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好みの香り  作者: おみくじ
2/7

禁断の遊び

 アリスが爽太のクラスに来てから2週間がたった。

 アリスは日本語がまだ不慣れなこともあり、爽太のクラスとは別の教室で授業を受けていた。爽太のクラスにやって来るのは朝と放課後のホームルーム、昼休みぐらいだったが、アリスはクラスの女子全員ととても仲良くなり、人気者になっていた。

 可愛くて美人なルックスなうえに、好奇心旺盛でいつも明るい笑顔。日本語があまりしゃべれなくても、クラスの女子達と大袈裟なジェスチャーで笑いながら会話を楽しんだり、かと思うと、ちょっとしたイタズラや変顔などをして周りの皆を笑かすなど、もはや女子達にとってアイドル的存在だった。

 もちろんそれは爽太を含めた男子達にとってもそうで、アリスとお近づきになりたい気持ちがあった。だがクラスの男子達はアリスと中々話す機会がなかった。

 それはアリスがクラスにいる僅かな時間を、女子達が毎回独占してしまうからなのだが、その様子はまるでアリスを男子から守る壁かのごとく立ちはだかった。アリスは男子ともしゃべろうと近寄ろうとするのだが、周りの女子達がそれを許さなかった。

 アリスはその度に不思議な顔をしていた。

 一体どうしたの? といった様子で。

 転校してきたばかりのアリスはこのとき知らなかったのだ。爽太のクラスの男子の間で流行っていた遊びを。その遊びはアリスが来てからピタッと鳴りを潜めていたことを。その遊びは女子を敵に回す禁断の遊びだということを。

 だがその禁断の遊びは、アリスの初めての掃除当番の時に、封印がとかれることになる。竹本爽太の手によって。

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