第19話「誕生日というもの」
「なあ、テオよー。座学というのは本当につまらんなー……」
「まあ、科目にもよるけどね。歴史の話なんかは悪くないって思うけど」
「大昔にあった出来事になんぞ興味ないぞ、余はー。ミルディアナの時のようなことがあれば、暇潰しとしては悪くないが」
すべての授業が終わった時、他の生徒たちが退室していく中でロカと僕だけが残ってそんな雑談を交わしていた。
ロカは机に顎を乗せて、いつもはピンと立てている狐の耳もどこか元気がなさそうにひくひくと動かしている。尻尾もだらんとさせてるし、よっぽど退屈だったんだろう。
「そんなに暇ならこれから僕と稽古でもするかい?」
「んー……悪くはないのだがなぁ、今日はそういう気分にもなれんのだ……」
「珍しいね。いつもなら犬みたいに尻尾を振って飛び付いてくるのに」
挑発をしてみても、彼女は頬を机にぺったりとくっつけながら微動だにしない。
一見すると、やる気がないようにしか見えない。でも、どこか心ここにあらずといった印象を受けた。
まるでどこか遠い場所に想いを馳せるかのように。
「やっぱり、ルーガルのことが気になるかい?」
「……んむ。皆は元気にしているのかと思ってな……戦時中に元気も何もないとは思うが」
詳しくは知らないけど、ルーガルとキアロ・ディルーナの戦には帝国軍が割って入るらしい。
北方の大元帥と東方の元帥の両名からなる大軍勢を投入して、ルーガルを全面的に支援するとか。
それだけを聞けばルーガルにとってはこの上なくありがたいことである。
だけど、裏を返せばこれは有り得ない事態と言ってもいい。
帝国は北のゼナン竜王国と停戦状態になってはいるものの、いつまた戦が起きてもおかしくはないからだ。
にもかかわらず、わざわざ北方の軍勢をルーガルへと送り込むという。
普通なら有り得ない選択だ。無論、僕が総司令官――大元帥よりも上の立場となると今は皇帝か皇太子になるか――の立場ならそんなことは絶対にさせない。
戦力なら東方の軍勢だけでも事足りる。むしろ北方の大軍勢まで率いれば、食糧や物資の準備に時間はかかるし、費用もかさむ。
そこまでする理由が単にルーガルを支援するだけというものであるはずがない。
これではまるで、帝国がキアロ・ディルーナ王国そのものを滅ぼそうとしているようにも見えてくる。
確かにギスランという稀代の魔術師が帝国に甚大な被害を与えたのは確かだけど、少なくとも今の状況に関してはあの者の行動を反映したそれではない。あの事件は起こってまだ1ヵ月ほどだから。
ならば、帝国がそこまでルーガルに肩入れする理由は何なのか。
今の情勢をあまり知らない僕にとってはそのへんも気になるところだ。
……でも、すぐ近くにもっと気になる存在がいる。
僕がふと教室の出入り口を見ると、そこから顔を覗かせていた真っ白な少女と耳の長い少女がさっと物陰に隠れた。
何やってるんだろう、あの2人……。うん、いや、さっきからずっとああして僕とロカを見ているだけなんだけどちょっと不気味だ。
いつものシャウラなら僕がロカと2人きりで話をしているだけでも我慢出来ずに飛び出してきそうなのに、今日は我慢しているようだ。そして一緒になっているエルフっ娘のこともよくわからないけど気になる。
「ロカ。あの2人は何をやってるんだと思う? ……ん?」
見ると、ロカはそのまますやすやと眠りこけていた。
いつも授業中に寝ていても何だかんだで周囲を警戒している様子のそれではなく、本当にただ寝ているように思えた。
試しにそっと彼女の黄金色の髪に触れてみる。さらさらした心地良い感触が伝わってくるものの、ロカがそれを嫌がる素振りは見せない。
どうしたものかと思ったものの、流石にこの状態の彼女を起こすのも気が引ける。僕は気付かれないようにそっと席を立って教室を出ると、脱兎の如き速さで逃げ出した2人の少女をとっ捕まえるために走り出した。
3分後。
右手でシャウラを、左手にリズを捕らえてから言った。
