第15話「若輩者」
グランデンの軍学校の雰囲気にもだいぶ慣れてきた頃合い。
相変わらず授業はミルディアナと同じような感じでつまらないけど、この街はこの街で悪くはない。
とりあえず現在の城塞都市内の構造でも覚えてみるかと思って校舎を出た時、聞き覚えのある少女の声がした。
「納得行きません!」
校舎の裏手の方からだろうか。
そっちに回り込んでいる間も少女は誰かに詰め寄っている。
そして物陰からこっそりと窺うと、声を張り上げているのはやはり金髪を右側で結っている少女――クラリスだった。
対するのは、まるで彫像のように表情を変えずに佇んでいる長身の将官。デュラス将軍だ。
もはや噛みつかんばかりの少女の勢いにも、まったく動じた様子を見せることはない。
金髪の将は静かに答えた。
「何度言われても答えは同じだ。お前も含めた小隊にこの都市から出ることは許可出来ん」
「何故ですか!? 正当な理由なくしては、いかにデュラス大将閣下のお言葉でも承服致しかねます!」
「……お前が常軌を逸して強いからだ」
「は、はぁっ……!?」
クラリスは思いもよらなかった言葉に怯んだ。
デュラス将軍はそんな彼女を静かに見下ろしながら続ける。
「故にこのグランデン内部にある神殿の守備を任せている」
「そ、それは……」
「外部の神殿の警護は他の部隊に任せる。お前は引き続き、自らの率いる小隊の者たちとの交流を続け、その指導に励むがいい。お前は未だ尉官の身ではあるが、将来は必ずやエルベリア帝国を背負って立つ傑物となろう」
「む、矛盾しているではありませんか! そこまで認めてくださっているなら、どうして私はまだ軍学校に通わねばならないのですか!? 一時的な教官としてならともかく、何故わざわざ一生徒として授業を受けなければならないのですか……!」
クラリスが自己紹介をした時、わずかに見せた苛立ちのようなものはそれが原因か。
確かに彼女は強い。剣術・武術は申し分なかったし、恐らく魔術に関してもかなり高い実力を持っているだろう。
「お前はまだ若い。軍学校の一生徒として学ぶべきものが必ずある」
「お言葉ですが、私はいまや病床に臥せっておられる皇帝陛下に代わり、皇太子殿下より直々に軍学校の卒業を認められ、少尉としての任を与えられました! 実力も普通の軍人とは比ぶべくもなく、隊の者たちや領民の方々からも慕われていると自負しています。それなのに……それなのに、未だに私を一人前として認めてくださらないのはもう貴方だけです、デュラス将軍!!」
感情的になったクラリスが大声を上げるが、すぐに自分の行動を軽率だと判断して口を噤んだ。しかしその不満は隠し切れていない様子だった。
誇り高く気高い。恐らくは今までに一度も挫折というものを経験したことがないのだろう。
そんな彼女を見つめてデュラス将軍は突き放すように言った。
「言いたいことはそれだけか?」
「……!!」
「私の考えは変わらない。これまでと同様に学業に励みつつ、軍人として更なる高みを目指せ。焦る必要などな」
「デュラス将軍のお考えはもうわかりました……!! 失礼致します!!」
クラリスはこちらに向かって走ってきた。
思わずぶつかりそうになったところで、彼女は足を止めた。
「て、テオド……」
「どうしたんだい、クラリス。そんな顔をしていつもの君らしくないね」
