらない、↓は言うまでもない。
今回は武術を一生懸命やっていたのがわかる。
それに、誰かに助けを求めて助けてもらえたね。
自分で努力してもどうしようもないときに、
素直に助けを求めることも、能力の一つと心得なさい。
努力していれば助けがくるとも言える」
「大変よくわかりました。ありがとうございます」
「ではまた、来なさい」
「は、はい!」
大神官ミルスキムト十五世は、言わなかったが、
パーソナルスキルの一つがDになっていたことに着目していた。
『玉造師』が何であるか知らないと、スキルを使うのは不可能だ。
あの少年には注目すべき何かがあると思ったのだった。