「どうしてあんなことをしてたんだい?」
「え、えーっと、それはー……」
「ふん、あんたに教えることなんか何もないわよ。それよりも離して。穢れが移るわ」
「触ってるだけじゃ別に穢れないと思うけどね。なんなら」
僕はシャウラの耳元で囁いた。
「『君の中』から穢してあげてもいいんだけど?」
「……っ!? この! 私を侮辱するつもりかしら!?」
「冗談だよ、冗談。それで一体どうしたのさ」
そっぽを向くシャウラを見ていると、リズが助け舟を出した。
「いや、実はさ……これこれこういう事情がありまして」
リズから話を聞かされて僕は思わず首を傾げた。
「ロカが喜びそうなもの?」
「そそ。何かないかなーって。あ、戦うとかそういうのじゃなくて、モノだよモノ! プレゼント! あたしも今朝になってからシャウラに色々と聞かれたけど、上手く思いつかなくてさ」
「そんなものはロカの傍に一番長くいる君にならわかるんじゃないかい?」
そう訊ねると、シャウラはむっとした様子で言う。
「確かに私はロカと一緒にいるわ。こう見えて、あの子の敏感な部分や性感帯だってちゃんと把握してるもの」
「そういうところにばかり気を取られて他のことはよくわからないとか?」
「……ちっ。そうよ、どうせ私にはあの子のことなんて何もわからないわよ。なーんにも!」
シャウラが突き放したような声で言うのが意外だった。
「最近はぼーっとしてることが多いし、いつもは喜んでくれそうな料理なんかを作ってみてもいまいちなのよ……」
「シャウラは胃袋を掴んどけば大丈夫だって思ってるみたい。あたしは貴金属とか衣装とか提案してみたんだけど、それもダメそうだって。ロカって飾りっ気はないけど、ちゃんとした服装をすると結構可愛らしいお姫さまになると思うんだけどな~」
「つまり君たちは最近どこか調子の悪そうなロカを元気づけたいってことなのかな?」
「そそ。ただ、状況はそれだけじゃなくてね」
「……ロカの誕生日なのよ」
「誕生日? へえ、いつ?」
「今日」
これはまた急な話だ。
つまりこういうことかな。最近のロカは元気がないから何とかしてあげたい。しかも今日は誕生日当日。元気づけるにはこれ以上ない日だと。
……僕は魔族だからそういう慣習には疎い。
そもそも僕たちがこの世に顕現したのがいつだったかすらも曖昧なほどだ。正確な日付も時間もよくわからない。
どうやら魔族たち以外にはそういう誕生日などを祝うという慣習があって、王族から庶民まで誰もがそれを意識していると知ったのは妻を娶った後になってからだ。
誕生日というのは特別な日らしい。
だからとりあえず僕は妻たちの誕生日にはささやかな祝い事をしたり、何かしらのものを与えたりする。
第一夫人のルミエルは天使ではあるものの、人間たちの慣習には慣れ親しんでいるらしいからとりあえず適当な日を誕生日にして色々と盛り上げることもあったりする。あまり適当過ぎると心が籠もっていないと言って不機嫌になるから少し大変だ。
レナはとにかく喜ぶ。何をしても何をあげても喜んで、いつものお淑やかで冷静な様子とは違って大はしゃぎする。
そんな様子を見たルミエルに『だ~りんから貰ったものならゴミでも喜ぶんじゃない?』と言われて、宮殿が半壊しかけるほどの大ゲンカになったのはいつだったか……。
そしてそんなケンカを止めたのは第二夫人たるジゼルだった。
彼女は無邪気で残酷な面もあるルミエルや、淑女のように見えて実際には感情表現豊かだったり堅物だったりと色々な面を持つレナとは違っていつも控えめだ。
そもそも誕生日という祝い事そのものにあまり興味はないらしい。祝えば喜んでくれるが、たまにうっかり忘れてもまったく気にしないあたりがルミエルやレナとは違うところだろうか。
ジゼルは今頃どうしてるだろうか。時と空間を操る道を究める彼女の探究心は計り知れない。体内に有り余るほどの膨大な魔力を空にするまでひたすら鍛錬に励んで気が付いたら気絶している時もある。