「し、知りません……!!」
クラリスは僕の横をすり抜けるようにして、走り去った。
「テオドール。見苦しいところを見せてしまったな」
デュラス将軍が近づいてきて語りかける。
教え子のような存在にああも不満をぶちまけられても、その表情が変わることはないようだ。
「偶然通りかかっただけだし、別に気にしてないよ。それよりもデュラス将軍もなかなか苦労してるみたいだね?」
「……恥ずかしいところだが貴君の言う通りだ」
「彼女は強いよ。文武両道。何をやらせても優秀だ。自信に満ち溢れていて、士気も高い。部下を鼓舞するだけの力もカリスマもある」
彼女の実力を認めたうえで僕は続けた。
「ああいう子ほど戦場では早死にする」
「見てきたかのような口ぶりだが、貴君には何かしらの経験でもあるのか?」
「……ちょっとね」
数え切れないほど見てきた。
人間でも魔族でも、優秀で誇り高く『半端に強い』だけの存在は大抵の場合そうなる。
使いどころさえ間違わなければそういう人材は重要なんだけどね。逆に言えば、頂点に立つような存在――キースが目指しているような大元帥の位に立てる可能性はないと断言出来る。
「ならば、話が早い。テオドール。貴君にはクラリスと触れ合ってもらいたい」
「あんなに可愛い子となら文字通り触れ合いたいな」
冗談めかして言うものの、デュラス将軍は表情を変えない。
「軍人としての立場がなければ、クラリスも既に有力な貴族との縁談の話が転がってくる年齢だ。しかし、彼女はその方面にだけはとても疎い。くれぐれも刺激的な言動は慎んでもらいたい」
「お堅いね。そういう年代だからこそ遊べるっていう考え方も出来るのに。ま、いいけど。僕も彼女とは少し話してみたいと思ってたんだ」
「よろしく頼む。……して、貴君さえ良ければ明日にでも我が屋敷に招きたいと思っているのだが、都合はつくか?」
「了解。でも何を話せばいいんだい? ミルディアナでの生活とかのことなら話せるけど、あそこで起きた事件に関しては刺激が強いよ。特にデュラス将軍の娘さんみたいな子に聞かせるのは躊躇われるんじゃないかな」
「シャルロットには、亡き妻の墓参りをしてもらう。先日、彼女の命日に共に参るつもりだったのだが……あいにくと重要な軍務があってそれも叶わなかった。その時の代わりだ。『何の心配もいらない』」
……なるほど。
「わかった、いいよ。他のみんなは誘ってもいいのかな?」
「いや、1人で来てくれ。我が屋敷は公爵家とは言え手狭だ。ミルディアナの型破りな特待生たちに大挙して詰め寄られても困る」
まあ、それは確かに。
デュラス将軍の目の前に来て、戦闘意欲を刺激されて我慢出来なくなりそうなのが確実に2人はいるからね。
「わかった、いいよ。ついでに大英雄と呼ばれる男の英雄譚を聞かせてよ。僕も色々気になってたからさ」
「いいだろう。さして面白い話でもないが」
その後、詳細な時間の約束を取り付けて僕は軍学校を後にした。
しばらくグランデンの街並を眺めながら歩いていると、目の前に見覚えのある後ろ姿があった。
軍学校の制服を着用しながらも肩章をつけていて、長い金髪を右側で結っている少女だ。その手には黒い布を持っている。
彼女は路地裏に入り、注意深く行き交う人々の姿を凝視していた。
何かあったのかな?
