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頭に鈍い痛みが奔る。背中の硬い感触から床の上で寝ていたようだ。

はて、昨日は生中一杯とウィスキーのダブルで止めたはずだが…。

それに何だか無性に喉が渇く。そろそろ起きて一風呂浴びるか。


ゆっくりと目を開き眩しさに慣れた頃、俺は自宅のリビング

…ではなく見覚えのない場所で寝転がっていた。


…………なんだこりゃ。


周りを見渡せば深い森のど真ん中で寝ていたようだ

てか、酔って野宿するにしても森の中は無いだろ…。

少し混乱しつつも昨晩の出来事を順に辿ってみる。


確か、キャバクラの“接待”で店を出てから…うーむ、その先が思い出せん。


その先から記憶がすっぽり抜け落ちて思い出せない。ヤバい、飲み過ぎたか。

とはいえ、いつまでもここに留まるのはよろしくない。人里に降りて道を聞いてみるか。


それから二時間、草をかき分け枝を避け、時たま崖に足を取られそうになりながら

日の差す明るい方へ進むと、獣道よりマシな細い林道が見えてきた。

これはツイてる。これを辿れば人のいる場所に必ず繋がっているはずだ。


それからまた二時間

森の中を歩き続け気力と体力が限界に達した頃、ようやく森を抜け遠くに人里が見えてきた。


とにかく水と此処がどこなのか、ついでに飯を貰えれば上々なんだがな。


しかし、その期待はそれから三十分後に裏切られることとなる。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


人里に近づくにすれ村の様子がはっきりと見て取れた。


感想はハッキリ言ってショボい、てか家ボロ過ぎて倒れそうなんだけど。

それに周りの…枝を組んだだけの柵みたいなのは壁の代わりか?防犯もクソも無いな。


俺が人里に期待していた諸々はさらさらと崩れ去った。こんな貧相な村じゃ水さえ満足に貰えるか不安だ。

しかし立ち止まっていては進展もクソもない、何か情報を得ないと。


村に足を踏み入れるが人っ子一人見当たらない。家の中から視線は感じるが、出てくる様子もない。

よそ者だから歓迎できないってのはあるんだろうけど、ここまであからさまにされるとちょっとな…。

とりあえず村の中を行ったり来たりしてみたが、頑なに家から出ようとしない。まるで何かに怯えているようだ。


しかし、日本にまだこんな場所があったとはな…っていうかそもそも日本か?


そんなことを考えながら一軒の家の前を通り過ぎると

突然物陰から手が伸び引きずり込まれた。


「てめぇ!クソ代官の使いか!何しにきやがった!」


胸倉をつかんで揺さぶるのは明らかにブチ切れてる若い男だった。最近の若者はキレやすいとは聞いたが出会いがしらにキレられるとはなかなか末期だな。というか、待て。俺が何をしたというのだ。


あー、とりあえず落ち着きなさい若いの。俺はクソ代官の使いでも盗賊でもねぇよ。

「あぁ!?……よく見たら変な服着てるな。何だてめぇ。」


変な服とは失礼な…酒をしこたま飲んで目が覚めたらここに迷い込んだ一般人だ。

とりあえずここはどこだ?あと水をもらえると助かる。


そう早口でまくし立てるとやっと彼は手を放した。


「商人には見えねぇし、クソ役人でもなさそうだな…ここはザブナックの村、竜骨山脈の麓だ。」

竜骨山脈?あぁ、あの遠くに見える山か…てか、本当に日本じゃないのか。

「ニホン?ここはクソ代官が治めるガイナスって土地の端っこだ。あんた外から来たのか?」


まぁ、そんなところだ。ところで水は貰えるかね?

「あぁ、そうだったな。ついて来いよ、俺の家に案内してやる。」


そういや、名前を聞いて居なかったな。俺は狭川恭一だ。あんたは?

「サガワ・キョーイチか…苗字持ってる割には変な名前だな。俺はマーカス、この村のまとめ役やってる。」


変な名前って…しかも狭川が苗字だよ。

ともかく俺はマーカスに連れられ彼の家に案内される、やっと人心地つける。

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