そうならないように大掛かりな実験や鍛錬をした後にはしっかりと休息をとるように伝えている。
現に僕とレナがテネブラエを出た頃も彼女は宮殿の地下深くで静かに眠っていたはずだ。いつもならとっくに起きている頃だったけど、今回は10年以上は眠り続けているから少し長い。
「――オくん、テオくーん」
「ん、何だい?」
「もー、今までの話聞いてなかった? とりあえず今日の夜はロカの誕生会をしようって話」
「プレゼントも決まってないのに?」
「そこはそれ。寮の厨房を借りて、美味しい料理を作ってあげようと思ってさ。現状何も思い浮かばないから、結局シャウラが言うように美味しいものでも食べてちょっとお酒でも飲めば少しは元気になってくれると思うんだよね。もちろんみんなでお祝いの言葉も添えてあげる感じで!」
どうやらリズはやる気満々のようだ。
何だかんだで世話焼きなところが彼女らしい。
「というわけで、テオくんも食材の買い出しとか色々手伝ってくんない? 急な話で悪いけどお願い! この通り! ほら、シャウラも」
「……くっ、わかったわよ。お願い……できる、かしら」
「君がそんなに素直に言うなんて珍しいね。よっぽどロカのことが気になってるのかな」
「そ、そうよ!? 悪い!?」
「悪いわけはないさ。いいよ、僕も手伝おう。キースにも聞いてみるよ」
そんなわけで僕たちはキースを誘った後、急いで街へと買い出しに出かけた。
「女性へのプレゼントか……難しい話だ」
「キースは帝国の貴族だし、貴族同士の交流もたくさんあるから何か参考にならないかなと思ったんだけど」
街中を歩きながら問いかけると、キースは少し困ったように呟いた。
「確かにパーティーなどでは女性との交流も少なくはないが……俺はあまりその方面は得意ではなくてな。何度か相手を不快にさせてしまったこともある。何が原因なのかの自覚がないのが恥ずかしい限りだが」
「なんとなく想像はついたよ」
キースらしいと言えばキースらしい。
ちなみに僕たちは食糧の買い出しを行なっている。リズとシャウラは飾り付けのための小道具なんかを探してくるらしい。
「僕も彼女たちと話したけど、どうにもいいものが思い浮かばなくてね。でも、とりあえず、誕生会を開催するだけしてみようって話になったんだ。ロカが元気になるかどうかはわからないけど、少なくとも気持ちは伝わるでしょ――ってリズが言ってたよ」
「うむ。悪くない話だろうな。俺としてはプレゼントなぞなくとも誕生会を開くだけでも十分だと思っている。形ある物がなくとも、相手を祝福する想いは必ずや届くものだ。自然とシャウラの気持ちも伝わるのではないか。金や物品では得られないそれは何よりも大事なもののはず」
「……なるほど。そういう考え方もあるんだね」
人間や獣人たちの感情というのは複雑怪奇にしてなかなか面白い。
もちろん個々人の価値観の違いはあるだろうけど、悪くはない考え方だろう。
「しかし、獣人の食の好みについては俺も詳しくは知らんが……やはり肉か?」
「まあ無難に言えばそうだろうね。シャウラが言うには好き嫌いなくなんでも食べるみたいだけど……」
そういえば、以前ミルディアナの地で彼女たちと一緒に街中に出かけた時、ロカはパンケーキを美味しそうに食べていたのを思い出した。
多分甘い物も好きなんだろう。
そんなことを考えながら歩いていると――。
「これ、エリック! あまりクラリスちゃんの手を煩わせちゃいかんよ!」
「ご、ごめんって婆ちゃん! それからちゃん付けはやめてくれ! このお方は少尉の肩書きをお持ちなんだから……!」
「構いませんよ。少尉とは言え、未だに仮の身ですし。何よりも領民の方々に親しみを持って頂けるのは私としてもとても嬉しいことですから」
どこにでもありそうな古びた家の前に、見覚えのある金髪の少女がいた。
そして傍にいるのは若い男性と老婆だ。口振りからして、祖母と孫だろうか?