そう思った時、彼女は不意に黒い布をすっぽりと羽織った。
口もとまでも覆い隠して、見るからに怪しい黒装束になる。
そして彼女はやや足早にこそこそと歩いていき、1軒の店の間に立ち店員の中年の女性に向かって言った。
「く、クレープを……3つください」
「あら、クラリスちゃんじゃないのぉ」
「ちょっ!? な、何で……あ、しっ、シーッ! シーッ!」
クラリスは大慌てになりながら口に指を当てて黙れという仕草をする。
「どうしたのぉ、クラリスちゃん。そんなに怖い顔してぇ」
まったく意にも介さない女性の声は大きい。無意識なのだろうが、それが今のクラリスにとっては重要な問題のようでしきりに辺りを警戒していた。
「はい、どうぞクラリスちゃん。相変わらず甘いものが大好きなのねぇ」
「あ、あの、私がここへ来たことはくれぐれも内密に……!」
「どうしてよぉ。別に甘いものが好きだっていいじゃないのぉ。クラリスちゃんにご贔屓にしてもらってるって言ったら、うちの売上だって上がりそうなのにねぇ」
「そ、そそそそんなことしたらもう二度と来ませんから……!」
クラリスは素早く代金を置いてクレープを3つ受け取ると、瞬く間にその場から走り去った。
面白そうだったのでついていくと、彼女はまたもや路地裏に入り、人気のない階段を見つけてから再び周囲を警戒。誰もいないと思ったのかその階段に座り込む。
改めて周囲を確認してからやっとフードを脱いで、持つのに苦労していた3つのクレープの1つを口に放り込み、もう2つを両手で持ちながらもしゃもしゃと食べ始める。
クレープを口に含んだ途端、気の緩んだ顔になる。
いつもの険しい顔つきはどこへやら。ふにゃっとした表情を浮かべながら、口いっぱいにクレープを放り込み、リスのようになった頬を満足そうに動かしていた。
やがて1つ目のクレープを食べ終えたクラリスは、ふぅっと満足気な吐息を吐いてから改めて2つ目のクレープを口にしようとした。
「やぁ、クラリス」
「うっ、うわああああぁぁぁっ!?」
とても少女が上げるとは思えないような声を上げて跳びはねた彼女は、僕の姿を見てそれまで弛緩していた表情を一気に青褪めさせる。
「て、てててテオドール? あ、あの、これは違う、違うのです!」
「まだ何も聞いてないけど、何がどう違うんだい?」
「そ、それは……そ、そう、庶民の味です。このグランデン領の人々が日々どんな物を食しているのかを丹念に調べ上げるのも、私の役目とでも言いましょうか」
「店のおばさんは『ご贔屓にしてもらってる』って言ってたけどね?」
彼女はぶふっと噴き出してから、慌てて口もとを拭った。
そして何とか言い訳を考えようとしたのか、きっと僕のことを睨みつけながら…………無言。
十数秒くらいしてから。
「きょ、きょう目にしたことを他の人の前で言ったら斬りますから」
「仮にも少尉ともあろう人が大人げないなぁ」
「う、うるさいです! 用がないのならもう帰ってください! 私は1人になりたいんです!」
「少しだけ君と話をしたいな。そしたら、他のみんなには言わないでおいてあげるよ」
「うぐっ!? ……っくぅ……」
クラリスが言い淀んでいる隙に彼女の隣に座り込んだ。
促すと、立ち上がって警戒していた彼女も観念したかのように座る。
「甘いものが好きなんだね」
「べっ、別にそんなことはありません」
「そうじゃなきゃ1人でクレープ3つも食べな……もがっ」
いきなりクレープを口に突っ込まれた。
「ひ、一人で2つまでなら普通の範囲です」
どれだけ強引な解釈をしてるんだ、この子は。
とは言え、クレープの味も悪くはない。ミルディアナのものよりも少し甘さが控えめな気がした。あの時はレナと一緒に食べたんだっけ。
しばらく2人で並んでクレープの味を楽しむ。
ふと視線を見ると、彼女の方も同時にこちらを見てきた。
慌ててぷいっと顔を背ける。その頬が少しだけ赤い。
「どうして甘いものが好きなところを隠そうとしてるんだい」
「……人の上に立つような者がこんなものを好んで口にしているようでは、品位が問われます。フレスティエ家にいた頃は躾も厳しかったですし、甘味を食すことなどありませんでした」
「誰かに甘いものの味でも教えられたのかな」