「ごめんねえ、クラリスちゃん。エリックはやる気だけはあるんだけど、ちょっと身体がついていかなくてねえ。毎日毎日あたしが起こしてあげないといつまでもぐーぐー言って」
「婆ちゃん! 余計なこと言わないでくれって!」
そのやり取りを見て、クラリスはくすりと笑った。
「それはいけませんね、エリック二等兵。これからは自分一人で起きられるようになるのが最初の課題と言ったところでしょうか」
「ふ、フレスティエ少尉まで……! 俺、どうしても朝は弱くて……」
「たまに寝坊して遅刻しますからね、貴方は。なんなら私が直々に叩き起こしに来てあげましょうか。これならお婆さまのお手を煩わせることもありません」
「あらぁ、それは助かるわぁ」
「こ、今度からは気をつけますんで勘弁してください……!」
その場は和やかな雰囲気に満ちていた。
やがて会話を終えて老婆が家の中に戻って行くと、クラリスとエリックと呼ばれた青年は並んで歩いてきた。
「さて、お婆さまの手前叱ったりはしませんでしたが、今はこのグランデン周辺で何かが起こっているのは確かです。今度からは気を引き締めるように」
「は、はっ! 以後気をつけます」
「よろしい。それでは巡回を続けます。ついてきなさい」
よく見るとエリックと呼ばれた彼の方が年上のようだ。
二等兵というからには軍学校を卒業しているだろうし、話しぶりからして恐らくはクラリスが任されている小隊の一員だろうか?
クラリスがこちらに向かってきて僕と目が合う。
隣にいるキースにも視線を向けてから訝しげな顔をした。
「テオドールにキース? どうしたのですか、このような時間に2人でうろついて」
「いや、俺たちは」
「クラリス。実はちょっとした急用が出来ちゃってね。どうしても甘いものを用意したいんだ。良かったら君がオススメする店を紹介――むぐっ」
物凄い勢いで走り出してきたクラリスが僕を民家の壁に打ちつけながら口を抑えてきて、人差し指を立てながら何も喋るな、喋ったら殺すぞと言わんばかりにシーッ、シーッと必死に息を荒くする。
僕がこくこくと頷くと、クラリスはふっと何事もなかったかのような表情に戻ってから改めて僕に向き直った。
「……さて、それで一体何が目的なのです?」
用件を伝えると、クラリスは頷いた。
「なるほど。妙案ですね」
「良かったら、クラリスもどうだい? 参加者は少しでも多い方がいいと思うし」
「いえ、私は神殿の警備をしなければなりませんので……」
「この街中の、だよね。神殿の襲撃は既に4件起こったって聞いてるよ」
「……! 相変わらず、話が早くて助かります。お招き頂けたのは嬉しいですが、残念ながらそういうことなので。ロカには後日祝福の言葉と何か簡単なプレゼントでも用意することにします」
僕たちがそうやり取りをしていると、キースが少し慌てた様子で言った。
「待て待て、何だ。また神殿の襲撃が起こったのか? 学園内でもその噂で持ち切りだったが、4件目が起こったとは聞いていないぞ」
「……まあ、貴方に聞かれて困ることでもありませんからいいでしょう。その通りです、既に襲撃は4件目。このグランデンの西方にある神殿が壊滅したそうです」
「下手をすれば、また神殿の襲撃が起こる可能性が高い。警備は万全なのか?」
「万全であればいまこの街に私はいないでしょうね」
少し含みのある言い方をしてから、クラリスは歩き始めた。
「そういうわけなので私はこれにて」
「オススメの店は教えてくれないのかな」
「な、何のことだかわかりかねますが……」
クラリスは僕の耳元でひっそりと御用達のお店を教えてくれた。
すぐに身体を離した彼女はこほんと咳払いしてから颯爽と歩き始める。
「さあ、エリック二等兵。行きますよ」
「はいっ!」
彼女たちの後ろ姿を見送った後、キースが言った。
「……テオドール。まさか、また何かが起こる前触れなのではないか……」
「さあね。現状は何とも言えない。襲撃してる奴が何を考えてるのかもよくわからないしね。ただここまで続く以上はこう考えた方がいいかな。いずれはこのグランデンの街内部にも被害が起きると」
そう告げると、キースは深刻な顔をして考え事を始めてしまった。
……しまった、思わず口走ってしまったけどこれではいけない。
せめて今日くらいはそういうことは忘れてロカの誕生日を祝ってあげないといけないんだから。
僕は考え事に耽るキースを促して街中を歩き始めた。
☆
「ふ、フレスティエ少尉。先程の者たちはミルディアナの特待生でしょうか」
「そうです。どこで情報を仕入れたのか、既に神殿の襲撃事件のことも知っている様子。機密事項とは言え、知られたところで何がどう変わるわけでもありません」
「確かにそれはそうでしょうが……」
クラリスは相変わらず神殿の警備を任されていた。
しかし今はまだ完全に日が落ちていない。危険があるとすれば夜だろうと判断して、今は街中で不審者がいないかどうかなどの確認を行なっている。
と、その時。
「おー、そこのパツキンのお姉さん!」
「なっ……わ、私のこと、ですか?」
「そーですそーです!」
路地裏でいきなり話しかけてきたのは、軽装に身を包んだ少女だった。
紫色の髪を編んだ背の低くて可愛らしい少女は少しだけ困った様子で問いかけてくる。
「つかぬことをお伺いしますけど、このへんで変な奴見ませんでしたかー?」
「そんな者がいたら私が連行しています」
「そういや、それもそうですよねー……う~ん、ハインの野郎どこに行ったんですかねぇー……」
「ちょっと待ってください。変な奴とは知り合いなのですか?」
「ん、まあそんなものですー。トトと一緒に冒険してるハインっていう野郎でして。あ、トトはトトって言います。よろしくですよー!」
「え、ええ、よろしくお願いします……」
元気溌剌とした少女に気圧される形になったクラリスだったが、すぐにはっと我に返って問い返す。
「その連れのお方はハインという名前なのですね? 具体的な特徴は?」
「えっとですねー、全身黒尽くめで痩せぎす長身の野郎ですー。いつもフードを被ってるんですが、髪は白髪に近い感じで背中にはでっかい剣を括りつけてますー!」
「一目見ればすぐにわかりそうな感じがしますね。不審者のようにしか思えませんが……」
「もー、不審も不審ですよー! トトだってあいつが他人だったらぜってー近寄らないですもんー!」
「そ、そうですか。まあ、貴女のような人が傍にいるなら大丈夫な気もしますが……一応見かけた時のためにも連絡先を教えて頂けますか? 確か先程は冒険者だと言っていましたね?」
「そですそですー! 今はフクロウの止まり木亭って安宿にいるんで何かあったら教えてくれますかね?」
「わかりました。私たちは現在街中を巡回していますので、期せずして発見出来るかと」
「マジでありがてーですー! それじゃまたー!」
呆気に取られるクラリスをよそに、トトはさっさと走っていった。