「ぶ、部下に……美味しいから食べてみろ、と半ば強引に。それで気が付いたら、その……このようなことに」
「うん? 人に隠してるわけじゃないの?」
「隠しています。その時には無反応を貫きました。心の底ではこんなに美味しいものがあったのかと思っていましたが……。その後は、たまに隠れて買いに来て食べているのです」
堅物な印象の子だったけど、面白いところもあるようだ。
彼女は恥ずかしさを隠すかのように大急ぎで食べ終えてから言った。
「そ、それでは私はこのへんで帰りますから」
「まあ待ってよ。ちょうどいいから話をしよう」
「……どうせ貴方のことですから、私がデュラス大将閣下に詰め寄るのを盗み聞きしていたのでしょう?」
「そりゃ、あんなに大声出されてたら聞きたくなくても聞こえちゃうよ」
「っ! と、とにかく、聞いた通りです。私には、まだまだ実力が足りないようです。まだまだ経験が浅くて未熟なくせに生意気な子供だとしか思われていないんです。わかったなら、もう放っておいてください」
クラリスの言葉を聞いているとよくわかるよ、完全実力主義のこの国の問題点がね。
彼女には才能もあるし、いずれは将官になることも夢ではないはず。
と、デュラス将軍からも散々聞かされているはずなのに彼女の心には響いていない。それも若さ故の未熟なところが原因だろう。
「君には力があると思うよ。頭もいいし、見た限りじゃ領民からの信頼も厚い。このままデュラス将軍のもとで学べば、あっという間に昇進すると思う。なのに、どうしてそんなに焦っているんだい?」
「……貴方は以前、神殿の事件について私に何事かを聞こうとしていましたね。どこまで把握しているのですか?」
「神殿にいた者全員が殺されるような事件が相次いでいるという情報だけしか知らないよ」
アスモが言っていた話では、既に3つの神殿でそのような事件が起きているんだったか。あまり詳しいのを悟られても困るから言わないでおこう。
「それだけでも十分です。このグランデン周辺には都市内部にあるものと合わせて、全部で6つの神殿があります。そのうちの3つの神殿でそのような事件が起こりました」
「ちょうど半分か。それで?」
「私は自らの小隊を率いて、外部の神殿の警護にあたりたいとデュラス大将閣下に直訴したのです。でも、そんな私たちに任されたのはグランデンの内部にある神殿の警護でした。どれだけ訴え出ても、あのお方は私をグランデンから出したくないようです」
クラリスは俯いて地面を見つめながら、先を続けた。
「私の実力は誰もが認めるものです。現役の将官――デュラス大将閣下以外であれば、そのような方々にも負けません。だからこそ、私が他の将官を差し置いてでも警護に向かうべきなんです。いざ犯行を行なった者とあいまみえても、私なら被害を最小限に抑えられる」
凄まじい自信だ。
まあ無理もないか。いつも傍にはあの大英雄がいるんだから。おまけに他の誰にも負けはしないと言っている。
シャルロット相手には何度か不覚を取っているけど、その後はちゃんと勝てていたようにも思えるしね。
もっとも、実戦だとその一度の不覚で人間はあっさり死ぬんだけどそこにまでは考えが及ばないだろう。恐らく本当の殺し合いをしたことなんてないだろうから。
「デュラス将軍は、私の家柄のことをまず第一に考えてくださっているのだと思います。フレスティエ公爵家は名家と言われていますから、そこの1人娘である私に何かあってはまずいとそうお考えなのでしょう。だから最も安全なグランデン内部の神殿の警護に適当にあてがっておくことで、私を満足させようとしているのでしょう」
面白いなぁ。
両者の意見は致命的なほどに噛み合っていない。
デュラス将軍は君の家柄のことなんてまったく考えてないよ。危惧してるのはもっと別の部分だ。
彼は冷血に見えてとても思慮深い。故に力ある部下がこうしてつけ上がる。
両者のこの食い違いは、場合によっては最悪の結末を生むことにも繋がるだろう。
とは言え、それを僕が指摘したところでクラリスが納得するはずもない。
これは彼女自身が気付かなければならない問題だ。僕から言えることは何もない。励ましも出来ないし、叱ることも出来ないし、同調することさえ出来ない。
この話をこれ以上続けていても無意味だ。
「その神殿の事件、犯人の目星はついてるのかな?」
「……何とも言えません。ただ、私は現場を見たわけではありませんが、話を聞く限りではそもそも本当に『人間の仕業』なのかと疑いたくなる時もあります」
「どうしてだい?」
「その場にいた者の遺骸のほとんどは、その……性別や年齢を確認することすら困難なほど損壊が激しいのだそうです。まるで大型の肉食獣にでも襲われたかのように喰い殺されていたようにも思えたとか」
「……なるほどね」
ミルディアナの高等魔法院の地下にいた化け物共を思い出す。
アレは魔導生物で間違いない。詳しくはリューディオ学長が今も調べているだろうけど、アレはエルフを喰らい、末期の雫を作ることにのみ特化された生き物だった。
魔法陣から出ることは叶わず、誰かに食糧であるエルフを差し出されなければその場を動くことも出来ずに簡単に餓死してしまう脆弱な存在。
「神殿に何か魔法陣みたいなものがあったという情報は?」
「そのようなことは報告にはありませんでした。ただ、神殿の損壊が激しかった所もあったようです。硬い石畳が粉々にされていて、現場を検証することすら困難な場所もあったとか」
質のいい魔導生物は自分の意思で動くことが出来るし、上位存在の命令を解するほどの知能も持ち合わせている。
でも、果たしてそんなことをして今まで1匹も見つからないことなど有り得るだろうか。
魔導生物はとにかく見た目が普通の生物とは明らかに異なっているものが大半だ。そんな化け物がこのグランデン領内をうろつき回っていれば、目撃者の1人や2人は出てくるはず。
となると、やはり人間だろうか。
今のところの情報では神殿以外の人間が殺されたという話は聞かない。
犯行を行なった者の目的は間違いなく神殿にあるはず。
「神殿には何か特別なものはあるのかな?」
「……わかりません。被害に遭った神殿でも特に何もなかったはずです。現に私が警護に当たったこのグランデン内部にある神殿にも特別なものはなかったと思います。女神さまの像や抽象画、水晶などはどこにでもあるものでしょうし」
犯行を行なっている者の狙いがわからない、か。
これじゃミルディアナの事件とは逆だね。
あそこでは何者かが――最終的にはギスランだと判明した――が末期の雫を作り、最終的に天魔を呼び出すことが目的だろうという推測は立てられたけど今回はそれが難しい。
普通の神殿を襲撃して何か意味があるのか?
それとも、神殿にはグランデンにいるデュラス将軍たちはおろか、魔族にすら思いも寄らないような重大な何かが隠されているのか?
「私はあくまでも犯行を行なっているのは人間だと考えています。神に恨みを抱いているような者か、あるいは異端者か。そこまでは判断出来かねますが……」
「他に何か情報はあるかい?」
「決定的な情報は何も……。ただ、被害に遭った神殿の1つで少し奇妙なことが起こったとの報告はありました」
クラリスが顎に手を当てながらも、どこか不可解そうな顔で続ける。
「惨憺たる有り様の神殿の中で、踊り狂う修道女がいたと」
「なんだい、それ」
「詳しくはわかりません。その女性は被害に遭った神殿の者だったのですが、奇妙なことに……犠牲者の遺骸を手にして撫でたり、わずかに残っていた肉片や臓物を顔に塗り……うっ……」
クラリスは少し吐き気を覚えたかのように呻いた。
普通に考えれば、神殿の被害を見て発狂した修道女の奇行のように思えるけど、確かに気になるところではある。
「……ふぅ、失礼しました。その修道女は最重要参考人として軍部に拘束されています。ですが、未だに取り調べに進展があったという話は聞きません」
「わかったよ、ありがとう。この話は今はやめにしようか。せっかくのデザートが台無しになるかもしれない」
その後はクラリスの気分を変えるために他愛のない雑談を交わしてから、彼女と別れた。
さて。こういう捜査にこそレナの存在は欠かせないんだけど、今回は彼女は使えない……いや、使わない。
むしろ今はデュラス将軍との対談に備えなければならない。
何事もなければそれでいいけど、恐らくそうはならないだろうからね。
何か普通の話も幕間も文字数が回を増すごとに多くなっています。
長くて読みにくかったら申し訳ない限りです。
分割した方がいいのかな……。





